ケガを乗り越え蘇った打の要・謝敷正吾

1999.01.01
 「3番ファースト謝敷――」スターティングメンバーを告げるアナウンスが復活の合図だった。春季リーグ開幕戦となった東大1回戦。ケガから復帰し、スタメンに名を連ねた謝敷(商3)。復帰後初打席でいきなり安打を放つなど、ブランクを感じさせない活躍を見せた。

 その後のカードでもバットは好調。打撃不振がささやかれたチームにおいて、打率3割3分3厘を記録し、一塁手のベストナインも獲得した。「ベストナインはごほうびみたいなもの」と笑ったが、シーズン終盤の早稲田、法政の両カードでは4割を超える打率をマークするなど、大一番になればなるほど、その存在感は増していった。「謝敷が帰ってきた、というイメージを植えつけたい」と春のシーズン開幕前に話していたが、復活をアピールするには十分な活躍だった。

 それでも「秋は苦しみそうなので対策をしている」とぬかりはない。夏の高森合宿ではただ直球ばかりを打ち返すのではなく、変化球も織り交ぜた打撃練習を行うなど、より実戦に近い練習を取り入れた。また、春の活躍でチームの信頼も得た。「謝敷に回せばなんとかしてくれる」(安田・文4)。謝敷のバットに懸かる期待は大きいが、「自分は主軸の役割なので、毎回気持ちを入れないといけない。目標は打点トップ」と自分の役割もはっきりと認識し、気合十分だ。

 完全復活を果たし、今やチームに欠かせない存在となった謝敷。だが本当の戦いはこれからだ。「秋は絶対優勝したい」。自身にとっても、チームにとっても勝負の秋。謝敷のバットがチームの勝利をたぐり寄せる。

◆謝敷正吾 しゃしきしょうご 商3 大阪桐蔭高出 178cm・83㎏ 右/左 内野手