(2)ラストシーズンは「完全燃焼してリーグ制覇を」/山内佑規主将

1999.01.01
 9回裏・5対6・ツーアウト満塁――。春の立教2回戦のことだ。一打逆転サヨナラの場面で打席に立ったのは、山内主将(文4)だった。前日にはエース野村(商3)が打ち込まれ、まさかの黒星を喫している。この試合で負けてしまえば、勝ち点は得られない。「何とかしたいとしか思っていなかった」(山内主将)。フルカウントからの6球目、気持ちでとらえた打球は、ライナーでライト方向へ。しかしその落下点は無情にも、ライトの定位置だった。立教戦で勝ち点を落としてからはチームの調子が上がることなく、リーグ3位という結果に終わってしまった。

 その後、チームとしては守備の強化に重点を置いて練習に取り組んだ。「エラーをしても、次のプレーでカバーできるように」(山内主将)意識して練習に臨んできたという。春は失策からリズムを崩し、失点につながる場面が多く見られただけに、立て直しは急務だった。また、打撃では甘い球をやすやすと見逃さず、積極的に打ちにいく姿勢を徹底した。

 リーグ戦を戦うにあたり、山内主将個人としては「勝つためにはどうするか」を常に考えて行動したいという。試合に出られなかったとしても、ブルペンやベンチでチームのサポート役として最善をつくす。また、試合に出るための心構え・動きの準備も怠らない。「自分が出るのは、『ここで1本がほしい』とか『ここは1点もやれない』とか、そういう大事な場面だと思う。もちろんプレッシャーはあるが、4年間やってきたことを考えれば、結果を残す自信も出てくる」。日ごろからひたむきに練習に取り組んでいる選手にしか言うことのできない、力強い言葉だった。

 「優勝するのはこういうチームなんだ、というのを下級生にも伝えたい」(山内主将)。山内主将が4年間を通して最も印象に残っているのは、09年秋の優勝だ。リーグの後半からは自身がマスクをかぶり、優勝の原動力となった。「いい経験をさせてもらった。後輩にも経験させてあげたい」(山内主将)。自分が活躍したうえでの優勝ほどうれしいものはない。その喜びを知っているからこそ、それを後輩に伝えたいのだ。

 ラストシーズンとなる今季、「学生として野球に専念できる最後で最高の時間。完全燃焼して、春できなかったリーグ制覇をしたい」(山内主将)。明治の最終カードは立教だ。春の苦い経験から、「立教相手には目の色変えてやりたい」と思いは強い。もし最終カードで“勝てば優勝”のような状況になったとしたら、次こそは山内主将が決めてくれるはずだ。

◆山内佑規 やまうちゆうき 文4 桐蔭学園高出 174㎝・76㎏ 右/右 捕手