山岡優奈 部を裏側から支えた陰のヒーロー/4年生取材④

2022.01.21

 今年度、春秋どちらも2位という結果に終わった明大。惜しくも優勝はできなかったが安定した成績を残し続けた。その中で特に活躍をした4年生の中心メンバー4名に事後取材を行った。最後となる第4弾はマネジャー、そして連盟の役員としても部を裏側からサポートしてきた山岡優奈(政経4=明大中野八王子)。チームや選手、そして自身の仕事であるマネジメント業に対しての思いを語っていただいた。

 

――まず、今年度1年間を振り返って、思い出深いことはありますか。

 「この1年間はとにかく大変だったのを覚えています。2、3年生の時は、仕事の量がマネジャーの人数が少なくてそれも大変でした。しかし、今年度は自分の代になって、自分の代の選手が幹部になって谷口を中心にチームを引っ張っているという状況で、自分の同期の意識がどんどん変わっていきました。チームの中での立場が変わって、みんなのことを引っ張っているという中で『自分は何が変われているのだろう?』とか『最上級生として何ができているのだろう?』というところで、自分のことについてはすごく悩みました。野球のことも含めて言えば、このチームはすごく雰囲気が良くて、4年生を中心にみんなで作り上げている雰囲気で勝っているところがありました。スコアラーとしてベンチに入ったときとか、リーグ戦や関東選手権の試合を応援しているときは、もうただただ楽しいという気持ちが強かったです」

 

――最後の神大戦は見ていていかがでしたか。

 「正直すごく悔しかったです。負けたこともすごく悔しかったし、これでもうみんなが野球をしているところを見たりとか練習に行ったりすることがないのだと思うと、悲しく、悔しい気持ちでいっぱいでした」

 

――選手の皆さんが最後のプレーを終えたとき、山岡さんはどのような気持ちでしたか。

 「『終わっちゃったのかな?』と思いました。『本当にこれで試合も準硬も終わるのかな?』という感じでした」

 

――気持ちが落ち着いたのはどのタイミングでしたか。

 「試合が終わった後のミーティングとか、割と下級生が泣いているのを見て『本当に自分たち終わっちゃうのだな』と思いました」

 

――4年間一緒に準硬式野球をやってきて、谷口(秀斗・政経4=広陵)主将はどのような人ですか。

 「とにかく谷口は熱いなと思っていました。ここまで準硬式野球に全振りして『チームを勝たせる』と言って、本当に自分にチャンスで回ってきたら打ったりとか、際どい当たりでも内野安打にしてしまったりとか。本当に、谷口はめちゃくちゃ練習するんです。朝早くから週7日練習して、試合ではしっかり結果を出して、本当にチームを勝たせている。それでベンチで出すチームを鼓舞する声とかも本当にすごくて、谷口ありきの1年間だったと思います」

 

――前田(剛志・農4=札幌一)選手についてはいかがですか。

 「前田はめちゃくちゃフレンドリーなわけでもないし、最初は怖いなと思うくらいでした。でも一緒にいるうちに、内面はすごく優しいと思うことがあり、意外と周りが見えているというか、しっかり声を掛けてくれるところは多いです。マネジャーの中でも結構『前田さんは優しいよね』みたいな。マネジャーの中で尊敬されていたり、憧れられていたりした存在だと思います。試合のところでいうと、高島(泰都・法4=滝川西)にフォーカスされるチームだとは思うのですけど、2年生の時に優勝した関東選手権など、要所は前田も一緒に抑えてくれたなと思っています」

 

――原(晟也・情コミ4=彦根東)選手についてはいかがですか。

 「原は本当にお調子者で、よく遅刻もするし忘れ物もするし、適当なところがたくさんあるのですが、本当にすごい人だと思います。原がいなかったらうちのチームの雰囲気はないと思いますし、どんなときでも原が『大丈夫、大丈夫』とか『ここで逆転するぞ』といった声を出していると安心していました。春季リーグ戦でも秋季リーグ戦でも大事な場面で出塁したり、得点したりとか、あと打点を挙げるのは原だったと思います。適当なところもたくさんあるのですが、やはり頭もいいし、周りのことも見えていて、本当に原にはすごく助けられたと思っています」

 

――明大の準硬式野球部は楽しくやっているのが印象的ですが、そのような雰囲気に支えられたことはありますか。

 「楽しく明るく、ベンチも『沈むな』という雰囲気がずっとありました。そういう明るい声が上がるから、チームが劣勢の時でも勝っているのではないかと思ったりとか、本当にそういうみんなの雰囲気で勝利をつかんだ試合があったりとか、本当に固くなく楽しくやったから勝てた試合とか得られた結果とかはいっぱいあったと思います。だから私は今まで7年間マネジャーをやってきた中で、この1年間が一番試合に携わっていて楽しかったし、それに一番野球が好きになった1年間だったと思います。みんながしんどそうな顔をしているときはすごくしんどかったです。『笑って!』と思っていました」

 

(得点が入れば選手ぞれぞれがそれぞれのやり方で盛り上げる。六大学のチームの中でも明大は特に雰囲気が明るい)

 

――4年間で最も印象に残っている出来事はありますか。

 「春季リーグ戦の立大戦ですかね。立大戦の日の日曜日に谷口から4年生のLINEに『今下級生がみんな苦しんでいるから、試合に出ている、出ていない関係なく、4年生の俺たちがいろいろな形でサポートして、今まで助けてもらったし、これから絶対助けてくれるから、今はなんとか4年生で勝たせてあげようよ、で明日頑張りましょう』と送られてきて。次の日の3戦目で実際に4年生が大活躍で、『絶対4年生で勝たせてあげようよ』と言った試合で本当に4年生が全員、プレーしている選手もベンチで声を掛けているような選手も裏方に回っているような選手も、本当に4年生全員の力で勝てた試合で、しかも試合の内容もすごく感動したじゃないですか。だからこの一戦はリーグ戦の中でも特別な一戦だったと思います」

