
春の悔しさを胸に、次のステージへのステップアップ・多田隼仁

その打球が、一二塁間を鮮やかに抜けていく。昨秋まで代打での出場のみ、放ったヒットはわずか1本の男が、今季チーム初ヒットを右前に決めた。
今春、小林雄斗選手(平21政経卒・現日立製作所)と池田樹哉選手(平21法卒・現JR東海)が卒業し空いた外野のポジション。その穴を埋め、今では紫紺軍団の主軸を担うのが多田隼仁(政経4)だ。今春の開幕戦に7番レフトでスタメン出場。その後も試合に出続け、規定打席にはあと1打席届かなかったものの、全試合に出場した選手の中ではチーム2位の打率を残した。
そんな多田も今春、慶応戦では左腕エース・中林(慶応)対策でスタメンから外れた。左投手に対する苦手意識はない。ただ悔しい気持ちでいっぱいだった。それからというもの、打撃練習でも左投手のゲージを選んで入るなど首脳陣へのアピールを続けた。
その努力のかいもあってか、6番レフトで先発した今季開幕戦で、3打数3安打の“猛打賞”。同点の8回、2死二、三塁で回ってきた第4打席には、立教バッテリーに敬遠の選択肢しか与えなかった。2戦目からは5番に昇格、3戦目で今季チーム初の適時打を中前にはじき飛ばした。勝負強さと強い責任感が、今季の明治打線を支えていく。
卒業に必要な単位はもう取り終わり、今季は野球に集中できるという。また、卒業後は社会人チームで野球を続けることが決まっている。この秋を「社会人に向けて、という意味でも大事なシーズン」と位置付け、己のレベルアップには余念がない。昨季果たせなかった全試合スタメン出場に向け、まずは好スタートを切った。この勢いに乗って、次のステップへと羽ばたいていくつもりだ。
◆多田隼仁 ただはやと 政経4 日大三高出 178cm・77kg 右/左 外野手
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