(3)明治を支える走塁の要/荒木郁也、山口将司

1999.01.01
(3)明治を支える走塁の要/荒木郁也、山口将司
 各大学の選手に取材をすると、「明治の足に注意したい」という言葉をよく聞く。その走力の要となっているのが荒木(郁・営4)と山口(政経4)だ。内野ゴロでも安打にしてしまう脚力、また塁上では、自慢の盗塁技術で相手投手に大きなプレッシャーを与える。その走塁に対する姿勢は、荒木(郁)の現役最多の通算32盗塁、山口のチーム2位10盗塁と数字に現れている。そんな”明治の足”2人に自慢の走塁とラストシーズンへの思い聞いてみた。

――明治の足としての思いを教えてください

荒木(郁)  自分たちの役目。そうやってチームに貢献しないといけないと思うので、走ることに関して引っ張っていくというより、やっていかなくてはいけなと思います。
山口  チームの得点力の武器になる。その一つの武器に生かして得点を多く取りたいです。いい投手が多いので大量得点は難しい。そこで足を使えれば他大学よりは強くなれるという気持ちはありますね。

――オープン戦を見ていると、今季は1、2番を組むことはなさそうですが
荒木(郁)
  正直、1、2番で二遊間を組みたいという気持ちはあります。が、チームのために割りきってます。
山口  打順は関係なくても、他大だったら送る場面で、走って後ろにつなげられたらという気持ちは持ってます。

――足を武器にしているおふたりですが、特別な練習はしていますか
荒木(郁)
  特にやってないです。全体練習でやるくらいです。
山口  チーム全体の走塁に対する意識が高いから、オープン戦とかから次の塁を狙う姿勢がある。だから自分たちが特別に何かするということはないです。

――走塁をしている上で自分なりの走塁のコツはありますか
荒木(郁)
  感覚的なもので、それを信じて走っています。
山口  感覚も大事だけど、自分が一番大切にしているのは勇気です。走塁は間一髪のプレーだから、思いっきりスタートが切れるかが一番大事かなと自分は思っています。

――塁上などで、足を生かすために意識してやっていることはありますか
山口
  常に次の塁を狙うようにしていることです。
荒木(郁)  同感です。

――走塁関係なく、自分のプレーで印象に残っていることはありますか
荒木(郁)
  2年生の時のサヨナラホームランです。

――その時、ネクストに立っていた山口さんはどういう気持ちでしたか
山口
  サヨナラの場面で回ってくると思っていたから、自分のことで精一杯でした。

――回ってきてほしかったですか
山口
  そういう気持ちもあったけど、ちょっとホッとしたかな(笑)

――4年間で一番悔しかった思い出はありますか
荒木(郁)
  納得行く野球が出来ていない部分がある。その部分に時間を費やしてしまったことです。
山口  3年の春にケガをしてしまったことです。

――最上級生になって自分自身が変わったことはありますか
荒木(郁)
  色々な選手と話せる機会が増えて、自分の考えが間違ってるわけではないですけど、甘かったなと感じ、前よりはそれからものすごく考えるようになりました。
山口  プレーはわからないけど、副キャプテンとして、チーム全体を引っ張ろうとするようになりました。

――荒木さんに質問ですが、特に誰としゃべったことで考え方が変わったのですか
荒木(郁)
  世界大学野球などで伊志嶺(東海大)と一緒に行動していたのですが、その影響が強いと思います。

――どのように変わったか教えてもらえますか
荒木(郁)
  秘密です(笑)

――今の4年生の代がハンカチ世代と呼ばれていますが、何か意識していることはありますか
山口
  意識はしていないけど、ラストシーズンだからなんとか早稲田を倒したいっていう気持ちはあります。
荒木(郁)  彼がいて、大学野球が注目されている。気にしないといえば嘘になります。

――もう一度大学野球をやり直せるとしたら、もう一度やり直したいですか
荒木(郁)
  やりなおしません!
山口  1、2年はやり直さないけど、ケガをした3年はやり直したいという気持ちもあります。

――今シーズンお互いに期待していることはありますか
山口
  荒木(郁)は六大を代表する選手だから、やっぱり荒木は凄かったと言われるようなプレーをしてほしいです。
荒木(郁)  山口は持ち味の嫌らしさを打席や塁上で出していってほしいです。

――最後に秋のリーグの目標をお願いします
山口
  チームの目標は完全優勝日本一です。個人的なものとしては、色々な賞もあるけど、4年生全員で笑って終われるようにしたいです。
荒木(郁)  やることはやってきたので、最後と思わず、今まで通りプレーをしたいです。それと、4年生の力で優勝したと言われたいし、言わせたいと思います。

 守備同様、走塁の意識の高い明治にとって、2人は象徴的存在。今春は自慢の走力を攻撃に生かしきることができなかった。そのため、ラストイヤーを迎える俊足コンビの活躍でこの状況を脱し、硬式野球部創設100周年に優勝という華を添えたいところだ。


◆荒木郁也 あらきふみや 営4 日大三高出 180㎝・75㎏ 内野手 右/左
 引退後にしたいことは「ハワイに行くこと」。日本一を手土産にハワイに行くことができるか!?

◆山口将司 やまぐちまさし 政経4 春日部共栄高出 160㎝・64㎏ 右/両
 高校まで内野一筋の山口に外野守備について聞くと、「当時は内野でやりたいという気持ちもあったが、今では内外守れるのが自分の武器になりました」。打席でも守備でもチームを思う山口らしいコメントだった。