(4)4年生特集

岩本勇祐
男子クォドルプルクルー
主力として2年生次から毎年インカレに出場する岩本。「(普段言えないような)下級生の意見も聞けるように」と、夕食後に後輩の部屋に行き、積極的にコミュニケーションを取るほどの後輩思い。そんな岩本は「自分は口下手なので後輩には行動でいろいろなものを伝えていきたい」と不言実行で後輩を引っ張る。そんな岩本の素顔とは。
“不言実行”を貫く岩本の高校入学明大への入学は意外にも“有言実行”そのものだった。彼がボートを始めたのは高校入学時のこと。始めるきっかけは「元々、スポーツで大学に進学しようと思っていたので、前年に杉谷さん(平20法卒)がボートで明治入ったと聞き、これだと思った」という理由だった。そして、その夜、岩本は母親に「ボートで明治に行くよ」と宣言し、ボート部への入部を決意した。
高校時代、岩本は「クルーボートの一体感が好き」と、ボートの世界にのめり込んだ。そして、高校2年生でインターハイに出場し、キャプテンとして迎えた高校3年生のインターハイでは準優勝。その実力が認められ、「まさか有言実行になるなんて」と、目標だった明大進学がかなった。
明大に入学し、まず慣れない寮生活への対応に苦しむ。また、人見知りということもあり、「本当にここに4年間も住むのかと不安になった」。しかし、そんな苦しい時期も一瞬で過ぎ去り、入学式が始まるころには生活面での不安は無くなった。しかし、競技の面での不安は残った。高校時代の輝かしい実績を持つ岩本であるが、1年生の間は故障もあり、試合に出られず、苦しい日々が続いていた。それ乗り越えるきっかけとなったのが、2年生次に行われた軽量級選手権だった。2人の先輩から、「勝つためにこの艇に乗ってほしい」と言われ、「気持ちの面で自分を奮い立たせてくれた」。そして同期の駒主将(商4)も加えて組んだ舵手なしクォドルプルで、大学で初めて決勝戦まで駒を進めた。それ以降、インカレのメンバーに選ばれるなど、チームの主力として、明大を引っ張っている。
最後となる今インカレでは舵手なしクォドルプルのクルーリーダーとして出場する。岩本は「個人の技術は高い。このクルーでなければ、見えなかったところが見える」と、確かな手応えを感じている。そして、「優勝して4年生としての責任を果たしたい」と熱く語った。ボートは大学で終わりと宣言している岩本。最後のインカレで優勝し、選手として最後の“有言実行”を果たしたい。
◆岩本勇祐 いわもとゆうすけ 商4 米子工高 175cm・75kg

山本有重
女子舵手付きクォドルプルクルー
JOC優勝、世界大会出場――。高校で数々のタイトルを手にし、順風満帆だった山本。大学でもその活躍が期待されていた。しかし、下級生のころは、結果が残せず苦しんだという。スランプ、そしてそれを乗り越えてきた彼女の4年間とは。
自分の体格にコンプレックスもあったためか、人に合わせて漕ぐチームボートが嫌いだった山本。そのため明大端艇部に入ってから、一人乗りのシングルスカルを好んで乗っていた。「周りもチームボートが嫌いだと分かっていた」と当時を振り返る。大学での成績はというと、1年次はインカレで準決勝敗退。勝つことが当たり前の彼女にとって、この結果はショックで、「プライドもあったし、勝てないことがつらかった」そうだ。そして2年次には思うように漕げない日々が続く。さらにインカレではあばら骨を疲労骨折し、レギュラー外に。舵取りのコックスとして大会に出場した。「このままコックスをやれば」という仲間のちょっとした冗談も当時の彼女には受け流すことができず、苦しんだ。
しかし2年の冬、山本は決心をする。「先輩からも言われていて、いつまでも嫌いと言っていてもしょうがないと思った」と、あれだけ嫌だったチームボートに乗ることを決めたのだ。始めは抵抗もあった。しかし、チームボートが嫌いというイメージを消し、自分自身を変えたかった。「今では私がチームボートに乗りたくないと思ってる人は少ないと思う」と、山本は語る。3年次の三大対抗レガッタでは伸び伸びと漕げるまでになった。インカレは、決勝に進めず惜しくも6位。しかし、「もう少し行きたかったけど、まだ殻から抜け出せてなかったのかな」と、結果を前向きに受けとめていた。
今はチームボートは好きかという質問には、「好きか嫌いか分からない」と答えた山本。しかし、今年6月の全日本軽量級選手権では舵手なしフォアで出たいがために教職をあきらめたという。もう彼女はチームボートを嫌いではないのかもしれない。
そして、大学最後のインカレにはクォドルプルで出場する。この種目は早大が強く、近年女子部は決勝進出を目標としてきた。しかし、今年は「やるなら優勝したい」と、クルーみんなで一丸となっている。「悔いのないレースがしたい。優勝じゃないと後悔すると思う。早大は強いが、自分たちも絶対にできるはず」。挫折を乗り越え、有終の美へと意気込む彼女の表情は、焦ることなく穏やかだ。
◆山本有重 やまもとゆえ 文4 宇和島東高 157cm
次回の「紫薫」は8月18日更新予定です。
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