
(11)ラストシーズンに懸ける思い~佐々木大輔~

まだ肌寒さの残る春。学生野球最後の1年に、佐々木(政経4)は並々ならぬ意気込みを見せていた。「この1年、死ぬ気で」。プロへの夢を懸け、誰よりも気迫に満ちて開幕を控えていた。その矢先に彼を襲った、ケガという不運。どうしようもない現実に、佐々木は絶望のどん底へと突き落とされた。
自分の出られない試合をスタンドで見守る日々。「腐ってた時もあった」という佐々木だが、決してそのままでは終わらなかった。野球がしたい、チームの力になりたい。悲劇に打ちのめされてなお消えることのなかったその思いを胸に、懸命のリハビリ生活を送った。そして彼を待ちわびる神宮に見事復活。主砲を迎え、明治は悲願の優勝を果たした。
ケガもようやく完治し、始まった最後のシーズン。2試合連続の本塁打で、佐々木は開幕戦から堂々の活躍を見せた。「自分が入ることで抜ける誰かの分も、しっかり仕事をしたい」と話していた佐々木。戦列を離れていた歯がゆい日々は、彼に試合に出られることの大切さと責任、そして何より野球ができることの幸せを教えた。最後のシーズン、とにかく「楽しく野球がしたい」。逆境を乗り越えた佐々木だからこそ、できる野球がある。
◆佐々木大輔 ささきだいすけ 政経4 日大三高出 178cm・87kg
※9月26日発行明大スポーツ瓦版 ラストシーズン第2回より転載
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