土壇場の同点劇 投打で粘り見せる/東京六大学春季フレッシュトーナメント

2023.05.31

 ビハインドの状況が長く続く厳しい試合だったが、粘りを見せた。先発の久野悠斗投手(商2=報徳学園)が3回表につかまると、一挙4失点。何とか追い付きたい明大だったが、相手先発の渡辺向輝(東大)を前に本塁が遠い。それでも中継ぎ投手が無失点リレーでつなぐと、終盤に同点とし引き分けで初戦の幕は閉じた。

 

(明)久野、毛利、郷原、大川―中村、福原

(東)渡辺、山崎―杉浦

【安】(明)7(東)6

【二】(明)吉田(6回)(東)中山(3回)、工藤(9回)

◇犠打2 若狭(8回)、三輪(8回) ◇残塁11 ◇盗塁2 吉田(1回)、千田(3回) ◇失策1

 

 まさかの乱調だった。順調に立ち上がった久野は最速148キロ、2回表まで打者6人を完璧に抑える。しかし3回表、先頭打者に安打を許すと四球、失策で一気に1死満塁に。この場面で東大打線は甘く入ったボールを逃さず、走者一掃の二塁打ともう1本の安打で4得点し畳み掛ける。東大ムードが球場に漂ったものの、あとを受けた毛利海大投手(情コミ2=福岡大大濠)は3回無失点、9回表にマウンドへ上がった大川慈英投手(国際2=常総学院)も1死満塁を本塁併殺で切り抜けるなど、得点を許さなかった。

 

 一方、明大打線は初回に敵失策が絡み先制したものの、2回裏以降は打線がつながらない。渡辺のアンダースローから放たれる変則的なストレートに苦労し、本塁を踏めずにいた。逆転を許した直後の4回裏は4四死球で2死満塁としたが、三振で3者残塁。7回裏にも2死一、二塁の場面で4番・内海優太内野手(商1=広陵)が右中間に鋭い打球を放ったが、ライト・中山太陽(東大)のランニングキャッチに阻まれ、またも無得点に終わった。

 

 しかし渡辺が降板した後の8回裏。連続四球と犠打で1死二、三塁の好機が訪れる。代打の三輪拓未内野手(文2=常総学院)が犠飛、さらには途中出場の福原聖矢捕手(国際1=東海大菅生)も二塁手強襲の適時打で続き、初回ぶりの得点で1点差まで追い上げた。

 すると9回裏、スタンドの上級生部員たちも立ち上がって応援するほどの高揚感が若猪の背中を押す。先頭打者が三遊間を切り裂く安打で出塁後、2死三塁と再び得点機。ここで新人主将の吉田匠吾内野手(文2=浦和学院)が、この日3安打目となるセンター横への適時打でついに同点に追い付く。そのまま試合終了となったが、粘り強い攻撃だった。

 

 終盤に粘りを見せた明大が追いつく形となったこの試合。しかしまだまだ成長の可能性を秘めている。次戦の早大戦はどんな試合展開が待っているだろうか。

 

[西田舞衣子]