(5)4年生特集
駒尚明主将
男子エイトクルー
高校では成績を残せずにいた駒主将は、高3のインターハイを機に、大学でも続けることを決意。今では明大端艇部に入り主将を務め、最後のインカレではエイトに出場するまでに成長した。そんな駒主将のボート人生、そして最後のインカレへの思いを尋ねた。
高校時代は、あまり目立つ選手ではなかった。唯一出場した高3のインターハイでは、あと少しのところで予選敗退し、悔いが残った。それまでは大学でボートをする意志がなかった駒。しかし、「このまま続けていけば4年間で勝てるようになるんじゃないか。高校にはないエイトをやりたい」という思いが芽生え始める。
大学に入ってからは、「ついていけば大丈夫」と甘い考えからか、ボートに身が入らず、成績も残せなかった時期もあった。だが、昨年の5月の軽量級で気持ちに変化が起こる。3年生だった駒は1年生3人とクォドルプルに出場。その時、後輩が一生懸命に頑張る姿を見て、「今のままではまずい。後輩のためにもしっかりやらなければ」と、刺激を受けたそうだ。これがきっかけで、意識が変わり、きついときこそ楽しみ、がむしゃらに練習するようになった。その年、インカレに初出場し、舵手なしフォアのクルーリーダーも務めた。ここでも「きついところでも楽しむ」ことをクルーに言い続けた。その結果、全国大会で自身初の決勝に進出し、4位と総合順位に貢献した。駒にとってやれば結果がついてくること、気持ちの変化でこんなに変われるということを実感した年となった。
その後、学年で話し合い、自ら立候補して主将になる。理由は「インカレまで大学で結果を残していなかったが、そういう人でもやれば全国を狙えるということを部全体に伝えたかった」から。しかし、主将になり、予想以上にプレッシャーを感じ、思いのほか伝えることが難しいことを痛感した。同期、後輩関係なく周りに支えられながら、主将として尽力することができた。
そして、駒は今年のインカレに、エイトで出場する。これが全国大会でエイトに挑戦できる最初で最後の機会となる。エイトはレベルが高く、近年明大端艇部は決勝進出を逃しており、不安を感じているようだが、「やっと目標に近づけた。7年かけてやっと立てた」と大学ボートの花形であるエイトで、決勝を目指せるまでに成長した駒。あとは本番で力を出し切るだけだ。「出場するからには決勝まで進み、優勝に挑戦できる位置へいきたい」と、気合いは充分だ。熱い戦いが明日、幕を開ける。
◆駒尚明 こまたかあき 商4 学習院高等科出 172cm・75kg
女子シングルスカルクルー
シングルスカルで表彰台の頂点に立ち、史上初の女子総合優勝の原動力となったインカレから早2年。そこから数々の挫折を乗り越え、女子部主将を経験し、名実ともに本学端艇部のエースとなった中山友紀(文4)が最後のインカレに挑む。「感謝を込めて、もう一度インカレ総合優勝します。強くなった自分を見てください」、彼女のボート人生に多くの転機をもたらした人々に王座奪還を誓った。『人との出会い』を大切にしてきた彼女が、明大で手にした出会いとは――
高校でボートを始めた彼女が本学に入学するきっかけの一つとなったのは、高校2年次のインターハイでの出来事だった。自身は準決勝で敗退し、同じ埼玉出身の山口(平22政経卒)を応援していたが、わずかの差で山口は優勝を逃してしまった。この時「優勝できたらいいな、から、優勝したいに変わった」と感じたという中山。「山口先輩と一緒に乗りたい」と、自分に大きな転機をもたらしてくれた先輩を追って本学への入学を決めた。入学後も国体や全日本などでともに戦い、さまざまなことを学んだ。引退した今でも中山を精神的に支える存在でもある。彼女が女子主将に選ばれた時も「『お前なら大丈夫』と先輩から言ってもらえて楽になった」と語る。ボートに対する意識を変えてくれた先輩との出会いは今でも彼女の糧になっている。
下級生だった2年間は彼女のボート人生にとって大きな年となる。1年次の秋に人生初となる優勝を新人戦でつかむと、なんと勢いそのままに2年次のインカレも優勝を達成。中山は一躍、時の人となった。しかし、ここで「張りつめていた糸が切れてしまった」とボートに熱が入らなくなってしまう。学生最高峰のインカレで優勝しただけに、「これさえやっとけば勝てると、悪い意味で守りに入ってしまった」。その結果3年次のインカレではまさかの4位。モチベーションの低下に悩む日々が続く。そんな時、このピンチを救ってくれたのは、意外にも女子部最大のライバル・早大の選手だった。3年次のアジア選手権で、当時早大女子部のキャプテンだった先輩に、「練習はきついし、ボートって辛くないですか」と尋ねた中山。すると「私、ボート好きだから」と返ってきたという。「これを聞いてモヤモヤしていたものがパッと消えた」。結果ばかりを追い求めていた中山を原点に戻してくれた一言だった。これをきっかけに焦りが無くなり、気楽にボートを楽しめるようになった。
彼女の4年間を語る上で欠かすことのできないのはやはり同期の、山本(文4)、三谷(理工4)の2人の存在だ。2年次インカレに出場したシングルスカルは元々山本の得意種目だった。しかしケガで出場できなかった親友に代わり、不慣れな中山がシングルに乗ることになる。その重圧にも耐え、見事優勝。「レース後、2人が自分のことのように泣いて喜んでくれた」と語った中山。その口ぶりからは2人への信頼と感謝があふれていた。中山が女子主将になってからは2人の存在がより大きくなっていく。中山の気付かない部分、見えない部分に敏感に気付き、フォローしてくれたという。「それぞれの役目ができていた。2人がいたからここまでやってこられた」と改めて2人の存在の大きさを振り返った。今インカレ、三谷はケガの影響もあり、出場しない。「3人で出たかった。だからこそ自分が優勝して三谷にメダルを掛けてあげたい」。自分を支えてくれた同期のためにも、今大会に懸ける思いは強い。
中山のボート人生を支えてきた多くの人たち。その人たちに感謝の示す最後で最高の機会が訪れた。「先輩や4年間を支えてくれた人がいたからこそ今の自分がある。感謝の気持ちを形で表したい」。2年ぶりの総合優勝へ、ありったけの感謝をオールに乗せ、中山の最後の戦いが今始まる。
◆中山友紀 なかやまゆき 文4 越ヶ谷高出 172cm
5回に渡り連載した紫薫~for intercollegiate~2も、今回で最後となります。今までご覧いただきありがとうございました。そして明日からはいよいよインカレが始まります。男女ともに総合優勝を目標に1年間練習してきました。彼らの活躍に期待しましょう!
関連記事
RELATED ENTRIES

