ルーキー特集(5)

甲子園のヒーロー
森田貴之――坂口監督率いる大垣日大高野球部に入部した森田。練習の厳しさに定評のある監督の練習を「怖かったし、きつい練習でした」と振り返る。もともと「投手ではなく、サードをやりたかった」とこぼすも、坂口監督の慧眼もあって、投手としての能力を開花させた。3年の選抜から夏の大会にかけて、6キロ以上も球のスピードを上げ、MAX148キロは当時注目の的になった。
隈部智也――左の本格派として、2年生から甲子園のマウンドで活躍していた隈部。3年時の選抜では、名門熊本工高のエースとして、ベスト4入りを果たす。キレのある直球と、変化球を低めに集めるコントロール。マウンド上では、打者に対して、内外角に攻め分ける度胸も持っており、その名は甲子園ファンの間でも有名だった。
野球ってなんだ!?
2人が口をそろえて言うのが「野球をとったら何も残らん」。そんな2人は野球以外のスポーツにも興味を持っていた。隈部は中学ではバレーボール、森田は卓球か、小学5年生までやっていた陸上を続けるかで迷ったらしい。何度か野球を辞めようかと考えたこともある。しかし言葉通り、「生活の中心」(隈部)、「人生そのもの」(森田)なのだ。高校時代「甲子園を見た後は自然と練習しに行っていた」と野球に対する意識の高さと愛が感じられる。そして今、明大野球部期待の新星に成長した。
大学生活
「最初は調子に乗ってたり、天狗なんじゃないかと思ってたけど全然。すごくフレンドリーですよ」と隈部。甲子園ではライバルであった者同士が、神宮を舞台に共に戦う仲間となった。
大学進学と共に、もちろん周囲の環境も激変した。高校野球と大学野球の違いについて、アンケート結果は「自主性が求められる」が大半を占める。「自主性……自分には向いていないかも(笑)」と暴露する二人。高校の厳しさに比べると、物理的にも精神的にも自由が増える大学では、野球はもちろん、勉強やオフの使い方すべてにおいて自分で考え行動しなければならない。
また取材に行ったときはテスト期間とかぶっていた。そこでテストの出来について聞くと「試合を言い訳にしちゃだめですよね」とおちゃめな笑顔を見せる。ホームシックを感じることも多々あるようだが、2人で余暇の使い方や勉強スタイルのルールを決めるなど、後期に向けての意欲も見せた。
これから
隈部の神宮初登板は春季リーグ対東大1回戦。「緊張した。相手と戦うというよりは、キャッチャーをはじめ、周りに迷惑をかけないようにと思って投げていた」。これに対し「マウンドに立つと思っていたより冷静になれる。もともと俺は冷静だけど(笑)」と突っ込む森田の初登板は、新人戦の対立教戦だった。8月に行われた高森キャンプにも召集された隈部と森田。8季ぶりの優勝を果たした春季リーグ戦に続けて、秋季リーグの優勝にも期待が懸かる。入学して早々の優勝。それに触発されて「自分たちの代でも絶対優勝する!」と声をそろえる2人から目が離せない!
◆隈部智也 くまべともや 商 熊本工高出 180㎝・65㎏ 左/左 投手
寡黙なのかと思いきや「それはメディア向け」と終始笑顔でテンションが高い。これからチャレンジしたいことは「ゴルフ」。夏の目標は「日焼けをしないこと!」。
◆森田貴之 もりたたかゆき 法 大垣日大高出 175㎝・74㎏ 右/右 投手
減量の真っ最中。周りから学校に行っていないと突っ込まれるが「やることはやってます!」と反論。チャレンジしたいことは「バッティングセンターでホームランを打つこと」。
次回は11日、アンケート結果をもとに急きょ決まった取材。チーム南米と野原泰平(理工1)と西山聖徳(政経1)の特集です。
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