野村不調も、打撃が援護。完全優勝に一歩前進/東京六大学秋季リーグ戦

2011.10.08
野村不調も、打撃が援護。完全優勝に一歩前進/東京六大学秋季リーグ戦
 追う展開も今の明治には跳ね返す強さがあった。エース野村(商4)が自己ワースト記録となる12安打を被び、さらに暴投や四球を重ねるなど本来の野村らしくない荒れ模様のピッチング。一方で打線は今季最多の14安打と好調だった。序盤に立教の強打者・岡崎の二塁打などで3点を先制され苦しい展開になるかと思いきや、粘りの打線が試合を動かした。取られた直後の攻撃で川辺(商4)が1点を返しさらに5回に島内(法4)が同点打、6回に中村(将・法4)が勝ち越し打ときっちり援護。しかし4点リードで迎えた9回裏立教の攻撃では、4連打で2点を失い2点差に迫られてしまう。最終的に4番・那賀(立教)をセカンドゴロに仕留めピンチを切り抜けたが、再三訪れたピンチに終始手に汗を握る試合だった。

 エース野村は苦しみながら、完投で通算29勝目を挙げた。大記録達成にあと一歩と迫ったが、「今日は制球が悪かったです」(野村)と自身の勝利を素直に喜べなかった。先制された3回、1番打者に四球を許すと続いた2番・西藤(立教)が右前へ単打、3番・岡崎(立教)が右中間へ適時二塁打と、今春リーグトップのチーム打率を誇る立教の上位打線につかまってしまい3失点。9回にも2点を失い、さらに1発出れば逆転サヨナラの危機を迎えたが、最後は立教4番・那賀を二ゴロに仕留めなんとか逃げ切った。6つの三振を奪うも、被安打12、2つの四球を許すなど5失点。立教打線を前に苦しい投球となった。

 エースが不調、しかしここで沈まないのが今季の明治だ。一挙3点を奪われリードを許した直後の攻撃。4番を打つ中嶋(法2)が中前安打で出塁すると6番竹田主将(文4)、7番川辺の連続安打で、すかさず1点を返す。続く5回の攻撃では島内の中前打で2点を挙げ同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。さらに6回、川辺の二塁打、野村の単打で1死一、三塁の絶好のチャンスをつくると迎えたバッターは1番・中村(将)。「野村は投げて打って大変なので、自分も強い気持ちでバッターボックスに入っていました」。その気持ちが結実した。2球目のスライダーをとらえた打球が、左中間を抜け決勝の適時三塁打となり、一気に2点を勝ち越した。その後も攻めの姿勢を貫いた明大ナインは計14安打を放ち、打たれた分を完全に取り返した。

6回表明治2死二、三塁、決勝の2点適時三塁打を放ち塁<br />上で両腕を突き上げる中村(将)” align=left><br clear=6回表明治2死二、三塁、決勝の2点適時三塁打を放ち塁
上で両腕を突き上げる中村(将)

 犠打や走塁などの小技を絡め、まさに全員野球で7点を挙げた。4点リードで迎えた9回。最初の2人を三振で仕留め2死、このまま終わるかと思わせたが、簡単には終わらせてもらえなかった。9番に代打で打席に立った田中(立教)に中前安打を打たれると、そこから4連続安打を浴び、2点を奪われ点差を2点に詰められてしまう。ここで迎えたバッターは今春の首位打者・那賀だ。長打で同点、一発で逆転のピンチ。「勝てればいいと思いました」(野村)とチームを背負ったエースの、気持ちで投げた初球。バットに当たった打球はセカンドへ。ファーストの竹田主将がしっかり捕球し、ゲームセットとなった。大きくガッツポーズをした野村は「立教は強いので、勝ててうれしかった。思わず(ガッツポーズが)大きくなってしまいました」と喜んだ。

 打線が不調なら点を与えないよう守り抜き、守りが不調なら打線が助ける。今季の明治が強い所以(ゆえん)は全員野球にある。「全員で勝とうという意識があります」(野村)と語るエースの、真の強さは心強いバックがあったからこそ成り立ったのかもしれない。竹田主将は今日の試合を「自分たちが頑張れない時は野村がやってくれます。できない時は自分たちがやる。全員が助け合って勝つ全員野球でした」と振り返った。春に果たせなかった課題を秋には持ち越さない。総力戦で勝ち抜いた。
 完全優勝へ、明日が本当の正念場。「自分が打つ打たないは関係ないです。どんな形でもチームに貢献したいです」(島内)。最高の仲間と最高のフィナーレを飾るためにも、明日も全員野球で勝ちに行く。

