
チームを引っ張る若き鋭砲・千田隆之/東京六大学春季リーグ戦

チームを引っ張る若き鋭砲・千田隆之/東京六大学春季リーグ戦
その日神宮の空に描かれたのは、目が覚めるかのような鮮やかな特大アーチだった。慶応2回戦の4回表、バッターボックスに立つのは千田(営3)。慶応・相澤の高めに浮いたカーブを寸分の狂いなくとらえ、振り抜いた打球はレフトスタンドに突き刺さった。得意の笑顔にガッツポーズを決め、ダイヤモンドを一周。今季スタメン定着の若き鋭砲の真価を発揮した一発だった。
そのホームランを含め、千田は慶応戦終了次(第3週終了次)までで8安打と、安打を量産。打率は.500まで上がり、その時点でリーグ打率首位に付けた。その後の立教戦では不発に終わり多少打率を落とすものの、依然として現在(第5週終了)、打率.393とリーグ5位。一般的に考えれば、初スタメンでこれほどの数字を記録することは並大抵のことではない。しかし、千田のチーム随一のバッティングセンスからすれば、今の成績は必然といえる。
千田は日大三高時代、3年連続夏の甲子園に出場。2年次から3番に座り、幾度もチームを勝利に導いた。また明治入学後も、1年秋から試合に代打で出場。新人戦では、4番として打点を大量生産した。千田が持つポテンシャルからすれば、現在の打率も、あのアーチも必然の産物なのだ。
だが千田には慢心はない。「今は調子が良いから、打率が付いてきている。けど打率よりも、もっと大切なことがある。それは試合で勝ち、優勝すること。自分は試合を決める一本を打ちたい」。白い歯をのぞかせて、笑ってそう言う。8季ぶりの優勝を狙う今季、この男が明治を勝利に導く。
◆千田隆之 ちだたかゆき 営3 日大三高出 182cm・78kg
関連記事
RELATED ENTRIES