
吉武が値千金の決勝打で慶大を下す 暫定1位で首位攻防戦へ/東京六大学準硬式野球春季リーグ戦
慶大との連戦に臨んでいる明大。2回戦のこの日は、1回戦とは打って変わりシーソーゲームの様相となった。試合は2点を追う5回裏に、打線が相手投手陣を攻め立てて一挙3得点。逆転に成功すると、同点に追い付かれた直後の8回裏には、途中出場の吉武航世外野手(文4=岩国)が詰まりながらも左翼手の頭上を越える適時打で勝ち越した。
◆4・5~5・25 東京六大学春季リーグ戦(早大東伏見グラウンド他)
▼4・27 対慶大2回戦(法大多摩グラウンド)
○明大4―3慶大

先発のマウンドに上がったのは前カードでも2回戦で先発した淺田真樹投手(法2=宇部鴻城)。前回は6回1失点と好投したが、この日は立ち上がりから制球が安定せず、1回表に1死一、三塁のピンチから右翼手前にポトリと落とされる適時打を浴びて先制を許す。その後も毎回走者を背負い、4回2失点(自責点1)で降板となった。
2点をリードされた中で迎えた5回裏、先頭が四球で出塁し、相手投手の暴投と公式戦初打席の金井俐樹捕手(農1=健大高崎)が犠打を決めて1死三塁と好機を演出。福本真士外野手(営4=明大八王子)が右翼フェンス直撃の適時二塁打を放つと、続く成田昌司外野手(政経3=明大中野)は「割り切って甘い球だけ、見逃し三振は仕方ないという気持ちで向かった」(成田)。フルカウントからの適時打で同点に追い付く。なおも続く好機に鈴木朝陽内野手(法3=三重)が「上位打線が塁に出てくれて、調子もいいので、自分が打つことによって点が入るという責任感を持って(臨めた)」と、右翼への勝ち越し適時打で逆転に成功した。
6回表からは伊藤彩斗投手(営2=土浦日大)がマウンドへ。「チームが絶対勝つために、どの回から行ってもチームに流れを呼び込めるような投球をしようと思っていた」(伊藤)と、ケガからの復帰登板に臨んだ。6回表は得点圏に走者を許したが無失点で切り抜け、7回表は三者凡退。8回表も先頭打者を斬ったが、その後2安打と味方の失策により同点に追い付かれた。ただ「ケガも完治ではないが、今日の感じならいい投球だった」(伊藤)と手応えを感じた。
8回裏、先頭の首藤諒祐外野手(総合2=川越東)が四球で出塁すると、2死二塁と一打勝ち越しの好機をつくり、吉武に打席が回った。関東大学地区選手権(関東)、準々決勝の亜大戦以降、16打席連続無安打と不振の右打者は「プラスに考えようと思って、打席の中で思い切って打とうと決めていた」(吉武)。6球目を振り抜くと、ふらふらと上がった打球は前進守備を敷いていた左翼手の頭上を過ぎ、勝ち越しの適時二塁打に。「落ちた瞬間、うれしいより安心した。本当に良かった」(吉武)。長いトンネルを脱する執念の一打で戦況を再びひっくり返した。
9回表はクローザー・小磯孝平投手(政経4=日大二)が貫録の三者凡退投球。4―3で接戦を制し、これで全カードで勝ち点を奪取した明大は、次週の早大との首位決戦に臨む。関東では大勝しているだけに「(早大は明大を)マークしてくると思うので、その上を行くチームの勢いだったり明治らしい野球をできれば、きっと2連勝すると思う。深く考え過ぎずにいつも通り自分たちらしい野球ができればと思う」(伊藤)。早大との正念場を乗り越えた先に、歓喜の瞬間は待っている。
[北原慶也]
試合後のコメント
吉武
――早大戦へ向けて意気込みをお願いします。
「チームが勝つのが一番なんですけど、自分の立場としては結果を出して、自分が結果出せればいい方向につながると思います。まずは自分のことをしっかり考えて1週間を過ごしたいです」
鈴木
――ここまで全カードで結果を残し、ベストナインも狙えると思います。
「春季リーグ戦が始まる前から欲しかった賞ではあるので、早大戦も意識せずにと言ったら多分厳しいですが、程よく意識しながら頑張りたいと思います」
成田
――試合全体を振り返っていかがですか。
「痺れました。先制されたので危ないかなと思ったのですが、ベンチの雰囲気が良かったので、勝ちにつながったと思います」
伊藤
――走者を背負いながらの投球となりましたが、何か意識していたことはありますか。
「まずはボール先行にならないことを意識して。ボール先行になってしまうと守備も少し守りづらい部分がありますし、自分自身もどんどん崩れていくパターンが、ボール先行というのが一つあるので、今日はなるべくボール先行にならないことを意識して、ランナーを出してからもノーランナーからでも意識できたかなと思います」
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