常陸の地で躍動した明大ナイン 逆転サヨナラ勝利を飾る/全早明戦常陸大宮大会

2024.12.01

 茨城県常陸大宮市の市制施行20周年の記念事業として行われた今大会。明大としては田中武宏監督の勇退に伴い戸塚俊美新監督が就任後、初の公式戦となった。早大は印出太一、吉納翼、山縣秀などの4年生が出場した一方で明大のベンチ入りメンバーは全員3年生以下。チームの新体制を予感させる試合となった。

 試合は1回裏、榊原七斗外野手(情コミ2=報徳学園)が二塁手を強襲する当たりで出塁すると、瀨千皓外野手(営3=天理)の適時打で先制に成功した。しかし4回表に登板した湯田統真投手(政経1=仙台育英)は制球が定まらず、一度もストライクを入れることができずに先頭打者を四球で歩かせる。続く打者にも四球を与え無死一、二塁とすると、4番・寺尾拳聖(早大)が一時逆転となる3点本塁打を放った。湯田は後続を抑えるも1回3失点とほろ苦い結果になった。

 すぐさま1点を返し2―3としたものの、打線は3番手・宮城誇南(早大)に苦戦。さらに6回表には大川慈英投手(国際3=常総学院)が吉納に一発を浴び2―4と点差が開く。早大の流れを食い止めたい明大は7回表から大室亮満投手(文1=高松商)がマウンドへ。「しっかり自分の力試しをしよう、ゾーンで勝負しようと思った。自分の投球ができたので良かった」(大室)。リーグ戦未登板ながら印出、山縣など早大の主軸相手にも臆さない投球で2回を完璧に抑え試合は最終回へと進んだ。

 9回裏、2死一塁で打席に向かったのは代打・田上夏衣外野手(商1=広陵)。今季はリーグ戦での出場はなかったものの、オープン戦やフレッシュトーナメントで長打を放ち注目の的となっている。「出られる打席は限られているので、少ないチャンスをモノにするために素振りなどを主に取り組んでいて、自主練習も試合をイメージしてやっている」(田上)。捉えた当たりは球場を切り裂くように低い弾道を描き、ライトポール付近に吸い込まれていった。起死回生の本塁打で4―4と同点に追い付くと、球場の雰囲気が一変。後続も安打で続き2死一、二塁とすると、内海優太外野手(商2=広陵)がセンター前に安打を放ち二塁走者が生還。2点差を覆し、明大が逆転サヨナラ勝利を収めた。今季、優勝決定戦を含めリーグ戦では4試合で0勝1分3敗と悔しい思いを味わった明大。常陸の地で早大にリベンジを果たした。

[橘里多]

試合後のコメント
吉田匠吾(文3=浦和学院)
――3回裏には三塁打を放ちました。
 「甘い球を待っていたので、その付近の球を強く振れたのが良かったですが、凡退した球はボール球だったので、そこはもっと我慢できれば、もっといい結果が多くなってくるのかなと思います」

内海
――最後に打席が回ってきたシーンを振り返っていただけますか。
 「後輩がビハインドの中で流れを持ってくる結果を残して、回ってきたら絶対に返してやろうという気持ちでした。(打った後とてもうれしそうにしていました)それがもううれしくて。まあでも勝ったことは自分の中でも自信になるのでうれしいです」

大室
――社会人選手とコミュニケーションなど取られましたか。
 「ピッチャーの髙山(陽成選手・令5文卒=現JR東日本)さんとはキャッチボールをしたり、ピッチングに対する会話をしたりして勉強になりました」

田上
――打席での集中力が人一倍ある印象があります。
 「高校時代から一球に対する集中力というのは、広陵高校の中井哲之監督にも教え込まれていたので、そういった意味では、今でも継続してやっているかなって思います」