
激闘、延長12回!法大に勝ち点1/東京六大学春季リーグ戦
この日の明治は守備が光った。先発稲葉(商4)は初回に2点こそ失うが、2回3回を3人で切り、その後も安打は許しても得点は奪わせない。そして野手陣もその好投に応えるように軽快な守りで稲葉を盛り立てた。7回に迎えた2死1、2塁のピンチ。前の回に1点を返した明治とすれば、ここで離されることは許されない。しかし2番坂本(法大)が打ったボールは左翼前に落ち、2塁走者はホームへ。もう駄目かと思われたその瞬間、中継の古牧(文3)が投げたボールは、ダイレクトに相沢のミットに吸い込まれた。際どいプレーだったが、審判の判定はアウト。傾きかけた流れを見事に引き戻した。
このピンチをしのいだ明治は逆に8回、古城(政経2)の3塁打を皮切りにもう1点を返し、試合は延長戦に突入。先週の立大戦とは違い、追いついての延長戦。「負ける気がしなかった」(江原主将・営4)と、勢いは完全に明治にあった。再三ピンチを迎えるが堅実な守備で得点は許さない。そして運命の12回、2死から「まっすぐを待ってた」という江原主将が打ったボールは左翼線を破る2塁打。続く相沢(商3)への四球と暴投で訪れた2死2、3塁、さよならのチャンス。バッターは6回に好守備でチームのピンチを救った古牧を迎える。「1試合打ててなかったから、ここで打ちたかった」(古牧)。ベンチの選手全員が立ち上がり、試合の行方を見守る中、古牧が打ったボールが中堅前に落ちた。この長い延長12回の死闘を明治が制した瞬間だった。
先発投手稲葉の力投に、それを支える堅実な守備。まさに全員で勝ち取った勝利だ。「マジうれしかった」(江原主将)。しかし、優勝のためにもう一つも落とせないという状況は変わらない。次の東大戦まで2週間。「今日の試合、守備は良かったけどもっと早く点を取ることはできた。この2週間でつめるところはつめて東大戦に臨みたい」(江原主将)と、勝利の中にも課題は挙がっている。まだまだできることはある。修正するところは修正し、この勢いをそのままに逆転優勝まで一気に駆け抜ける。
☆今週のMVP☆
稲葉 理
今試合、1番劇的だったのは先発投手の稲葉だったに違いない。先週行われた立大2回戦、先発した稲葉は立大打線につかまり、5失点。悔しい5回途中降板だった。「練習不足。腕がふれてなくて思いっ切り投げられてなかった」。優勝のためにはもう負けることは許されない。それからの1週間、稲葉はとことん走り込み、投げ込みを重ねた。
対法大2回戦、この日の稲葉は先週とは違っていた。「練習から気持ちが入っていた」(江原主将)という左のエースは初回に2点こそ失うものの、2回以降はランナーを背負う場面も、得意のけん制で流れは渡さない。「ヒジが痛かったけど、そんなことは言ってられない。もうチームに迷惑は掛けられない。3人の投手で継投策を取った法大に対し、明治は延長戦に入っても稲葉を変えることはしなかった。「ここまで来たら投げきりたかった」という気迫のピッチングで、11回の無死、一、二塁というピンチも切り抜けた。
稲葉は延長12回を投げ抜き、本学もサヨナラで今季初の勝ち点を手にした。立大戦で悔しい敗北を喫した稲葉の復活。劇的復活を成し遂げた左のエースは試合終了後、やっと満足気な笑顔を見せた。
◆稲葉理 いなばさとし 商4 作新学院高出 170㎝・62㎏
関連記事
RELATED ENTRIES