リーグ最終戦 日大に敗北し4位で終幕/関東大学男子1部リーグ戦

2023.09.08

 リーグ戦3連勝には届かなかった。関東大学男子1部リーグ戦(以下、リーグ戦)最終戦の相手は、昨年度に1部昇格を果たしたばかりの日大。ここまででリーグ戦1敗のみの強敵に、ダブルスでは全試合全セットでタイブレークに持ち込み食らいつく。しかし、全9試合を通して勝利したのはダブルス1組のみ。最終スコア1-8で敗北し、今年度のリーグ戦を4位で終えた。

 

【D2副田温斗(営4=四日市工)・松本洵(法2=松商学園)組VS石垣秀悟・手嶋海陽組】

(写真:ガッツポーズをする副田(左)・松本組)

 大接戦となった最終日。相手は昨年の全日本学生室内選手権で準優勝したペアであった。第1セットから互いにキープしあう試合展開となる。ゲームカウント6―6で迎えた7ポイントタイブレーク。「チャレンジャー精神で試合に臨むことができた」(松本)。攻めの姿勢を失わず、強気なプレースタイルで相手を翻弄(ほんろう)。大きなガッツポーズで第1セットを勝ち取った。

 

 続く第2セットもお互いにキープしあう展開になった。そのまま7ポイントタイブレークを迎えるも、「相手に流れが行きかけてしまった」(松本)。47でこのセットを落とし、10ポイントタイブレーク方式で行われるファイナルセットにもつれ込んだ。「相手に突き放されないことを第一に考えてプレーした」(副田)と、相手にリードされる展開でも必死に食らいつくも、810で惜敗。最終戦を勝利で飾ることはできなかった。

 

 今回のリーグ戦をもって代替わりとなる4年生の副田は試合後、涙を見せた。「肩の荷が下りてホッとしたのと、リーグ戦全体を通してダブルスでなかなか勝ち越せなかったので、僕がもう少しやれていればなという思いが込み上げてきた」(副田)。また、4年間を振り返り「コロナ禍もあり、2年生の時にはケガをしてしまったこともあった」(副田)。順風満帆とは言えなかった大学生活だが、3年次には全日本学生選手権や全日本学生室内選手権でベスト4の成績を残すなど数々の快挙を成し遂げた副田。「来年またこの有明に戻ってきて、しっかり戦ってもらいたい」(副田)。後輩に応援のメッセージを残し、4年間の様々な思い出を胸に、有明の地を去った。

 

【D3横田大夢主将(政経4=足利大付)・飯田翔(商3=足利大付)組VS齋藤成・丹下颯希組】

 有終の美を飾った。2019年度のインターハイ復で準優勝を飾った足利大付高出身ペア・横田・飯田組は、明大でも多くの勝ち星を挙げてきた。ペアを組むのが最後となる今試合は「いつもよりも絶対勝ちたい、そして自分たちが勝ってチームを勢いづけられるという気持ちで試合に臨んだ」(飯田)。ダブルス3試合、シングルス6試合の勝ち数で争われるリーグ戦において、前半のダブルスの勝利は大きな意味を持つ。明大屈指のダブルスペアは、その役割を最後まで全うしようとしていた。

 

 出だしの第1セットは、開始早々ブレークに成功。最初の2ゲームを連取すると、その後も横田のサーブや2人の連携がかみ合いゲームカウントで先行する。しかし、相手も多数の部員が在籍する日大でD3を任される実力者ペア。横田のサービスゲームであった第10ゲームではポイント40―0から3度のジュースの末に逆転を許し、カウントは5―5に。「勝負どころになったときに、僕があまりいいプレーができなかった」(横田)。そのまま、両者一歩も譲らないまま試合はタイブレークに突入する。そんな接戦の中でも「タイブレークにいったら勝てる」(飯田)。これまで数々の経験をしてきた横田・飯田組の力は勝負どころでさえていた。集中力を切らさず、ポイント7―5でこのセットを奪取した。

