‶全員野球〟体現した秋 最終戦をコールド勝ちで締めくくる/東京六大学秋季リーグ戦

2023.10.20

 ついに迎えた今年度リーグ戦の最終戦。先発の田村陽大投手(農3=花巻東)が3回被安打1の好投を見せると、その後を4年生投手陣の完封リレーで東大を無失点に抑えた。打線は田村の適時打や森本琢己捕手(政経4=明大中野)の適時二塁打などで計10得点と東大を突き放し、最終戦をコールド勝ちで締めくくった。

 

◆9・2~10・22 東京六大学秋季リーグ戦(早大東伏見グラウンド他)

▼10・16 対東大2回戦(早大東伏見グラウンド)

〇明大10-0東大

 

 東大戦

 明大

×

×

10

 東大

×

×

 

 先発のマウンドに上がったのは、1年ぶりの登板となった田村。「ストライク先行で攻められたので良かった」と3回被安打1無失点で東大を抑えると、打線も金澤永輝主将(法4=花巻東)ら好機での一打が光り得点を重ねた。相手の内野手の失策もあり4回までに7―0と東大に大きくリード。点差を守り抜くべくその裏から登板した久木田斗馬投手(法4=明大中野八王子)がテンポよい投球で三者凡退に打ち取ると、続く5回裏には浦田光投手(法4=明大中野八王子)が気迫のこもったマウンドさばきで見事な三者三振に切って取る。

 

(写真:力投を見せた浦田) 

 6回表には、四球で出塁した村上洋人外野手(営4=山手学院)が自慢の足を生かし二盗、さらには三盗も成功させる。「最後の試合に自分の良さがプレーで現れて良かった」。迎えた無死一、三塁の場面では高橋駿太外野手(営4=日大二)の左翼への大きな当たりが犠飛となりさらに東大を突き放す追加点を奪う。その後も打線がつながり10―0に。6回裏には畠山和明投手(営4=札幌一)が登板し「早く引退したいとずっと思っていたけど、いざ登板するとまだ引退したくないな」と最後のマウンドをかみ締めながら三者凡退に抑えてみせた。

 

(写真:俊足を生かし盗塁を成功させた村上)

 

 10点差がつき、コールド勝ちが見えた7回裏。これまで明大の勝利を支え続けたエース・上井健太朗投手(農4=札幌一)がマウンドへ。「最後の一人、吉原(瑠人捕手・法3=仙台育英)と組ませてもらって本当にいい1イニングになった」(上井)。何度もバッテリーを組んできた吉原のミットに投げ込んだ渾身のラスト一球に、相手のバットが空を切った。最後の打者を三振に打ち取ると笑顔を見せ、仲間とともに、勝利とその4年間を称え合った。

 

(写真:3アウトを全て空振り三振で奪った上井)

 

 優勝には届かなかった今秋。しかし春には勝ち切れなかった早大戦や立大戦でも後半に得点を重ね、代打が結果を残すなどの強さを発揮し勝ち点を獲得した。1年間学生コーチとしてチームづくりを担った寺谷隆志学生コーチ(商4=清瀬)は「全員、ベンチ外も含めて‶全員野球〟をしようというのがチーム発足時からのスローガンだった。この秋では今までなかった団結感や一体感が出た。1年間チームのために行動してきてその結果が出たかなというのがすごくうれしい」と充実感をにじませた。

(写真:試合中、選手と話し合う寺谷学生コーチ(手前))

 この試合が、4年生にとっては引退試合となった。毎朝早くから練習を重ね、週末にはリーグ戦を戦う日々。準硬式野球部として駆け抜けた4年間は、仲間の存在が大きかったという。「苦しかったけど、同期がいたから乗り越えられた」(三橋海斗外野手・情コミ4=桐生)。また金澤主将は「毎日の練習でみんなにグラウンドで会えるのが本当に楽しくて、それが本当に楽しみでグラウンドに行っていた」。準硬式野球部としての4年間を振り返り、高校時代はラグビー部だったという鍵山源太内野手(営4=桜美林)は「最初はレベルの差があって試合にも出られなくてすごく苦しかったが、努力しているうちに試合にもちょこちょこ出られるようになってきた。最後は同期で気持ちよく終われたので(準硬式野球部に)入って良かった」と大学4年間の野球生活に思いをはせた。

(写真:最後の一打席に挑んだ鍵山) 

 主務としても4番打者としてもチームを支えた谷川泰斗内野手(政経4=明大明治)。この4年間を「試合に出ても打てなかったり、結果を残してもメンバーに選ばれなかったりといった苦しさが7割、楽しさは3割。でも充実度は100パーセントだった」と笑顔で振り返った。試合後、グラウンドを後にする選手たちが見せた表情は、苦しくも、喜びや実りある4年間をやり切ったすがすがしくまぶしい笑顔だった。

 

[布袋和音]

 

試合後のコメント

金澤

――春と違い、立大や早大からも勝ち点を獲得しましたが、春から秋にかけて何か取り組んだことはありますか。

 「やっぱり、試合出る出ないは関係なく、良くも悪くも4年生の雰囲気がそのままチームにもなると思っていて、春はそこのコミュニケーションが全然取れていなかったなと感じて、夏休み中とか、年生の学年ミーティングとかを結構増やしたりして、4年生の全員の意思統一というか、考えを全部みんなで共有をするようにしました」

 

――4年間を振り返っていかがですか。

 「4年間の準硬の中で、同期はもちろんですけど、先輩とか後輩にすごく恵まれて本当にいい人ばっかりだったので、その中で4年間野球できたのは、自分の中で本当にいい財産になっているなと思います」

鍵山

――4年間で一番の思い出はありますか。

 「自分は結構毎日の朝、グラウンドに行くまでの車の中での友達との会話。それが一番楽しかったです」

 

上井

――4年間を振り返っていかがですか。

 「2年生まで全然戦力になれなくて、使ってもらっていたけど戦力になれなかったんですけど、3年生になってやっと力を発揮できるようになって。2年しか活躍できなかったですけど、4年間、本当に中身の濃い、いい年間だったと思います」

 

村上

――盗塁など、足を生かしたプレーが印象的でしたがいかがでしたか。

 「秋季リーグは、自分の長所である足が生かせていない場面が多かったので、今日最後に自分の良さがプレーとして現れて良かったなと思います」

 

田村

――投手としても登板がありましたがいかがでしたか。

 「楽しかったです。自分の一番好きなポジションがピッチャーなので。結構テンポよく投げれたので良かったです」

 

――秋季リーグ首位打者の可能性はありますか。

 「(今試合の結果を受けて2位以下と)だいぶ差が開きました。他大の人が打たなければ、もしかしたら首位打者とベストナインあるかもしれないので、うれしいですね」