関東王者 初戦敗退/全日本大学選手権

2025.08.25

 関東地区大学選手権(関東)で優勝し、全日本大学選手権への出場権を手にしてから約5カ月。満を持して臨んだ今大会は2回戦から登場し、昨年度王者・中大と激突した。先発の伊藤彩斗投手(営2=土浦日大)は8回2失点の熱投を見せると、打線は6回表に鈴木朝陽内野手(法3=三重)の適時打で1点を返す。その後も打線は好機をつくるも、あと一本が出ず、初戦敗退となった。

◆8・19~24 全日本大学選手権(札幌市円山球場他)
▼8・21 2回戦 対中大戦(札幌市円山球場)
 明大1―2中大〇

 初戦で難敵の中大と対決することとなった明大は、先発のマウンドに伊藤を送り込んだ。関東の準決勝で相対した時は完投勝利をしており「特にマークされていると思ったので、相手の対策よりもはるか上のピッチングができるようにというのを心掛けて、チームを勝たせることだけを意識してマウンドに立った」(伊藤)。初回は三者凡退と上々の立ち上がりだったが、2回以降は毎回走者を出す苦しい投球となった。2回裏は1死三塁の場面で相手打者がスクイズ。投手正面に転がる当たりだったが、捕球し切れず1点を失うと、5回裏は2死二塁から代打に適時打を許した。ただ、その後は安定感を取り戻す。「バッターも(自身が)長いイニングを投げることによって、自分の球筋がどんどん慣れてくると思うので、逆にそれに負けないようにという思いで8回まで投げていた」(伊藤)。6、7回裏は三者凡退、8回裏は2死満塁となったが、最後は右飛でピンチを脱した。

 打線は相手先発に対し、満田悠生内野手(営4=中京大中京)が高相性。「必死にやった結果が一つこの舞台で出たのはすごくうれしかった」(満田)と振り返るように、1回表にチーム初安打となる左安打を放つと、4回表にも安打。6回表はこの日3安打目となる内野安打で出塁すると、2死二塁で打席には鈴木が立った。「真っすぐはもう投げてもらえないなと思っていたので変化球に絞った。簡単に追い込まれて、そこから(自身が)全然焦る感じもなかったので『これいけるかな』と思って頑張って打った」(鈴木)。遊撃手の頭上を越える逆方向への適時打で1点を返した。

 中盤から本領発揮の打線は7回表、吉武航世外野手(文4=岩国)が死球、成田昌司外野手(政経3=明大明治)が左安打などで1死一、三塁とこの日最大の好機を迎える。ここで中大は3番手に大山北斗投手(中大)を送り込むと、球威に押されて後続が連続三振。同点への一打が遠いまま1―2で迎えた9回表、後がなくなった明大は代打攻勢を仕掛けるも、大山の前に出塁ができず、2死から最後の打者が空振り三振に倒れた。「自分たちもレベルアップをしていたつもりだったが、中大の方がレベルが上がっていた」(山田聖和主将・農4=東海大菅生)。関東王者として全日本に乗り込んだが、初戦で姿を消すこととなった。

 「チームとしてもう一度同じ方向を向いて、日本一を目標にして『頂』というスローガンも立てているので、春の関東優勝だけでなくもう一つ、そして関東王座(関東地区大学・社会人王座決定戦)も(秋季リーグ戦を)優勝すればあると思うので、大学3冠を取る」。満田がインタビュー中にあふれた涙を拭ってこう宣言すれば、山田聖も「この悔しさをどれだけ秋季リーグ戦だったり、(秋季リーグ戦を)優勝して関東王座につなげていけるかが課題だと思うので、一から全ポジションをフリーにして、誰でも出られるような、2枚目(控え)も強いようなチームをつくっていけたらなと思う」と、主将として決意を新たにする。関東制覇から始まり、春季リーグ2位、そして全日本初戦敗退。再び上位浮上へ、現体制最後のリーグ戦は8月末に開幕する。

[北原慶也]