(立大3戦目、勝ち越しの場面。チーム一丸となって戦った〈写真提供:準硬式野球部〉)

 

――4年間でつらかったことはありますか。

 「大きく分けると二つあって、一つ目は今回秋季リーグ戦と関東王座の優勝を逃したことです。もう一つは自分の中で悔しさも後悔しているところも両方ある面なのですけど、今まで1年生の秋にマネジャーが1人になってから『自分がやればいいや』という感じになってしまっていて、もともと人を頼るのが得意な性格ではないので、仕事を振ることがうまく後輩のマネジャーにできなくて、それはすごく申し訳ないなと思っていますし、自分の力不足を感じて悔しい部分でもあります」

 

――後輩のマネジャーが増えてきて、教えることなど大変ではなかったですか。

 「教えることもすごく大変でしたし、マネジャーが一気に3倍くらいになったのでやり方が変わりました。いろいろな担当をシフト制にしなければいけなかったり、そこでなかなかうまく変化に対応しきれなかったというか、いろいろやり方が変わる中で後輩にうまく仕事を振ることも指摘することも『うまくやるのが難しいな』と思いました。まず自分が順応して、それに対して考えて動かさなければいけなかったので、なかなか迷惑をかけてしまったなと思っています」

 

――4年生としてチームを引っ張る立場になりましたが、谷口さんが引っ張るチームはどうでしたか。

 「ものすごく厳しいチームという印象です。練習に対しては厳しくて、谷口とかもすごく後輩とか同期にも厳しい言葉を飛ばしていたのですけど、その中でもやはり明るさとか楽しさとかがよく見える野球をしていたのが一番違うかなと思います」

 

――メリハリがよりあったということでしょうか。

 「萎縮していたのかもしれないし、後輩だから見えなかったのかもしれないですけど、でも練習自体はすごくしっかりやるし、厳しい言葉を飛ばす上級生も多いけど、でもみんなこのチームが好きで、周りにいる人たちがうまく明るい雰囲気とか楽しい雰囲気を作って、厳しくたくさん練習する中でも楽しさがあるというか、それでそういう面が試合には発揮されて『あれだけ練習がんばったのだから勝てるぞ』というこのきついのを乗り越えた面と、いつもの明るく楽しい雰囲気と、そういうところがあったのは違いかなと。本当にこれはこういうチームでありがたいなと思っているのですけど、みんながチームのことを大好きなチームだったのがこのチームの特別感だったと思います」

 

――この取材の場で言いたいことはありますか。

 「準硬のことでいえば、4年間本当にいろいろな選択肢がある中で準硬を選んで、私はマネジャーの環境としても置かれている環境が特殊で、本当にずっとプレッシャーと責任感がありました。あとうまくできなかったときは自分への嫌悪感とかもあったし、いろいろ悩んで悩んでどうすればいいのか分からないこともあったし、結構精神的につらいことに加えて、家に帰ってからどんなに眠くても動画のアップロードをしなければいけないとか、次の日の準備をしなければならないとか、体がきついこともたくさんありました。でも本当にどんな大変さも、どんなに嫌なこととかあっても、自分の原動力は『このチームが好き』『同期が好き』『この人たちが好き』という気持ちだけで突っ走ってきたし、突っ走ってこられたと思います」

 

――『こういうチームになっていってほしい』といった思いはありますか。

 「私はマネジャー、スタッフに向けての言葉にしようと思うのですが、マネジャーの人数が増えてからSNSをもっとたくさんできるようになったりとか、今もInstagramの投稿とか工夫してくれていたりとか、できることがたくさん増えていて、後輩たちのスタッフのチームもすごくいいチームになると思います。私自身はスタッフチームのこれからの発展というか、今まで人手不足でできなかったところもたくさんあったし、私よりも後輩のマネジャーの方が上に立つのは向いていると思うし、今まで私が一番上にいたわけだけど、それが数年ぶりにいなくなって、それでまた新たな風が吹くと思うので、新しい後輩のスタッフチームになることをすごく期待しているし、楽しみにしているし、応援しています。スタッフだけと言ったのですが、後輩の選手たちもすごくみんな4年生のこと好きと言ってくれていて、後輩たちがこんなに自分の同期のことを好きでいてくれるのが本当に私はうれしかったので、これも高校の時と比べて、こんなに後輩のことも好きになって、後輩の活躍が心からうれしいと思えたのは初めてだったので、後輩たちには本当に今までたくさん4年生のことを愛してくれた分、私も後輩たちのことが大好きだし、そんな大好きな後輩たちが幸せになってほしいと思っています」

(木村杯秋季新人戦優勝の瞬間。明大らしい盛り上がりや声出しは後輩にしっかりと受け継がれている)

 

――明スポとしても選手の方々の温かい対応に支えられています。

 「準硬一同明スポ大好きなので、試合中のヤジで『今日の明スポお前だな!』というのがとぶくらいなので、ぜひ取材してあげてください。結構準硬の離れて暮らすお母さま方も明スポ読んでらっしゃるみたいなので、準硬に明スポに取り上げられて嫌な人はいないと思うので、いろいろ聞いてあげてください」

 

 

――ありがとうございました。

 

[金内英大]