
(3)一流の証、100安打達成へかける思い 千田隆之

今秋の立教2回戦において、初めて神宮のグラウンドに立ち、初打席・初安打・初打点で鮮烈なデビューを飾った千田隆之(営1)。ルーキーで早くも神宮の舞台を経験した若き大砲の高校時代と理想の選手像にスポットを当てる。
高校は過去に甲子園を制した強豪・日大三高に入学。1、2年次に連続で甲子園を経験した。しかし、2年次は3番を任されながらも、結果が残せず敗退。苦い経験から来年の優勝への決意を固める。 そして4年ぶりの栄冠を目指して迎えた最後の夏。千田は中心打者としてチームをけん引。見事に激戦の西東京大会を勝ち抜き、3年連続甲子園出場を果たす。「リラックスして試合に臨めたので、変に勝たなければいけないというプレッシャーはなかった。逆に1年前の方が緊張したね」。しかし、甲子園では優勝候補であったにも関わらず、甲子園独特の雰囲気にのまれ、まさかの準々決勝敗退。千田は3安打と気を吐くも、勝利には結びつかなかった。悔しい思いから「やっぱりこの一戦が一番印象に残っています」。
プロも注目する逸材は明大進学を希望。舞台を甲子園から神宮に移す。「六大学野球は高校時代とは違う雰囲気だね。特に応援の迫力がすごい」。入学後は期待のルーキーとして首脳陣から高い評価を受け、春の新人戦ではしっかり結果を残した。そして迎えた今秋のリーグ戦、2006年9月17日対立教2回戦。8回の裏、得点圏にランナーを置いてついにそのときが来た。球場に「代打・千田」のコールが流れ、神宮初打席を迎える。「何も考えず集中して、来た球を打ち返しただけ」。見事にタイムリー二塁打を放った。 千田は理想の選手として今岡誠(現阪神タイガース)を挙げる。「同じ内野手だし、勝負強いバッティングの選手。また、みんなに応援されるような選手だから」。プロの世界で活躍するあこがれのスター。いつか今岡選手のように攻守にわたりチームに貢献して、皆に愛されるような選手になる日がくることを夢見ている。
千田のポジションはショート。今シーズン、ショートを守ったのは華麗なフィールディングが魅力の今浪(商4)だ。「今浪さんは俺にとって目標とする人です。特に野球に対する姿勢は見習いたい」。大学4年間での目標は「レギュラーとしてリーグ優勝をすること。あと、個人的には試合を決めるヒットを打てるような選手になりたい」。今浪も今岡と同じく、勝負強い打撃が持ち味である。まだショートの守備には粗さが見えるものの、堅実なフィールディングを身に付けて、豪快な打撃に勝負強さが加わればまさに鬼に金棒だ。高い素質を持つだけに、これからのレベルアップに期待が懸かる。
さらに彼にはもうひとつ大きな目標がある。それは80年にも及ぶ歴史の中でわずか26人しか成し得ていない記録、リーグ戦通算100安打。「最終目標として、4年後のプロ入りを目指したい」。高橋由伸(現読売巨人軍)、鳥谷敬(現阪神タイガース)のように、現在プロで活躍している選手たちの多くが100安打達成を果たしている。千田もこのそうそうたるメンバーに加わることができれば、きっとプロへの道も近くなるはずだ。
近い将来、千田が明治のキーマンになることは間違いない。一日でも早くレギュラーになるべく彼は日々精進し続ける。
◆千田隆之 ちだたかゆき 営1 日大三高出 182cm 72kg 遊撃手 右/右
走攻守にセンスが感じられる大型遊撃手。特筆すべきは高校通算31本塁打を記録したパワーだ。将来のスラッガーとして期待が懸かる。
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