(3)チームに貢献したい 投手編

1999.01.01
(3)チームに貢献したい 投手編
 秋季リーグ戦が閉幕し、同時に藤田主将のチームも終えんを迎えた。下級生の練習環境を変えるなど、さまざまな部内改革を行ってきた4年生たち。彼らの1年間の軌跡について迫る。

第3回 試合に出なくともチームに貢献したい
~投手編~

 

山口澤田

 久米(農4)、古川(理工4)、水田(文4)、白石(文4)の4年生投手4枚看板が今年の明治を引っ張り続けてきたことには間違いはない。だが、本学にはスポットライトを当てられることはなくても、ずっと明治を支えてきた4年生投手がいる。今回はその縁の下の力持ち・澤田(農4)、山口(友・営4)に話を伺った。

澤田

――澤田さんの4年間を振り返ってください。
澤田:もともと自分より下手なやつなんていないんだろうなって思って入部したんだ。それで案の定、自分の学年には良い投手がたくさんいた。実力がないのは仕方がないこと。それに、試合に出ることだけがチーム貢献ではないと思うんだよ。

――でも1年の秋には神宮デビューしましたよね?
澤田:1年の夏のキャンプで調子が良くて、それで登板させてもらったんだ。結果は良くなかったけどね。その後、皆と同じスタイルでは使ってもらえないんじゃないかって思って、サイドスローへ変えたんだ。やっぱり自分は九州の田舎からわざわざ野球、それだったらリーグ戦で少しやりたいって出てきたしでも結果を残したいなって。それでもその後は出られなかったけどね。

――藤田主将(法4)についてどう思いますか。
澤田:藤田以上の主将は存在しないと思う。あいつは性格的に他人のことを怒れないんだ。けれど主将という立場になって、いやでも注意しなければいけなくなってつらかっただろうな。藤田は何かあったらすぐ幹部ミーティングを開こうっていつも言っていた。常に全員でやりたいっていう気持ちが強かったからね。それで自分たちも、藤田の気持ちに応えてやりたいなって思ったんだ。

――秋季リーグ戦慶応戦を控えていた打者陣が加藤(慶応)対策を行っている中、澤田さんが自ら進んでバッティングピッチャーをやっていたというお話を聞いたのですが?
澤田:その時は左投手対策をやっていて、自分がその練習台になれればって思って進んで申し出たんだ。

――下級生に何かメッセージはありますか。
澤田:明大野球部で過ごした4年間は自分にとっては掛け替えのないものだった。たとえ選手としてあまり成績を残せなかったとしても、普通に大学に通う生徒の何倍も中身の濃い4年間を送ったことは間違いない。それぞれ心に残っているものは違うだろうけれど、ここで学んだ礼儀や忍耐力は必ず後の人生に生きてくると思う。そういったものを自分の財産にして卒業してほしいかな。

山口

――山口さんの代には入部当時から10人近くの投手がいましたが、入部したときはそれに対してどう思いましたか。
山口:正直なところ、入った瞬間に出れないんじゃないのかなって思った。全学年合わせて、30人近くの投手がいたしね。久米(農4)は特に中学で一緒に野球やっていたし、そのころから素質が違うなって思っていたしね。

――山口さんの4年間を振り返ってください。
山口:自分は4年間リーグ戦に出られなかった。けど、自分がどのような立場に置かれていても、練習してチームにいつか貢献できればって思ってたけどね。印象的な試合は、今秋オープン戦の全足利戦。地元ってことで、登板させてもらって、すごく緊張した。でも、子どものころからあこがれていた選手もその中にいて、一緒にプレーできたことがうれしかったな。

――4年間リーグ戦に出られなかったとおしゃっていますが、下級生投手の中には、そのような状況下でもバッティングピッチャーをやるなどしてチームに貢献している山口さんを見て、自分もたとえ出られなくても山口さんを見習いたいと言っている下級生もいますが。
山口:バッティングピッチャーは基本的に下級生投手がやるんだけど、自分もチームのために何かしたいなって思って進んでやった。でも、下級生の投手には最初から自分を目指してほしくはないな。やっぱり後輩たちには皆試合に出て活躍してほしいし、最後までレギュラーを目指して努力してほしい。せめて4年になるまでは、自分が絶対出てやるんだって気持ちを持ってほしいな。その気持ちが、チーム全体のレベルアップにつながると思う。そして4年になって、もしもう試合に出られないかなって思ったときには、チームへの貢献の仕方を自分なりに模索してほしい。

――下級生に何かメッセージはありますか。
山口:試合に出られないからって野球を放棄したら、チーム全体の和を乱してしまう。常にチーム全体で動いているんだってことを忘れないでほしい。たとえ試合に出れなくとも、自分はどうでもいいって思わないでほしいな。そしてもう一つ、ここで出会えた仲間を大切にしてほしい。明大野球部は全国各地からいろいろな選手が集まってきているし、自分がここで野球をしていなかったら、こいつらと友達になれなかったんだなって思う。自分はこいつらと一緒に野球がやれてよかった。下級生にも、同期間でそういった関係を築いていってほしい。

◆澤田宗一郎 さわだそういちろう 農4 日向学院高出 178㎝・70㎏ 左/左 投手
◆山口 友輔 やまぐちゆうすけ 営4 足利高出 172㎝・72㎏ 右/右 投手