ルーキー特集(8)投げ込むボールに「自信」を込めて 関谷亮太

1999.01.01
 今年も日大三高から、明治の将来を担うであろう楽しみな逸材がやってきた。日大三高では2年生から主戦として活躍。高校3年では西東京代表として夏の甲子園にも出場し、1回戦の徳島北高戦では4安打完封勝利を飾った。大学に舞台を移しても十分にその実力を発揮。春季リーグ戦では、1年生投手として唯一神宮のマウンドに立ち「最初は自分の思うように投げられなかった」と言いながらも、法政を相手に3回を無失点に抑え、見事勝利を呼び込んだ。先輩投手の怪我で運よく転がりこんできた登板機会であったが、そこできちんと結果を出すあたりは、やはり並のルーキーではない。

 身長180㎝と大学生の投手としては、そこまで上背がある方ではないが、小学校4年までやっていたラグビーで培った身体のバランスの良さが光る。また普段から「考えるピッチング」を意識して投げている。中学時代、桑田真澄氏(元パイレーツ)が創設した麻生ジャイアンツでプレーし、頭脳的投球を学んだそうだ。それも1年春の神宮デビューにつながった要因であろう。

 「自分は特徴がないピッチャーなんで……」と関谷は自分自身ついて語る。たしかにボールそのものに圧倒的な凄味は感じない。だが最速144キロのキレのいい直球に加え、スライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーと多彩な球種をテンポよく投げ込む。直球と変化球を自在に操ることのできる、高いレベルでまとまった投手だ。さらに現在はツーシームも練習中、完成すれば、投球の幅はさらに広がる。

 となると現在は、制球力が生命線。「速球が速いわけではないので、コースをついて、低めに集めて打たせていきたい。……やっぱり真っすぐ速くなりたいですけど(笑)」と自身も口にした。岡(大・政経1)も「コントロールとマウンド度胸は一番」と太鼓判を押す。大学に入ってからは、投手として練習できる時間が増え、体幹を意識して練習している。「もっと全球種の精度を高めたい」と更なるレベルアップに意気込む。

 なお打たれたくない相手には「河合完治(法政)」の名をあげた。高校時代から練習試合などで面識があり、中京大中京高で全国制覇を達成した中軸に対して闘志を燃やす。春季リーグ戦で対戦したときは、見事に三振を奪って見せた。関谷は河合について「そんな簡単に終わるバッターではないことはわかっている」と言いながらも「次に対戦したときも絶対に抑える」と返り討ち宣言。新たな名勝負の誕生を予感させた。今後も、将来の六大学野球を担うであろうライバル対決に注目だ。

 普段はおとなしく、人見知りもすると言うが、そこは投手。マウンドに登れば一変する。「マウンドに立てば、自信がないと無理。常にマウンドで『俺たちはこんなに練習してきたんだ』と思って、自信を持ってやっている」と力強く語った。頭脳的な投球だけでなく気持ちの強さも持ち合わせる。春季リーグ戦という、いきなりの大舞台で結果を出せたのも、それまでの自分の練習に裏打ちされた矜持ゆえ。大学では「4年間で15勝ぐらい挙げたい」と将来のエースとしての地位確立に自信をのぞかせる。また「投球、フィールディングなど技術的なこと」だけでなく、「周りに目配り気配りできるような選手になりたい」と人間的な成長も忘れない。今秋は、まず初勝利を目指し、高校時代から立ち慣れたマウンドで、一回りも二回りも成長した姿を見せつける。大学野球の舞台でも、神宮の主役は譲らないつもりだ!!


◆関谷亮太 せきやりょうた 政経1 日大三高出 180cm・78kg 右/右 投手

好きな授業は「異文化理解とコミュニケーション」
「東方神起のYou tube再生回数」は世代ナンバーワンとの呼び声高い。