関東制覇! 立大に零封勝利で6年ぶり8度目の栄光/関東地区大学準硬式野球選手権

2025.03.28

 横須賀スタジアムで行われた関東地区大学選手権(関東選手権)、決勝。明大は前回制覇した2019年以来の決勝の舞台で、60年ぶりに優勝を狙う立大との東京六大学対決に臨んだ。試合は終始投手戦となったが、6回表に鈴木朝陽内野手(法2=三重)のスクイズで先制すると、9回表にも鳥越駿太郎外野手(政経2=桜美林)のスクイズで追加点を獲得。投げては3投手のリレーで最後まで立大打線に本塁を踏ませず、6年ぶり8度目の優勝を果たした。

◆3・10~24 関東地区大学選手権(早大東伏見グラウンド他)
▼3・24 決勝 対立大戦(横須賀スタジアム)
〇明大2―0立大

 6年ぶりの決勝の舞台で、先発のマウンドに上がったのは初戦以来の登板となった森慎之介投手(商3=佼成学園)。「緊張したが、任された以上はチームのために、と思って投げた」と今季から背中にエースナンバー・11を着けた右腕は、4回まで全て3者凡退と安定感のある投球を披露。5回裏こそ1死一、三塁と得点圏に走者を背負ったが、続く打者のセーフティースクイズを許さず三振に切り、スクイズに伴って飛び出した三塁走者も帰塁できずに併殺とした。渾身(こんしん)のガッツポーズも飛び出した森は「本当に変化球が決まっていたので良かった」と5回と3分の1を投げ無失点。立大打線を封じ、打線の援護を待った。

写真:力投する先発の森)

 スクイズを阻止した直後の6回表、今度は明大打線が1死一、三塁と先制の好機。打席には全試合で4番起用の主砲・鈴木朝陽内野手(法2=三重)が立つ。初球はバットを寝かせ、2球目はフルスイング。相手守備陣を揺さぶると3球目、鈴木は再びバットを寝かせて白球を一塁方向に転がし、見事にセーフティースクイズを決めた。「打席に入るときは『自分が決めてやろう』と思っていたが、(スクイズの)サインを見たときは意外と冷静で、練習でもセーフティースクイズの練習をしていたので『もしかしたらあるかな』と思っていた」(鈴木)。待望の先制点が明大に入り、1―0で試合は終盤に差し掛かった。

(写真:先制スクイズを決める鈴木)

 8回裏、森の後を受けて1回と3分の2を無失点と好投していた雨宮佑貴投手(総合1=甲府西)が、先頭打者に三塁打を打たれてこの試合最大のピンチを迎える。一打同点の状況でマウンドに送り込まれたのは、クローザーの小磯孝平投手(政経3=日大二)。「緊張感と高揚感。『ここで抑えたい』という思いと『打たれたらやばいな』という緊張感が混ざっていた」(小磯)。さまざまな思いが交錯する中で、小磯は三振で1死を奪い、続く打者を弱い当たりの一直に仕留めると、3人目には140キロの直球を投げ込んで空振り三振。「後ろ見れば仲間がいるし、スタンドを見ても仲間がいるし、ベンチを見ても仲間がいたので、一人じゃないなと思って勇気を持って投げた」(小磯)。絶体絶命の場面を〝全員〟でしのいだ。

(写真:好リリーフでチームのピンチを救った小磯)

 窮地を脱すると、9回表に1死一、三塁と6回表以来となる得点圏に走者を置く好機で、打席には鳥越駿太郎外野手(政経2=桜美林)。ここでベンチからのサインはスクイズ。「普段はあまりバント練習はしていなかったが、死に物狂いで決めにいった。少しピッチャーが前に来ていたので、一塁側にプッシュ気味にバントをした」(鳥越)。初球でスクイズを決め、優勝へ大きく近づく2点目を獲得した。

 優勝まであとアウト三つとした9回裏は小磯が続投。1死から安打を許したものの、後続を見逃し三振に切って取り、続く打者は初球をたたいて三塁へのゴロ。3アウト目が宣告されると、喜びを爆発させた選手たちが次々とマウンドへ。明大は65チームの頂点に立ち、関東選手権67代目の王者となった。また、8月に開催される全日本大学選手権(全日本)への出場権を一番乗りで手にした。

(写真:優勝を決め、マウンドに集まる選手たち)

 閉会式で優勝旗や優勝杯、メダルを受け取ったチームは、河村光治監督と山田聖和主将(農3=東海大菅生)を胴上げ。人生初の胴上げをされた山田聖は「チームが目標にしてた勝ち方ができた。点は(多くは)取れなかったが、ピッチャーも0点で抑えてくれたので良かったと思う」と決勝を振り返った。今大会は全試合で失点が3以内と投手陣の強さが光り、打線も5試合で計49安打。守備も2戦目以降は安定し、攻守ともに死角がなかったことが優勝につながったとみて間違いない。今季のスローガン『頂』の第一段階を達成したチームは、2007年春、2014年秋以来の東京六大学リーグ戦(リーグ戦)制覇、そして昨年度ベスト8に終わった全日本の借りを返しに挑む。

[北原慶也]

試合後のコメント
山田聖
――今大会はほぼ全試合で『9番・遊撃』として起用されましたが、下位打線から上位につなぐ意味ではどのような意識をしていましたか。
 「結果が伴っていなかったので9番だったんですけど、大会に入るにつれて徐々に打撃も調子良くなって、前國藤(海斗外野手・政経3=明大中野)に回せば出てくれたり、下位(打線)に回してくれるので、そういう点では自分が出てしっかり(切れ目ない)チームの打線になればいいかなと考えていました」

――リーグ戦に向けての目標をお願いいたします。
 「目標にしている『頂』というスローガンをリーグ戦でも取れるように頑張ります」

小磯
――優勝決まった瞬間にマウンドにいましたが、振り返っていかがですか。
 「うれしいなと思いました。サードにゴロが飛んでタイミングがギリギリだったので、これがアウトかセーフかは少し分からなかったので、アウトと分かった時はうれしかったですね」

――今季はクローザーとしての役割になると思いますが、そこに対する意識はありますか。
 「自分の役割に捉われることなく、勝利に対してできることは全部積極的にやって、最終的に1点でも多く取って勝てる試合が増えれば、それはうれしいことなので、それに向けて頑張っていきたいです」

鈴木
――9回裏の守備は緊張しましたか。
 「それほど緊張はしなかったですが、8回裏の無死3塁の方が緊迫した場面だったので緊張しました」

――関東選手権を通してどの試合が一番厳しい展開でしたか。
 「初戦の創価大戦がなかなか点も入らず、相手にひたすらランナーがいる状況での守備だったので、初戦の創価大戦がやっぱり一番厳しかったというか、精神的にもきつかったかなと思います」

鳥越
――優勝した気持ちを聞かせてください。
 「本当に叫びたい気持ちで。叫んでもいいですか。(絶叫)。ありがとうございます」

――7回裏の守備では、右翼前に落ちそうな打球を一旦止まってから飛び込んで捕り、アウトにしました。
 「一瞬(打球に)スピンがかかっていて。結構伸びるかなと思って1回下がったんですけど、真正面で遠近感なくて分かりづらいので様子を見て、意外と手前に落ちたんで最後飛び込みました」