苦しみながらも亜大に勝利/王座出場校決定トーナメント(男子)
リーグ戦が中止となり、代替試合として行われた王座出場校決定トーナメント。第1戦は亜大との熾烈(しれつ)な争いに。厳しい戦いを強いられたものの、チーム一丸となり亜大に粘り勝ちし5-4で勝利。悲願の全日本大学対抗王座決定試合(以下、王座)出場へ、望みをつないだ。
【D1北岡志之主将(法4=法政二)・森大地(文4=東海大菅生)組VS濱口昌孝・目黒志和組】
チームに大きな1勝をもたらした。第1セットは両者一歩も譲らず接戦にもつれ込む。迎えたゲームカウント5-4、スコアは40-40の場面。「いかに強気で行けるか。引いてしまったらすぐに取られる」(北岡)。緊張した場面でも強気のプレーを心掛ける。最後は森が角度をつけたショットを放ち、見事に第1セットを手にした。第2セットは第1セットの勢いそのままに相手を突き放す。「自分たちのペースを乱さないよう自分たちに集中し、次に相手の弱点を狙うようにした」(北岡)。第7ゲームでは15-40から3連続でポイントを連取し5-2とするなど、最後まで相手に流れを渡すことなく6-2で勝利した。
今大会は声を出さず、拍手のみでの応援のため「選手がチームを盛り上げることが大事。そこに関しては120点くらいできた」(森)。チームの流れを左右する重要なダブルス1で主将、副将ペアがしっかりと役割を果たした。
(ベンチコーチに入った廣瀬大瑚(営4=桐光学園)と話す森・北岡組)
【S4町田晴(文3=四日市工)VS古藤嵩大】
2時間を超える熱戦を制した。町田は出だし好調に2ゲームを連取するも、試合は一進一退の膠着(こうちゃく)状態に。接戦の中でも相手のスキは逃さない。積極的に前へ出るプレーで1セット目を6-4で勝ち取る。続く2セット目は序盤から相手に主導権を渡し、0-3の苦しい展開。しかし「バックハンドのスライスで前後左右に揺さぶれた」。順回転がかかった球を逆回転にして返すスライスショット。難しい球を的確なコースに打ち込み、じりじりと追い上げる。だが長時間の試合で疲労がたまった足がうまく動かない。ゲームカウント3-4のタイミングで左足ふくらはぎにテーピングを巻いた。すると足が相手の球に追い付くようになり、次のゲームはストレート勝ち。「ここまでうまく動けると思わなかった」。勢いそのままに2セット目も6-4で奪う。勝利の瞬間、大の字に倒れこむ町田。「ほっとした」。リーグ戦初勝利で粘り強さを見せた。
(勝利後コートで大の字になった町田)
【S2飯田翔(商1=足利大付)VS岡悠多】
チームを救ったのはルーキーだった。試合前、シングルス2に出場予定だったのは北岡か飯田のどちらか。その中で北岡自身が飯田の出場を決定。「北岡さんが選んでくださって、それに応えたかった」。強い思いで試合に入るが、第1セットは無理に打ち続けてしまったことであっさり落としてしまう。続く第2セットからはベンチコーチに滝口伊和生助監督が入る。「焦っているときに冷静になれたのでとても助かった」。簡単に試合を終わらせないために、相手よりも1球でも多く返すことを意識し始める。チャンスボールを逃さず、このセットを6-4で獲得した。この時点で他の試合が全て終わり、明大と亜大の勝利数は4-4。命運を託されたのは飯田となる。「インターハイの思い出がよみがえった」。高校2年次の団体戦でも同じ状況で負けた過去の苦い思い出。「同じ負けだけは嫌で、最後まで絶対勝つ気持ちでやった」。最終セットの10ポイントタイブレークは相手のミスを誘った飯田が5連続ポイント。最後は相手の棄権となり、粘り続けた飯田の大逆転勝利で明大の勝利の決めた。
(最後まで元気な姿でチームを鼓舞した飯田)
王座出場へ近づいた明大。次戦は1週間後、相手は連覇街道を突き進む早大だ。「平均して選手のレベルは上がってきている」(上原真吾監督)。格上相手に食らいつき、王座奪還へ歩みを進める。
[田中佑太、萩原彩水、春木花穂]
試合後のコメント
北岡
ーーゲームプランはありましたか。
「相手の弱点がやはりあって、事前に分析して分かっていたので、そこを中心的に狙うようにしていました。あとは自分たちのテニスができれば絶対勝てるなと思っていたので、そこのペースを乱さないように自分たちに集中しました。次に相手の弱点を狙うようにして、そしたら今試合はうまくいったと思います」
ーー次戦に向けて意気込みをお願いします。
「相手は早稲田大学で全国1位の大学です。こちらとしては失うものは全くないので、本当にチャレンジャーの気持ちで向かって、それでなおかつ勝利できればいいと思うので、そんなに気負わずにいきたいです。チームで勝ちにいくという気持ちで向かいたいと思います」
森
ーー試合の出来はいかがでしたか。
「7月に同じ相手とやったことがあって、その時は接戦を制して勝ちましたが、今回はその経験がすごい生きました。弱点をすぐにつかんで、比較的自分たちは悪いところは出ないで、いい所がたくさん出て勝てたので、その準備がしっかりできてて、良かったと思います」
ーー第1セットの10ゲームの40-40の場面を振り返っていただけますか。
「僕は最後アングルという角度つけたショットを打ったんですが、それだけはずっと隠し持ったというか、使わないでおいて最後に使いました。そこはかなり心の余裕があってできたので、大事なところで打てるショットを残して、必殺技みたいな感じです。それが良かったと思っています」
町田
ーー最後は倒れ込む場面もありました。
「リーグ戦は1年生の時にも出ていましたが、勝ったことはなかったです。最後勝利まであと1ポイントとなると硬くなった部分もあったりしたので、勝った瞬間倒れてしまったのも急に力が抜けました。安心してホッとしました」
ーー次戦に向けて課題はありますか。
「サーブの確率が本当に悪かったです。特にファーストサーブは自分が点を取りたくてリスクを負って、打ったときに確率が本当に悪かったので、その部分をもっと精度上げていかなければいけないです」
飯田
ーー団体戦への思いは強いですか。
「インターハイで同じように僕に勝敗が懸かって、負けてしまいました。その思い出がよみがえって、セカンドセットからそれだけは嫌だと思って、周りの応援してくれる人の分まで全力で最後まで本当に勝とうという気持ちでやりました」
ーー最後の1人となりました。
「隣のコートや周りを気にするなと滝口コーチに言われていました。絶対見ないようにして負けたんだなと思わずに自分のことを集中していました。最後になって他の試合が終わって、ファイナルセットだったので、みんなが応援してくれていました。僕が出るか、北岡さんが出るかで北岡さん自身が僕のことを選んでくださって、それに応えたい強い気持ちで絶対勝ってやるという気持ちでやりました」
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