悲願の〝頂〟まであと一つ! 前回王者・中大を下す/関東地区大学準硬式野球選手権

2025.03.23

 準々決勝で亜大を破り、ベスト4進出を決めた明大。迎えた今試合の相手は前回王者中大だ。先発の伊藤彩斗投手(営1=土浦日大)が9回2失点と見事な投球を披露する一方で、攻撃陣も6回裏に奮発し伊藤を援護。結果は4―2と前回王者を下し、見事6年ぶりの優勝へ王手をかけた。

◆3・10~24 関東地区大学選手権(早大東伏見グラウンド他)
▼3・22 準決勝 対中大戦(スリーボンドスタジアム八王子)
○明大4―2中大

 準決勝の相手は中大。部員のほとんどが口をそろえて目標に掲げる「全日本(全日本大学選手権)で優勝すること」を昨年度すでにかなえている相手だ。そのため「初回から簡単に点は取れないと分かっていた」(山田聖和主将・農3=東海大菅生)とロースコアでの試合展開を予想した。

 そんな格上相手との対戦で先発を託されたのは伊藤。初回表を無失点で抑えるも、早くも2回表にピンチを迎える。1死から二塁打を浴びると味方の失策も絡み、走者を背負い1死一、二塁に。さらに続く打者に死球を与え、2死満塁。「先制点は絶対与えたくなかった」(伊藤)と厳しいコースに攻め込むも、4球目、低めの球を捉えられ2点適時打を浴びる。「先制点を取られて正直落ち込んだ部分もあったが、自分はもともと後半につれて調子が良くなることが長所だと思っているのでコンスタントにゼロを積み重ねていくことだけを考えた」とその後は一瞬の隙も見せない落ち着いた投球を披露。8回を終えて2失点。バッテリーの亘翔大朗捕手(理工2=大分上野丘)も「伊藤のままで行けると思った」と伊藤を信じ、最終回へ。

 一方打線も好投を続ける伊藤にこたえる。3回裏、前國藤海斗外野手(政経3=明大中野)が際どい球を見極め出塁すると、相手の落球と河野壮希内野手(営3=明大八王子)の死球で2死満塁の好機に。さらに相手投手の暴投により三塁走者の前國藤がヘッドスライディングで本塁突入し、初得点。「少しでもはじいたら行こうと自分の中で考えていた」(前國藤)。さらに4回裏にも1点を追加しついに同点に追いつく。そして試合が大きく動いたのは6回裏。5回裏から登板した相手エースの速球に苦しめられるも、鳥越駿太郎外野手(政経2=桜美林)のフェンス直撃の二塁打で流れを変える。続く亘、山田聖がいずれも適時打を放ち、一挙に2点追加。「正直スタンドに入るかなと思っていたのでそこは悔しかったが、結果的に勝ち越しを打ててとてもうれしい」(亘)。

 投打がかみ合う中、最終回も伊藤がマウンドへ向かった。「8回が終わった時点で次も行くと決めていた。9イニング投げるのは野球人生で初めてだったが、まだいけるという感覚があった」。140球に迫る厳しいコンディションの中でも9回表を三者凡退に抑え、見事完投を達成。チームを勝利に導いた。

 次戦はついに立大との決勝となる。悲願の〝頂〟まであと一勝。明大の意地を見せられるか。

[杉山瑞希]

試合後のコメント
山田聖
――6回裏には圧倒していた大山選手から適時二塁打を放ちました。
 「9ブロック対抗戦で対戦したり一緒に守っていたりしたので、気楽に打席へ向かうことができました」

前國藤
――出塁率が高い印象ですが何か意識していることはありますか。
 「そうですよね!自分が出れば後ろに頼もしいバッターが控えてくれているのでなんとか1番としての仕事をしたいなと思っています」


――守備の面ではいかがでしょうか。
 「伊藤頼りになってしまいますが、伊藤がいいピッチングをして守備もエラーはありましたが、そこをカバーして中大相手に2失点に抑えられたのは上出来かなと思います」

伊藤
――試合を振り返っていかがですか。
 「相手は中央大学という素晴らしい相手で、自分の今持っている力がどれだけ試せるかっていうのも一つありましたし、まずは大前提としてチームを勝たせて絶対決勝に全員で行くんだという強い気持ちを持ってマウンドに入ったので、その結果として最後まで投げられてチームも勝ててほんとに良かったと思います」