[中村綾佳]

◆明大打撃成績◆
打順 守備 名 前
(中) 中村(将) .219 三飛 遊飛 三ギ 左中三 一ゴ
(二) 上 本 .286 遊安 三振 四球 右飛 四球
(左) 島 内 .353 二ゴ 左飛 中安 四球 二ゴ
田中(勇) .250      
(右) 中 嶋 .306 二ゴ 中安 三安 右安 三振
(遊) 阿部(寿) .306 四球 三振 三併 三振 左安
(一) 竹 田 .244 三ギ 右安 三振 遊飛 中安
(捕) 川 辺 .378 三振 右安 中二 三振 中安
(投) 野 村 .318 三振 遊ゴ 左安 左安 三振
(三) 小林(要) .120 三振 四球 一飛 投ギ 一ゴ
   37 14 7 .283                           

◆明大投手成績◆
名 前 球数
○野 村 132 12 2.68
勝敗表 第5週  10/8現在
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
明大 ◯●○ ○●○ ●○○ 10 7 3 0 3 .700
早大 ●○● ○○ ○○ 7 5 2 0 2 .714
法大 ●○● ●○○ 7 4 3 0 1 .571
慶大 ○●● ○●● ○○ 8 4 4 0 1 .500
立大 ●● ○○ 5 2 3 0 1 .400
東大 ●● ●● ●● 7 0 7 0 0 .000

◆選手コメント◆
自己最多の12安打を浴びながら、5失点完投野村
「制球が悪かったので押すだけ引くだけにならないような投球をしました。(9回に浴びた連打については)0点で抑えようというよりも、点差があったので(あとの打者も考慮し)この中の打者で抑えようと考えていました。(ガッツポーズが大きくなったことに関しては)立教は強いので勝ててうれしくて大きくなりました。(中村将の逆転打について)同郷で昔から一緒に頑張ってきたのでうれしかったです。(フォームの完成度は)70%くらいです。(エースの条件は)信頼されることです。自分はまだまだです」

決勝の2点適時三塁打の中村将
「(6回の2点適時三塁打について)打った球はスライダーです。投げて打ってと大変な野村がつないでくれていたので強い気持ちで入りました。野村が投げていれば点を取られないという感じがありましたが、野村にも良いときがあれば悪いときもあるのでみんなでもり立てて勝とうと監督中心になってきました。春は野村が打たれると沈んでしまいました。だけど秋はベンチからも声を出していって、チームがひとつになっているので今につながっていると思います。野村に対しては声出しというより声をかけています。投手ひとりの世界が大事なこともあるので遠慮がちな部分もありましたが声かけは多くなりました」

同点の2点適時打を放った島内
「(同点打について)打つ前のボールがファールフライになるかと思いましたがファールになってくれたので、楽な気持ちでいけました。(8打席ぶりの安打に関しては)全然考えてなかったです。でも大事な場面で打ててよかったです。打ったのはストレートです。明日あさってしっかりやって良い形で東大戦を迎えたいです。自分が打つ打たないは関係ないです。どんな形でもチームに貢献したいです」

3安打2打点の川辺
「みんなよく打ったし粘ったと思います。(野村については)真っ直ぐも変化球もまんべんなく打たれてしまったが調子はまあまあでした。ピンチの時は粘れ!と声をかけました」

3安打1打点の中嶋
「チームも取るべきところで点が取れて良い雰囲気で野球ができていました。自分は4番というより4番目の打者として打席に立っています。他の打者が良いところで打ってくれているので気楽に打てています。自分の持ち味は初球から振っていくことなので、いつも通りやったことが結果につながったのだと思います。(明日については)一戦必勝で持てる力を出し切って勝ちたいと思います」

竹田主将
「序盤リードされていましたが焦りは無く、粘り強く戦えました。今日は全員が助けあって勝つ全員野球でした」

阿部(寿)
「(今日の勝利について)素直にうれしいです。改めて勝つことが難しいと感じました。(率先して投手と話していることに関して)コミュニケーションを取るためだけでなく、しゃべって緊張をほぐすためにも話しています」

☆応援へ行こう☆
立教戦 
10月9日 13時試合開始予定(一塁側)

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