
猛攻で一時逆転も 昨秋に続く優勝決定戦で涙飲む/東京六大学春季リーグ戦

1939年以来、86年ぶりとなる2季連続の優勝決定戦。初回に4点先制され苦しい展開が続く中、3回表に小島大河捕手(政経4=東海大相模)の逆転3点本塁打などで一挙5得点。しかし中盤で逆転を許し、5―6で接戦を落とした。

(早)○伊藤樹―吉田瑞
【安】(明)9(早)12
【本】(明)小島(3回)
【二】(明)榊原(3回)友納(7回)(早)小澤(1回)渋谷(5回)◇犠打2 毛利(3回)友納(9回) ◇残塁5 ◇失策0
大一番のマウンドを任されたのは、リーグ戦全カードに先発登板し、最優秀防御率を獲得した毛利海大投手(情コミ4=福岡大大濠)。これまで安定した投球を続けてきた毛利だが、この日は立ち上がりから苦戦。先頭打者の出塁を許すと、早大の中軸に3連打を浴びて先制される。その後も守備の乱れが響き、吉田瑞(早大)に適時打を放たれるなど失点止まらず。終わってみれば打線一巡の猛攻受けて失点を喫した。
対する早大の先発は直近6度の対明大戦で6勝0敗防御率0.19と、圧倒的な数字を誇る伊藤樹。なんとか攻略したい打線は初回、リードオフマン・田上夏衣外野手(商2=広陵)が鋭い当たりで先頭出塁するも、後続が犠打に失敗し、さらに牽制死も重なって無得点に終わった。反撃の口火を切ったのは3回表。福原聖矢捕手(国際3=東海大菅生)が112キロのカーブを捉えて出塁すると、友納周哉内野手(文3=福岡大大濠)が三塁線へ巧みなセーフティバントを決め、好機を演出。1死満塁の場面、岸本一心外野手(文3=横浜)が犠飛を放ち、伊藤樹からは34イニングぶりとなる得点を記録する。続く榊原七斗外野手(情コミ3=報徳学園)が勝負強さを発揮し適時二塁打でさらに1点を加えると、4番の小島が初球を完璧に捉え、ライトスタンドへ逆転となる3点本塁打を叩き込む。早大3回戦で土壇場に同点弾を放った天才打者が、再び一振りでチームを救った。
初回の乱調から立ち直った毛利は、2回裏を三者凡退に抑えると、3回裏、4回裏には走者を出しながらも、いずれも併殺で切り抜ける。しかし5回裏、1死から連打でピンチを迎えると、寺尾(早大)にこの日3本目となる安打を浴び、逆転を許す。打線は4回表から6回表まで安打が出ず、一点が遠い展開に。リリーフ陣は奮闘し、6回裏を大室亮満投手(文2=高松商)、7、8回裏を松本直投手(情コミ3=鎌倉学園)がそれぞれ無失点でつなぎ、味方の反撃を待った。しかし打線は7回表の1死一、二塁の好機をモノにできず、8回表も2死一塁の場面で木本圭一主将(政経4=桐蔭学園)が右飛に倒れ、流れを引き寄せ切れなかった。そして迎えた最後の攻撃。先頭福原が二遊間を破る安打で出塁し、友納の犠打で1死二塁の好機をつくる。ここで代打の岡田啓吾内野手(商3=前橋育英)が右翼へ安打を放ち、走者の福原が本塁を狙うも、ライト・石郷岡(早大)の好送球に阻まれタッチアウト。最後の打者・田上が3球目を力強く振り抜くも、打球は石郷岡のグラブに収まり、15試合を戦い抜いた明大の春に終止符が打たれた。
試合前には髙須大雅投手(法4=静岡)が、負傷により欠場した大川慈英投手(国際4=常総学院)のユニフォームをベンチに掲げるなど、仲間の想いとともに決戦へ臨んだ猪軍団。苦手とする伊藤樹から5点を奪う意地を見せたが、早大の壁は高く、あと一歩及ばなかった。これで4季連続の2位。法大2回戦をはじめとする勝負どころを取り切れなかった悔しさを糧に、秋こそ賜杯を奪還したい。
[李翔恩]
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