
(13)春の経験胸に最後の秋こそ優勝誓う正捕手 川辺健司

春は野球の怖さを思い知らされた。勝てば勝率で慶応を上回り首位に立てた対慶応2回戦。9回1点リードで2死走者なし、首位まであと1アウト。だが、そこから打ち取った当たりの内野安打と盗塁を許し、その直後に同点の適時打を浴びた。土壇場で追い付かれ、この試合引き分けに持ち込まれた。その後、慶応には2連敗、続く法政にも勝ち点を落として、終わってみれば2005年秋以来の勝ち点は2。一瞬でリーグ全体の流れも悪くなってしまった。「春はなかなか経験できないことをしました。秋はこれをどう生かすかだと思います」。結果以上に紙一重で優勝を逃した春の経験を生かし、秋は同じ失敗は繰り返さない。
多彩な投手陣をリードする上で、まずは投手の投げたい球を尊重している。試合が始まる前、投手と相談しそれに基づいて配球を組み立てる。「ピッチャーが納得して投げる球は力がありますから、それを使うようにしています」とその理由を話した。また、時にはバッターを観察して強気に攻める。春の対慶応1回戦、大学屈指の強打者・伊藤(慶応)が変化球を待っていると察知すると、インコースのギリギリへストレート系のボールを3球続けて要求。内野ゴロに仕留めた。野球を始めた小学校1年生からずっと捕手一筋。もう捕手16年目のベテランだ。投手の投げたい球と打者を観察し導き出されるリードは円熟味を増しており、投手からの信頼も厚い。
打撃では捕手らしい勝負どころでの活躍が光る。これまでリーグ戦で挙げた打点「16」はチームトップ。今春も打率は1割8分4厘と低迷したが、打点はチーム3位の5打点を挙げた。「夏は常にピッチャーのボールをイメージしてバットを振り込んできました」。秋も持ち前のいぶし銀の活躍に期待が懸かる。
大学野球もこの秋のリーグ戦で最後。「この秋で4年生は引退ですし、最後に良い結果で終われるようにしたいです。チームが優勝するために貢献するだけです」。有終の美を飾るには川辺自身の活躍が不可欠である。
◆川辺健司 かわべけんじ 商4 日大藤沢高出 180cm・78kg 右/右 捕手
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