リーグ戦後インタビュー(4)難波、関谷/東京六大学春季リーグ戦

1999.01.01
 今回はシーズン中盤から2試合目の先発を任されるようになった難波(情コミ4)。昨季はフォームの崩れやケガに苦しみ思うような力を出せなかった。しかし、その悔しさをバネに今季は自己最多の30イニングを投げるなど復活した。復活を支えたもの、また秋に向けての意気込みを難波に聞いた。

・今シーズンを振り返っていかがでしたか?
――自分がやってたことはできているという感覚があります。また今シーズンは自分が分かり始めたシーズンでした。

・リーグ戦に入ってから何か変わったことはありますか?
――真っすぐが戻った。その分フォークが良くなった。またカウント球としてカーブも有効に使えましたね。ただ終盤になってノビ、キレが落ちたので、下半身の弱さを感じました。

・自己最速タイの148キロもリーグ戦で記録しましたが、直球の感覚どうでしたか?
――力を入れた時は148キロが出ました。しかし、平均球速は140程度だったので、常時144、145キロの球を投げられるようになりたいです。

・今シーズンから習得した変化球についてはどうでしたか?
――チェンジアップは良くなかったので、シーズンではあまり使いませんでした。それ以上にフォークボールが良かったので問題はなかったです。

・フォークボールはどのように良かったのですか?
――ストライク、ボール投げ分けができたのが大きかったです。フォークは投げれば投げるほど良くなっていきました。

・昨秋に痛めた右肩の状態はどうですか?
――痛くないです。ただ、その代わりに足がすぐつります。

・全身が使える投球フォームになったからでしょうか?
――そうだと思います。足がつるのは、頭では疲れてないと思っていても体に疲れが先にきてしまう感覚です。高校野球では完投できていたのに。

・今シーズンは慶応2回戦での敗戦がキーポイントになったと思いますが、難波さんはあの敗戦でどのようなことを感じましたか?
――正直に言うときつかったです。考えちゃいけないのに、考えちゃう。試合終わるまで集中しなきゃいけないというのを再確認できて勉強になりました。また、負けて悔しいと思う反面、やはり野球は楽しくて奥が深いと思いました。

・2年前の取材の時から野球は楽しいと言い続けていますね。
――今回は特にそう思いました。自分はたまたま中学時代から全国規模の大会で投げる機会がありました。野球には誰にでもできるわけではない貴重な体験をさせてもらっています。

・野球を通じていろいろな体験をさせてもらっていますね。
――本当にそう思います。また去年不調で落ち込んでいたときに、監督を含め、いろいろな人が心配してくれたり、フォームやトレーニング方法などアドバイスをくれたりしました。野球を通じて人とのつながりの大事さも強く感じましたね。それで、恩返しがしたいと思って、オフは休まず高校で練習していました。

・心境の変化があって、何か今年変わったことはありますか?
――野村(商4)と一緒にいるようにしました。昔は野村を越えようという意識がありましたが、今ではライバルの目がなくなりました。よくしゃべるようになってから、変化球を教えてもらったこともありますし、今まで聞けなかったことが自然と聞けるようになりましたね。

・今まであったライバルの目をなくすなど考え方が柔軟ですね。
――もっと野球がうまくなりたいという気持ちと、チームや監督、支えてくれた人たちのために恩返しがしたいという気持ちがあったからだと思います。それで、実際に成績も前に比べ出せたので、おれはまだやれると自信になりました。

・秋の投球スタイルはこのままですか?
――基本はこの感じ。でも、完投できる体を作りたいです。自分では完投できるつもりなのに、できていないので。

・投球スタイルを参考にしているプロの投手はいますか?
――参考にしているわけではないですが、久保さん(康友選手・阪神タイガース)を良く見ています。

・それはなぜですか?
――久保投手が「いい投手でもたくさん投げれば打たれることもある。打たれた中でどう対応するかが大事」と言っていました。あんな好投手なのに、打たれることは前提で、打たれた後をどうするかが大事だと言っている。今までは完璧を目指していたが、打たれたときにも次と考えて野球ができるようになった。

・最後に秋に向けての意気込みをお願いします。
――さっきまで、野村と仲好くしてきたと言っていましたが、1戦目を取るつもりで投げていこうと思っています。今までは、野村1人にさせてしまった部分がありました。なので、こうすることで野村をもっと楽にさせてやりたいです。目標は5勝です。野村には30勝させませんよ(笑)。

 
 どん底を味わった昨年から、難波が見事な復活を果たした背景には多くの人の支えがあった。投球スタイルも考え方も変わった今シーズン。「支えてくれた人たちに恩返しがしたい」この気持ちが難波を変えた。来季は泣いても笑っても大学ラストシーズン。難波が勝利という恩返しを届けてくれるはずだ。

◆難波剛太 なんばごうた 情コミ4 春日部共栄高出 177㎝・75㎏ 右/右 投手

 昨年の春から神宮デビューを経験し、秋には先発のマウンドも経験した成長著しい関谷(政経2)。しかし今春はオープン戦好調も、リーグ戦では本来の力を発揮できず。シーズン終盤で調子を取り戻すものの、今春は悔しさの残るリーグ戦となった。

・リーグ戦を振り返ってみていかがでしたか?
――開幕2戦目を任されたのにもかかわらず、期待に応えられなくて悔しかったです。

・オープン戦では社会人相手に完封するなど好調でしたが、リーグ戦とはやはり違いましたか?
――オープン戦と同じく万全な状態で臨んだつもりだったのですが、腕が振れませんでした。精神的に弱かったのだと思います。

・リーグ戦終盤は調子が上がりましたね。
――一度ベンチ外れて、苦い思いをしました。投げない期間は好調だった時のオープン戦のビデオを見たりしました。気持ちで負けていたので自信を取り戻せるよう努力しました。

・前半戦の不調には、精神面以外の原因はありますか?
――ストレートが走らなかったことです。そして、球速差がなくなったため、変化球も悪くなってしまいました。打たれるべくして打たれたと思います。

・ストレートが走らなかったということですが、シーズン終盤に148キロを投げましたね。
――やっていたことが出せました。シーズン序盤の不調は立教戦にいいイメージで臨めなかったことが大きかったのかもしれません。

・今シーズンを経験して秋への課題は見つかりましたか?
――最初から飛ばす体力と、どのチームにも向かっていける気力が必要だと感じました。マウンドに立ってからの自信がなかったので。相手に向かっていく気持ちで頑張っていきたいです。

 
 前半戦はつまづくも、シーズン中に原因を見つけ修正できたことは、これからのシーズンに生きていくだろう。そして、後半戦での活躍は来季への強い期待を持たせるものだった。力は十分あるだけに、来季こそシーズンを通じた活躍に期待したい。

◆関谷亮太 せきやりょうた 政経2 日大三高出 180㎝・82㎏ 右/右 投手