 

 続く第2セットでも、相手の猛追は止まらない。ゲームカウント5―3から2ゲームを連取されると、勝負は再びタイブレークへ。相手にポイント4―6とセットポイントを握られるも、そこから3ポイント連取。最後は飯田のサーブからポイントをもぎ取り、セットカウント2―0でストレート勝利を収めた。

 

 明大では、コロナ禍の影響でリーグ戦の代替試合となった2021年度の王座出場校決定トーナメント3位決定戦・対法大戦よりペアを組み始めた横田・飯田組。この試合を含めて団体戦D3では10戦全勝の無敗という圧倒的強さで大学テニスの戦いを終えた。「飯田がいなかったら僕は大学生活で団体戦に出ることはなかったんじゃないかなと感じる。僕はもう飯田ありきの高校生活、大学生活だったなと思うので、もう素直に感謝しかない」(横田)。「お互い信頼しているというか、試合中に『ま、大丈夫だろう』とお互いが思っているからやっぱり最後まで勝てた」(飯田)。最後まで互いに頼り合い、支え合った明大最強のD3。ポイントを勝ち取るたびに見せる彼らのガッツポーズ。勝利するたびに見せる彼らの弾けんばかりの笑顔。彼らの戦いは選手や観客、そして私たち記者の心の中にも深く刻まれている。


【S5坂井修造(理工4=湘南工科大付)VS手嶋海陽】

(写真:ガッツポーズをする坂井)

 坂井にとって15年間のテニス人生を締めくくる最後の試合。「4年生が最終戦に出る意味は勝つことしかないと思っていた」。しかし第1セット、どんなボールでも逃さない粘り強い相手のプレースタイルと鋭いコースに翻弄(ほんろう)されてしまう。「ストローク力が(相手に)及ばなくてレベル差を感じた」。関東学生選手権ダブルス優勝の実力者を相手に1ゲームも獲得できないままこのセットを落としてしまう。続く第2セットもサービスゲームのキープすらできず、このままストレート負けを喫するかと思われた。しかし「このまま終わりでいいのか。15年間の集大成がこれでいいのか」。そう自問自答し、己を奮い立たせると、坂井はプレースタイルを変更。「自分のプレーを捨てて、とりあえず走って粘って声出して、形にこだわらず、泥臭くいこうと思った」。 第5ゲームで初キープに成功すると、そのまま3ゲームを連取。3―6で第2セットも落とし、結果は敗北に終わるも「やりきったな、という気持ちの方が大きかった」。試合後、坂井は満足げな表情でコートを後にし、15年間のテニス人生に幕を下ろした。

 

 「テニスが嫌いになって、やめたくてコート上で泣いてしまったことがあった」。コロナ禍でさまざまなことが制限されるなか、思うような結果が出ず、辛酸をなめた1年次。また、3年次にはリーグ戦のメンバー入りを果たせず、悔しい思いをしたこともあった。数々の挫折を乗り越え、シングルス出場者唯一の4年生として挑んだ今年度のリーグ戦。32年ぶりに勝ち星を挙げた早大戦では「テニス人生で一度も勝てなかった幼なじみに勝利することができた」。チームに1勝を献上し、明大の歴史的快挙に貢献。4年間の大学テニス人生、そしてこのリーグ戦が坂井がこれから歩む新たな一歩の活力になることは間違いないだろう。


 「来年度につなげるためのリーグ戦ということにはできた」(横田)。リーグ戦最終結果は昨年度と同じく1部4位。目標である全日本大学対抗王座決定試合(以下、王座)出場には及ばなかったが、強豪・早大を相手に32年ぶりの勝利を収めるなど収穫もあった。今大会をもって硬式庭球部は代替わり。ここからは新体制で今後の大会に臨んでいく。最終戦まで王座出場の可能性を残した今大会の経験を糧に、より強いチームへの成長に期待がかかる。

 

[渡辺悠志郎、井手満菜、大橋英晃]

 

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