(16)望みをつなぐか、脱落か…天王山・早稲田戦展望

1999.01.01
 いよいよ明日から、連覇を目指す明治と、王座奪還を目指す早稲田の直接対決が始まる。明治はここで勝ち点を落とせば優勝がなくなるだけに、絶対に落とせない1戦だ。

 春は屈指の投手陣を誇る両校が、レベルの高い投手戦を展開。初戦、荒木(郁・営2)が松下から放った劇的なサヨナラホームランで流れをつかんだ本学が2勝1敗で勝ち点を挙げ、優勝を大きくたぐり寄せた。

 その両校投手陣。今秋は両校でやや状況が違う。

 本学の先発投手陣は岩田(営4)と野村(商1)が濃厚。春から急成長を遂げた野村は今秋から先発に定着。23回を投げて防御率0.00と抜群の安定感で、首脳陣の信頼も厚い。岩田も序盤戦こそ不調で苦しんだが、法政戦で完封勝利を挙げるなど復調気配を見せている。しかし、後に控えるリリーフ陣の近藤(政経2)、森田(法1)らは実力は十分あるが、大舞台での経験が少ないのが不安材料だ。

 一方の早稲田の先発はエース斎藤と松下が予想される。中でも春の雪辱に燃える松下は要注意だ。持ち味のテンポ良い投球を取り戻し、投手陣を引っ張っている。リリーフ陣も相変わらず強力だ。脅威の奪三振率を誇る大石は安定感抜群。春に続いて、秋もここまで無失点。絶対的なリリーフエースとして君臨する。さらには長身から角度のある球を投げ込む楠田が台頭し、大前も貴重な左腕として活躍。顔ぶれこそ春とあまり変わらないが、厚みは増したと言えるだろう。

 それらを攻略する攻撃陣は両校とも低迷気味だ。明治は小林(雄・政経4)が打率3割4分8厘と1人元気に打線を引っ張るが、4番の佐々木(政経4)は打率1割台、小道(法3)もケガの影響もあり本調子とは程遠い。法政2回戦では7得点を挙げたが、それには相手投手の乱調による10四死球やタイムリーエラーなどがからんでおり、打ち勝ったという印象ではない。

 早稲田打線は極度のタイムリー欠乏症に悩む。1番の上本は大学通算100安打を達成し、同じく100安打を目指す3番の松本は打率3割7分8厘で現在首位打者。4番原も2本塁打、7打点と各選手が好成績をたたき出している。にもかかわらず法政3回戦では16残塁、4回戦は13残塁と拙攻続き。そのため、法政戦では大苦戦を強いられた。

 勝負のポイントは調子の上がらない打線が、強力投手陣から1点をいかにして取るかだろう。守備側は無駄なミスや四死球は致命傷になる。逆に攻撃側はどれだけそこに付け込めるかが重要だ。

 春に死闘を繰り広げたこのカード、秋もただで終わるはずはない。また、春に続いて「紫紺の日」も開催される。今週末は神宮球場で繰り広げられる熱いドラマを見に行こう!