好投光った!プロ相手に引き分ける/セ・パ60周年記念試合

1999.01.01
 セ・パ両リーグ誕生60周年を記念して開催されたこの試合。プロの選抜チームと大学日本代表の対戦は史上初の試みだ。このアマチュアとプロの壁を越えた一戦に、明治からは野村(商2)に加え、荒木(郁・営3)と西嶋(商3)が大学日本代表に選出された。プロが意地を見せつけるのか、大学が一泡ふかせるのか。4万超えのプロ・アマチュア両野球ファンのものすごい熱気に包まれる中、試合は始まった。

 先攻は大学日本代表。初回の攻撃は前田健太(広島東洋カープ)相手に三者凡退で終えた。その裏、先発の斎藤(早稲田)は1番・坂本勇人(読売ジャイアンツ)にいきなり安打を許すと、2番・松本哲也(読売ジャイアンツ)には四球を与え、いきなりピンチを招いてしまう。3番・天谷宗一郎(広島東洋カープ)を4―6―3のダブルプレーに打ち取るが、4番新井貴浩(阪神タイガース)にライト前に運ばれ先制を許す。5番・亀井義行(読売ジャイアンツ)をファーストゴロに抑え、なんとか1点で切り抜けた。

 5回には、久米勇紀(平20農卒・現福岡ソフトバンクホークス)と試合前に「久米さんと対戦したい」と話していた荒木(郁)との先輩・後輩対決が実現した。結果は初球にピッチャーへのライナーで軍配は久米に上がる。「ヒットになって欲しかったけど、いい当たりなのでよかった」(荒木郁)と先輩との対戦を楽しんだようだ。

 大学日本代表にチャンスが訪れたのは6回。大隣憲司(福岡ソフトバンクホークス)から先頭の小林(同大)が中前安打で出塁すると、林崎(東洋大)がきっちり送り、伊志嶺(東海大)がショートへの内野安打で続く。1アウト一、三塁のチャンスで1年生・多木(法政)が放った打球はショートとレフトの間に落ち、小林が生還。ついに同点に追いついた。

 7回からは野村が登板。大和(阪神タイガース)に左前安打を打たれてしまう。続く大崎雄太朗選手(埼玉西武ライオンズ)から三振を奪うが、対戦を望んでいた中田翔(北海道日本ハムファイターズ)には「力が入った」(野村)と四球を許す。しかし銀二朗(埼玉西武ライオンズ)を空振り三振に、坂本選手をサードゴロに抑え、絶体絶命のピンチを逃れた。
 8回には西嶋がマウンドへ。しかし、松本選手にストレートの四球を与え、天谷にセンター前に運ばれたところで降板。交代した菅野(東海大)が無失点に抑え、点にはつながらなかったものの、ほろ苦い代表デビューとなった。

 その後も両者譲らず規定により9回引き分け。大方の予想をいい意味で裏切った。U―26の高田繁(昭43農卒・現東京ヤクルトスワローズ)監督も「今すぐプロにいってもやっていけるようなピッチャーが何人もいた」と大学日本代表の投手を評価した。この試合は、選手たちにとってプロのレベルを肌で感じることができ、またそれを自信につなげられるよい機会となったことだろう。

 また、今回プロとアマチュアが交流できるこのような機会がもっとあればいいとの声が両チームの監督、選手から上がった。今後もプロとアマチュアの交流を増やし、互いに刺激を与え、日本全体の野球レベルを上げていってほしい。