(15)勝利を最も渇望する男 野村祐輔

2011.09.11
(15)勝利を最も渇望する男 野村祐輔
 「勝たなきゃ意味がないんです」(野村・商4)の言葉が重い。高校時代の華やかしい実績を引っ提げ、明治に入学してから3年。1年春から主力としてリーグ戦通算24勝を挙げ、名実ともに六大学のエースとなった野村。しかし、目標である日本一はまだ経験していない。4年生の野村にとって、今季は大学日本一に挑戦できる最後のチャンスだ。

 昨春は個人の成績だけで見ると、投球回数、奪三振など自己記録を上回る記録が多く出た、最高のシーズンだった。投球回数は65イニングを投げ、それを上回る68の三振を奪った。それでいて、四死球は7つに抑えるという、制球力も光った。特に全カードの第一戦目、いわゆる“エース対決”では無類の強さを発揮。5試合で二つの完封を含む4完投で5勝を挙げた。

 しかし、初戦以外の登板では、本来の実力を発揮できなかった。そのため、チームは勝ち点を落とすケースが必然的に増えた。「勝てなきゃ意味がないんです」の言葉には、たとえ5勝を挙げていても、勝たなければいけない試合で敗戦し、エースの責任を果たせなかった悔しさが込められている。

 その悔しさをばねに挑む今シーズン。今季は新たに取り組んでいる練習や課題はないが、フォームをマイナーチェンジした。「大きくは変えていませんが、タイミングが良くなりました」と手応えを感じている。調子は「良くも悪くも普通です」と、調整は順調だ。夏のオープン戦では日大戦で4失点だったものの、巨人とのオープン戦では3回を無安打で抑えており、開幕に不安はない。

 野村にとってラストシーズンであり、またラストチャンスである秋季リーグ戦。「このメンバーでやるのも最後ですし、優勝して少しでも長く野球をやりたいです」と意気込む。そして「そのためには勝つ以外にないです」。勝利に飢えた最強右腕が導かれるのは、果たしてどのようなシナリオなのか。2カ月間の明治・野村最終章が今始まる。

◆野村祐輔 のむらゆうすけ 商4 広陵高出 177㎝・75㎏ 右/右