リーグ戦後インタビュー(3)阿部(寿)、小林(要)/東京六大学春季リーグ戦

1999.01.01
リーグ戦後インタビュー(3)阿部(寿)、小林(要)/東京六大学春季リーグ戦
 「東北に元気を届けたい」。リーグ開幕前、そう意気込んでいた岩手県出身の阿部(寿・情コミ4)だが打率は1割8分6厘と低迷し、ほろ苦いシーズンとなってしまった。チームも4位に沈んでしまい「あまりいいシーズンではなかった」。振り返れば振り返るほど悔しさが溢れてくる今シーズン。チームに何が足りなかったのか、阿部(寿)が語ってくれた。

・今季を振り返っていかがでしたか?
――詰めの甘さが出てしまいました。

・詰めの甘さとは?
――初戦は取れるのに2、3戦目勝てないところです。

・2、3戦目の敗因は何だと思いますか?
――勝ちを意識し過ぎてしまう。この試合勝ったら勝ち点取れるんだっていう。油断もあったのかもしれません。2、3戦目で最初にいいムードでも最終的には負けていますし、油断してたんじゃないかと思います。

・それでも守備は堅かったように感じますが。
――前よりは良かったかもしれないですけど、勝負どころでの守備が駄目でした。守らなきゃいけない場面でエラーがあったり。ここ一番でしっかりできない。自分たちは、リーグ戦ノーエラーを目指していましたしね。勝負どころに弱いのは打撃にも出てしまいました。集中力というか、勝負どころの強みに欠けていました。

・少し残塁が目立ってしまいました。
――気負っちゃうんですよね。集中はしてるのにチャンスで打たなきゃっていう力みでバットが動かなくなってしまって……。もっと気楽にプレーできればよかったです。

・慶応2回戦で引き分けてしまった後のチームの雰囲気はどうでしたか
――負けたわけではなかったから落ち込んでもなかったのですが、絶対負けられないプレッシャーみたいなものがあって……。それが慶応3回戦で負けてしまった原因です。自信もっていければ良かったですね。精神力の弱さを感じました。気持ちのメリハリが足りなかった。気を張りすぎて集中すべきところでは集中できませんでしたし。

・2季連続でBクラスとなってしまいましたが
――自分たちにとってはBもAも変わらないです。優勝できなければ2位も3位も4位も一緒。

・負けてしまった3チーム(立教、慶応、法政)と明治との違いみたいなものは感じますか?
――失敗を恐れない思い切りの良さが向こうにはあった。自分たちはチャンスで失敗を恐れて初球から見逃してしまったりしていました。特にこれが2、3戦目で出てしまっていましたね。

・悔しさが残るリーグとなってしまったと思いますが、その中でも秋につながるところはありましたか?
――野村(商4)だけでなく2戦目先発の投手陣が頑張ってくれたのは秋につながると思います。

・秋こそ優勝するために必要なことや強化していきたい面はありますか?
――全体のレベルアップはもちろんですが、押されていてもそれをひっくり返すような精神力の強さが必要ですね。あと失敗してもそれを補えるくらいの力。4年生同士や上下での団結力が大切だと思います。

・最後に、阿部(寿)さん自身にとって今回はどんなシーズンでしたか?
――4年になったということで周りが見えるようになったシーズンでした。今までは自分のことでいっぱいだったんですけど、そこが最上級生になって変わったなと思いました。

 

 阿部(寿)自身、課題がたくさん見つかったという今春。それでも「4年になってから本当に勝ちたい気持ちが出てきた」と試合に臨む気持ちは格段変わった。秋はいよいよラストシーズン。その気持ちを忘れずに、自身最後のリーグ戦を優勝で飾ってほしい。

◆阿部寿樹 あべとしき 情コミ4 一関一高 185㎝・80㎏ 右/右

 「全く結果を出せなかった」。小林(要・政経4)にとって、今春は不振にあえぎ納得のいかないシーズンとなってしまった。しかし、それでもリーグ戦全試合に出場し、三塁を守り抜いた。また、副将としてもチームを支えた小林(要)。そんな副将の目にチームはどう映っていたのか。

・今季を振り返っていかがでしたか?
――もうちょっと打線がつながれば良かったと思います。自分も全く結果が出せていなかったので。残塁も多かったですし、もっと取れたところもあったのではと思いますね。点を積み重ねていくことの大切さを知りました。どうにかして勝ちたい気持ちはあったのですが……。

全試合出場も打撃に苦しんだ小林(要)
全試合出場も打撃に苦しんだ小林(要)

・慶応2回戦では土壇場で引き分けてしまい、翌日の慶応3回戦のチームのモチベーションはどうでしたか?
――引き分けて負けたわけじゃなかったから、モチベーションは低くなかった。自分もとにかくチームの勝利だけを考えてやっていましたね。勝てば優勝に近づけましたし。でも、3戦目っていうことで疲れもあって……。あの試合は雰囲気にのまれました。慶応の方が状況としては有利でしたし、勢いに押されました。向こうはすごく打ってきていたので。

・優勝がなくなってしまってからの法政戦でのチームの雰囲気はどうでした?
――とにかくみんな勝つことだけを考えていたと思います。気持ちの切り替えはできていました。

・今季敗戦を喫してしまった3チーム(立教、慶応、法政)と明治との差や違いは感じましたか?
――やはり2連勝できるチームが強いチームだと思います。たとえ3戦目にもつれても両チーム共に疲れは少なからずあるわけだから、最終的にどんな場面でも勝ち切れるチームが優勝するんだと思いますね。疲れがある中で打線がどれだけ援護できるか。それがカギだと思います。うちはそれができていなかった。そこが他のチームとの差であり、敗因にもなりましたね。

・雰囲気にのまれたと先程おっしゃっていましたが、気持ちの面でも多少他のチームと差が出てしまったのでしょうか?
――そうですね。あの舞台に立ったらもはや技術より気持ちが大事なので。その上で結果を残していくことが必要となってくるのだと思いますね。負けたところにもそこまでの差は感じていませんが、チャンスでの一打であったり、雰囲気は勝ち点に左右してくるので、そこは相手の方が一枚上手だったのだと思います。

・先制されると気持ちの面で焦ったりもしてしまうのでしょうか?
――そうですね。こっちはピッチャーがいいので先制点取ってあげれば勝てたんじゃないかって試合もあります。点があれば守備にもつながりますし。とりわけ守備は冬からコツコツやってきていたので。

・見ていて守備がいいなと思いました。
――練習してきた分が出てきました。秋も守備はこの調子でいきたいですね。

・秋へ向けて、改善するべき点や課題はありますか?
――自分の課題はバッティングですね。試合を想定して、常にゲームと同じ気持ちで練習して、精神力を磨いていきたいです。それで秋、優勝できれば言うことなしです。

 
 守れても点を積み重ねていかなければ勝つことは難しい。そのことを思い知らされた春だった。秋は打撃をさらに磨き、必ずリーグ制覇を果たす。そう小林(要)は誓った。

◆小林要介 こばやしようすけ 政経4 日大三高出 163㎝・68㎏ 右/左