試合後のコメント
山田聖
――今年度の全日本への思いを聞かせてください。
 「自分自身は試合に去年出させてもらったのですが、(打球が)顔に当たってケガで出られなかったという悔しさがあって。今年はキャプテンという立場で、なおかつ関東優勝という形で挑まさせていただいたのですが、くじ運もあって、いきなり去年の覇者と(対戦)。ここで気持ちはいつも以上に入れたのですが、こういう形になってしまったので悔しい気持ちでいっぱいです」

――試合全体を振り返っていかがですか。
 「中大だったら結構点取られて大差になるか、こういう緊迫した場面になるかが一応頭に浮かんで、どっちかなというのは。こういう試合になって、ここで勝ち切れたら日本一に近づけるチームであって、ここで勝ち切れなかったというのは、何かしらの要因だったり、一体感がなかったかなと思います」

満田
――昨年度は全日本出場のための予選会を勝ち上がっての出場でしたが、今年度は関東優勝で出場となりました。違う点は感じましたか。
 「今年はチーム結成した時から日本一を目指して、最初に関東優勝したら全日本の出場権もつかめることは分かっていたので、関東で結果が出た中で、長い春リーグを通して全日本に準備できたのはすごく良かったかなというふうに思っています」

――僅差の試合となりましたが、何が足りませんでしたか。
 「中大は関東で負けて、気持ちがすごく出ていて。チームももちろん、もう一度チャレンジャーの気持ちでやっていけたと思うのですが、最後一本出るか出ないかって、技術面よりも気持ちの面だったりとか。7回に大山くんが出てきて、あの時の気迫、ピッチャーの気迫と打席に立った2人の気迫を俯瞰(ふかん)して見たら、向こうの方が気持ちが勝っていたかなというふうに思うので、そういうところの執念だったり気持ちというところがもう少し出れば、もう少し結果は違ったかなと思います」

鈴木
――中大との再戦となりましたが、明大としてはどう対策をしましたか。
 「夏休みに入ってからずっとマシンで速い球で目を慣らして、昨日(中大の1回戦)は左投手が途中から出てきて、左ピッチャーの変化球を対策していたのですが、変化球でも、想定よりもう一個上のキレだったりとか、想像以上の球が向こうは来ていたので、さすがだなと思いました」

――来年度以降、何が必要になってくると思いますか。
 「今年出ていた主力はだいぶ来年も残るので、そこがもう一回引っ張って、今ベンチで見ていたメンバーがもっと『ここで野球をしたい』と思ってもらえるようなチームづくりをこれからしていって、もっとチーム全体のチーム力を上げていきたいなと思います」

伊藤
――2年連続で全日本初戦の先発に選ばれましたが、その点に関していかがですか。
 「やっぱり初戦という大事な、しかも全国の舞台で大事な初戦の先発を去年に引き続き任せてもらうということは、すごく自分自身ありがたいことだと思いましたし、なかなか初戦でしか味わえない緊張感だったりというのを去年も経験できたからこそ、今年もしっかりとマウンドで堂々と投げることができたかなと思います」

――試合終了直後の気持ちはどういうものでしたか。
 「自分が8回まで全部投げて2失点で、その2点で負けるというのがすごく悔いが残るというか、自分の取られた2失点で負けたというのが、まず一番頭を巡って、後ろに4年生の人にもすごく申し訳ないなと思いましたし、打線もなかなか相手の投手陣から1点を取るというのがすごく難しいと思ったので、その1点を取ってくれたのにもかかわらず、自分がゼロで踏ん張れなかったというのが、まずはすごくチームのみんなに申し訳ないなと思いました」

――秋に向けて具体的に目指すのは何ですか。
 「日本一というのはこのチームでは達成できなかったですが、このチームのスローガンというのは『頂』ですし、頂というのは、まだ秋のリーグ戦の頂が残っているので、特に今回の負けは自分のせいで負けたと感じてるので。このチームでやる大会は秋のリーグ戦が最後になるので、絶対どのチームにも勝って、完全優勝して、最後4年生に優勝という恩返しが最後できればなというふうに思っているので、残り1週間でなかなか自分自身切り替えられている部分がないのですが、残り1週間で何とか切り替えて、30日の慶大戦から自分自身も頑張っていきたいなというふうに思います」