ついに開幕!2008年、善波メイジの挑戦

不安視された始動
「これだけ戦力が揃っても勝てないのか」。神宮の秋天に、ファンの悲鳴がこだました。3年ぶりの栄冠を目指した昨年の藤田体制。しかしその願いは届かなかった。
そして、彼らの思いを受け継いだのは佐藤主将(政経4)を中心とした「優勝経験なし」の選手たち。新チーム発足直後の主将は「優勝を目指す」(佐藤主将)と力強く語ったが、神宮経験の浅い彼らを懸念する声は少なくなかった。対する早稲田は日本一のメンバーが多く残る盤石の体制。今年はより厳しい戦いが予想された。
しかし、一つの出来事がその後の流れを大きく変えることになる。
すべてのスタート
善波新監督就任。
このニュースはチームの雰囲気を一変させた。「コーチ時代から的確な助言をくれ、頼れる人」(梅田・政経4)。そんな信頼厚き新指揮官は、就任直後から早速改革に着手する。そして、チームは怒とうの勢いで変ぼうを遂げていく。
「競争心」。善波メイジのキーワードは、これにつきる。多くの主力が抜けた今季、善波監督はその弱点を逆手に取り、選手たちの競争心をあおった。「どんどん選手を競わせチーム全体の力を上げたい」(善波監督)。象徴的だったのは静岡で行われた春キャンプ。メンバーに選ばれた選手も、守備に問題があると府中での徹底強化を命じた。沼津から府中へ送り返すという心苦しい英断もチームのためなら、と指揮官はいとわない。代わりに府中での努力が認められたものは沼津に呼ばれた。そうして毎年2、3人の入れ替えが、今年は10人近くに増えていった。
オープン戦に移っても、それは続いた。1軍2軍の入れ替えは毎試合行われ、オーダーには毎日違う名前が並ぶ。日程を消化するにつれ「期待できる選手がどんどん出てきている」(善波監督)と思い描いた通りの展開に指揮官は目を細めた。チームは確実に、軌道に乗り始めていた。
善波イズムの体現
監督への信頼も、善波カラーの浸透を加速させた。「指導が熱く、目的もわかりやすい」(佐々木・政経4)。選手たちは監督の意図に応えようと奮闘した。入れ替えの激しい環境は選手の刺激となり「練習で全く気が抜けない」(荒木郁・政経2)。二軍に降格した選手も、あきらめることなく必死にアピールを続けた。「場所を見つけて練習する選手が多い」(佐藤主将)と自主的な姿勢も生まれている。その甲斐あってオープン戦では、最激戦区の投手陣が目覚ましい活躍を見せた。気がつけば、当初の不安は杞憂(きゆう)に過ぎなくなっていた。
真価を見せるとき
激しい競争を勝ち抜いた選手たちは自信に満ち溢れている。もう、不安だとは言わせない。「監督のために、絶対優勝したい」(佐々木)。
新監督とともに、栄光を。善波メイジの挑戦が始まる。
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