
悲願達成! 主将の一振りでつかんだ5季ぶり44度目の栄冠/東京六大学秋季リーグ戦

リーグ優勝を懸けて挑む大一番。5回裏に木本圭一主将(政経4=桐蔭学園)の適時打で均衡を破ると、投手陣の力投で虎の子の一点を守り抜き、1―0で勝利。ここ2年間で「勝てば優勝」という試合を3度落としてきた明大だが、ついに悲願を成就させた。

(明)大室、○三浦、菱川、大川―小島
(早)●髙橋煌、香西―吉田瑞
【安】(明)5(早)6
【二】(明)木本(5回)、内海(7回)(早)前田健(2回)◇犠打2 ◇盗塁1 ◇併殺1 ◇残塁5 ◇失策1
先発のマウンドを任されたのは、防御率0.71と抜群の安定感を誇る大室亮満投手(文2=高松商)。初球でピッチャー返しを受けるアクシデントに見舞われたが、動じることなく冷静に対処。早大上位打線を三者凡退に抑え、上々の立ち上がりを見せた。2回表、前田健(早大)に左翼越えの長打を浴び、一、三塁の場面を迎えるも、後続を断って無失点。3回表に2奪三振を記録した大室が、4回表には先頭安打と四球などで再びピンチを招くも、味方が好守で援護。1死二、三塁の場面で田村(早大)が放ったファウルゾーンへの難しい飛球を岡田啓吾内野手(商3=前橋育英)がスライディングキャッチ。さらに、素早い送球で本塁を狙う三塁走者を刺し、ビッグプレーでピンチを切り抜けた。
一方、早大の先発は髙橋煌。打線は2回裏、主砲・小島大河捕手(政経4=東海大相模)の内野安打、宮田知弥内野手(商4=横浜)の犠打で得点圏の好機をつくるも、あと一本が出ず。3回裏、2死から岡田が内野安打で出塁し、すかさず俊足を飛ばし盗塁成功するも、田上夏衣外野手(商2=広陵)が振り抜いた打球はセンター正面。この回も無得点。
5回表には三浦心空投手(政経3=東邦)が登板。先頭打者の石郷岡(早大)から148キロの真っ直ぐで見逃し三振を奪うと、ストライク先行の投球で後続を打ち取り、好リリーフで流れを引き寄せる。投手陣の力投に応えたい打線は5回裏、先頭の光弘帆高内野手(商3=履正社)が流し打ちで出塁し、内海優太外野手(商3=広陵)の犠打で1死二塁の好機を広げる。打席には木本。不振に苦しんだ今季だったが、2球で追い込まれながらも粘りを見せ、髙橋煌が投じる5球目を完璧に捉えると、打球は左中間を破る先制の適時二塁打に。意地の一打を放ち、二塁ベース上で力強くガッツポーズを見せた主将を、明大ベンチも応援席も総立ちと大拍手で称えた。
6回表からは菱川一輝投手(文4=花巻東)がマウンドに上がる。今季無失点のセットアッパーは、2死から連打を許すも、タイム後に立て直し、前田健を三邪飛に仕留めてピンチを脱する。続く7回表も無失点に抑え、勝利へのバトンをつないだ。8回表にはリリーフエース・大川慈英(国際4=常総学院)が登場。早大の中軸から連続三振を奪う圧巻の投球を披露し、8回表を三者凡退に抑える。
そして最終回。あと3人を抑えれば栄光の瞬間を迎える中、先頭の寺尾(早大)を内野ゴロに打ち取る。続く前田健に投じた4球目が甘く入り、打球はライト方向へ大きな放物線を描く。スタンドが息を呑む中、白球は逆風に戻されフェンス際で失速し、田上がキャッチ。優勝まで、あとアウト1つ。マウンド上の大川が3球で打者を追い込むと、持ち味の151キロ直球で空振り三振を奪取。雄叫びを上げた瞬間、紫紺の戦士たちがマウンドへ駆け寄り、歓喜の輪が広がった。2023年春以来、実に5季ぶりとなる賜杯をその手にした。
破竹の勢いで勝ち進み、投打にわたり圧倒的な力を見せつけ、栄冠をつかんだ猪軍団。最終カードの立大戦で連勝すれば、1996年秋以来となる全勝優勝の偉業達成となる。29年ぶりの快挙へ、〝チーム木本〟が最後まで猪突猛進に駆け抜ける。
[李翔恩]

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