
明大スポーツ第526号『アフターコロナ会話攻略法』 「MU STREET PARK」インタビュー拡大版③
昨秋、駿河台キャンパスに明大初の〝キャンパスピアノ〟が設置された。御茶ノ水の街に響き渡った美しい音色の正体は、学生団体「MU STREET PARK(以下、MUSP)」のストリートピアノ。今回は、そんなMUSPで活躍する学生の声をお届けします。
(この取材は昨年12月14日に行われたものです)
◆10・26~12・23 MU STREET PARKプロジェクト(アカデミーコモン広場)
・ストリートピアノの設置
・コーヒーの提供~カフェパンセコラボ~、MU WALLの設置
・くつろぎスペースの提供
MU STREET PARK(MUSP)とは?
学生の自主的な活動を大学が支援するM-Naviプロジェクトの枠組みで立ち上がった学生団体。昨年10月から12月の毎週水曜日と金曜日に、駿河台キャンパスにあるアカデミーコモン前の広場におけるストリートピアノの設置やコーヒーの提供などを通して、居心地の良い空間づくりを実践した。
(ストリートピアノを使った演奏の様子)
MUSP代表・久我さん(政経3)
――対面コミュニケーションの機会が減少しているコロナ禍において、対面イベントを開催する意義を教えてください。
「今が大学3年生で、入学した時からずーっとZoomとかオンラインでした。イベントもオンラインでやっている中で、実体としてはなかなか残らないと思います。記憶には残りますが、実際の空間の上で形になるというのはオンラインの時よりも対面の方が多いと感じます。そこは対面の意義として感じています」
――コロナ禍でキャンパスに行く機会が減る中、対面イベントがキャンパスの魅力の一つになり得るでしょうか。
「絶対になると思います。特に駿河台キャンパスはもともとイベントがないキャンパスですよね。明大祭も和泉でやる中で、特に大きいイベントがない。そうしたところに、こういう風に1年の数ヶ月の間、週に1回か2回かもしれないですが、ストリートピアノが置いてあるというのは大学としても強みだし、御茶ノ水の駅やエリアとしても強みではないかと考えています」
――コロナ禍で不特定多数の人との会話が避けられる中、ストリートピアノは聴くだけで十分な体験になると思いますか。
「なると思います。聞くだけでも十分で、コミュニケーションとはいかないかもしれませんが、喋ることとは別に、音で交流するというのは新しくて良い取り組みだと思います。ピアノも常連さん同士で連弾とかがあって、それは声を出さない楽しみ方があるということなので、非常に面白いなと思います」
――そういったことは想定していたピアノの使い方ですか。
「あまり連弾というのは頭になかったです。セッションというのは想定していましたが、ピアノを2人で弾くという考えは、正直あまりなかったです」
――そういうところにも面白さがあるということでしょうか。
「このイベントは偶然性を大事にしていて、偶然なものが生まれてくるというのをとても重要視しています。そういった想定してなかったことが起きると『いいじゃん』という感じになります」
(ピアノを2人で弾いている様子)
――コロナ禍における感染対策で大変だったことありますか。
「当初、大学の事務室と交渉しているときに、一応敷地内なので大学の入構制限がかかるかもしれないと言われました。『そうか、コロナだしな』と思って、そういう大学の規則で自分のやりたいことの折り合いがつかなくて、やるせない気持ちになる時はありました」
――最近は制限も大分緩くなりました。
「最近は制限も緩和されましたし、大学もこのプロジェクトに肯定的な感情を持ってくれているので、良い印象で進んでいるように思います」
――コロナ禍におけるMUSPの強みを教えてください。
「やはりピアノがあるので、声を出さないでも何かしらの意思疎通やコミュニケーションを取れる手段があるというのが非常に強みだと思っています。face to faceで言葉を交わすというのが対面の一番の強みであると思っていて、そこで実際に声を出して言葉を交わすのではなくて、ピアノという音楽のツールを用いて、声を出す代わりのコミュニケーョンができる。それがこの企画の強みだと思います」
――オンライン授業が続く中で窮屈な思いをする学生も多いと思います。そうした学生にも心地良いと思える場所を提供できるというのも一つの目的なのでしょうか。
「意外とキャンパスの使い方が分からない。学生はスタートが家でのオンライン授業で、急にキャンパス来てどう行動したらいいか分からない。リバティタワーも混んでいるとか。そうした学生にも一種の安らぎを提供できればいいとも思っていたので、そういう意味では成功しているのかなと思います」
――このイベントを通して感じた収穫と課題を教えてください。
「収穫は、こういうことをしていると肯定的な意見をいただけたり、やってみるのが重要だと思えたり、こういった小さな空間の取り組みでも変わることがある、というのが収穫です。一方で、イベントをやるにあたっての課題は、挨拶回りが足りなかった。肯定的な意見がある一方で否定的な意見をいただくこともあって、そういうときに地域の人たちと理解をしながら進めていくことが大事です。その点で最初の挨拶回りが足りなかったです」
――MUSPの活動は2022年で終わると思いますが、今後の展望はありますか。
「今後の展望は来年も続けることです。要望もありますし、自分たちも続けていきたいと思っていて、準備してまたM-Naviプロジェクトとして採択されてやっていきたいなと思っています。それが一つ短期的な展望で、長期的には神田、駿河台だけでは終わらないで御茶ノ水、茗溪通り、日大など、そういう外部にも、地域の人たちもどんどん巻き込んでいってこういう取り組みが地域に波及していくことで『御茶ノ水、駿河台って面白いじゃん』と外部から評価されるまちづくりができていったらいいなと思います」
(アカデミーコモン前の広場に設置されたストリートピアノ)
[渡辺悠志郎]
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