
(1)自信を取り戻すために 白石守

今、唯一自分に足りないものがあるとしたら、それは何だと思うか――。その質問に白石は一息つき、静かに口を開いた。自分自身に足りないもの……それは「気持ち」。どんな試合状況でも、マウンドで弱気にならない強い精神力だ。4年最後のシーズン、白石自身が満足のいく結果を残すためには、自分のしてきたこと、4年間で積み上げてきたことに対して自信を持つことが必要だと感じる。
「自信」にあふれた白石のマウンドからは独特のオーラが感じられる。自分の球が打たれるはずがない、自分の力で勝ってやるという傲慢(ごうまん)なくらいの自信。ちょうど1年半前の06年春東大1回戦、9回で13奪三振を記録した白石に見られた。
しかし、今現在の白石を見てどうだろうか。それが以前より感じられなくなった。同じ06年春の法政戦、そして06年秋、07年春と思うような投球ができずに、白石らしくない結果を残してしまった。特にここ2シーズンの投球回数は足しても19回と、06年春の登板回数29と3分の1回に及ばない。「まったく投げ足りない」という言葉のとおり、指揮官に登板機会さえ与えてもらえない状況が続いた。
しかし、今現在の白石を見てどうだろうか。それが以前より感じられなくなった。同じ06年春の法政戦、そして06年秋、07年春と思うような投球ができずに、白石らしくない結果を残してしまった。特にここ2シーズンの投球回数は足しても19回と、06年春の登板回数29と3分の1回に及ばない。「まったく投げ足りない」という言葉のとおり、指揮官に登板機会さえ与えてもらえない状況が続いた。
だがこの4年間、白石は決して練習を怠ってきたわけではない。むしろどの投手よりも練習し、常に古川(理工4)始め同学年の投手たちは白石に刺激を受けてきた。2年の夏からは水田(文4)と毎晩坂道を走ることを始めた。何度も何度も坂道を駆け上がる秘密特訓は、白石の強靭(きょうじん)な足腰を作りあげていく。そしていつしか白石は一人きりでも夜練習をするようになった。
「白石は影でコツコツと練習するタイプ」(古川)。昨年、白石と古川が同部屋だったときのことだが、夜に突然白石が汗だくになって部屋に帰ってくることがあったという。「どうしたの?」と古川が驚いた顔で問いかけると、白石は一言「練習してきた」とすました顔で答えた。「正直、その言葉を聞いたとき、自分もやらなきゃと危機感を覚えた」(古川)。夜の走り込み、ウエートトレーニングは毎日続いた。
「白石は影でコツコツと練習するタイプ」(古川)。昨年、白石と古川が同部屋だったときのことだが、夜に突然白石が汗だくになって部屋に帰ってくることがあったという。「どうしたの?」と古川が驚いた顔で問いかけると、白石は一言「練習してきた」とすました顔で答えた。「正直、その言葉を聞いたとき、自分もやらなきゃと危機感を覚えた」(古川)。夜の走り込み、ウエートトレーニングは毎日続いた。
4年秋というのは特別なもので、最後の年だと意気込む選手もいるが、白石は「1日1日を精いっぱいやるだけ」と決まって言う。それはこの4年間、白石が1日1日を必死で取り組んできたという気持ちがあるからこそ出た言葉だろう。4年間の集大成として「自分たちの代で優勝したい。優勝したときって、きっと負けて引退するときよりも泣けるはず」と笑みをこぼす。
「やるべきことはすべてやってきた」。あとは自分自身を信じて最後まで投げぬくことだけだ。ラストシーズン、白石は自分を信じて最後の戦いに挑む。
「やるべきことはすべてやってきた」。あとは自分自身を信じて最後まで投げぬくことだけだ。ラストシーズン、白石は自分を信じて最後の戦いに挑む。
◆白石守 しらいしまもる 商4 駒大苫小牧高出 180cm・81kg 右/右 投手
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