特集記事
SPECIAL

飯田翔 王座優勝へ チームと恩師への思い

硬式庭球 2021.09.13

 「一番になりたい」。飯田翔(商1=足利大付)はインターハイ複準優勝、全国私学大会単優勝の実力者。〝分析、調整し、最後は前向きに〟が信条。テニスの強豪校・足利大付高で主将を務め、チームへの貢献を重んじる。仲間と恩師のために、悲願達成を志す。

 

恩師との出会い

 「テニス人生を変える人だった」。NJテニスクラブ代表・明大OBの沼尻利政コーチ。小学6年次に全国大会に出場後、勝利と強さを求めて出会う。基礎の技術から積極的に教えてくれたコーチ。数々の疑問に答えをくれる姿勢は頼もしかった。打ち方への詳しい理解は、後のテニス人生の土台となる。メンタル面では「前向きに捉えろ」とよく注意された。練習を重ねる中で、楽しむことが1番だと気付く。試合では「今ここが駄目だから、ミスをしたなと考える」。冷静で前向きな姿勢。技能と心理、両面からの指導のたまものだ。学んだプレースタイルは、今でも変わらない。

 

スランプの先に

 地元を離れ、高校は寮生活ができる足利大付高に進学。1年次、国民体育大会に出場するも満足せず、サーブの改良を試みる。だが、フォームが崩れ、スランプに。「テニスが嫌になった」。答えが見つからないまま、2年次の夏、インターハイを迎える。自分が勝てばベスト8が決まる、団体戦の大一番。サーブの不調が響き、無念の敗北を喫した。初めて負けの涙を流す。「チームのために、より頑張らなくては」。すぐに一からの再スタートを誓った。寮生と練習し、沼尻コーチにもサーブの動画を送る。多くの人からアドバイスをもらうが、最後は自分との闘いだった。毎日、紙に書きだした目標を胸に刻みながら、何百球も打ち続ける。明確な目標へのたゆまぬ努力。成果は徐々に表れる。年明けの全国私学大会、私立高校の頂点を懸けた一戦。「今までで一番良い状態で試合に臨めた」。結果は見事優勝。努力が実り、自信につながった。

 

王座を目指して

 高校の経験を経て、団体戦への思いが強まった。大学も寮生活へ。「将来生かせることを、今から学べる」。1年生4人で回す寮の仕事は大きな負担。それでもチームのために頑張り、喜び合うのが好き。そして、明大では「コーチに恩返しがしたい」。全日本大学対抗戦・通称王座。沼尻コーチは在学中、優勝できなかった過去を持つ。団体戦に勝つ。無念を晴らしたい。熱き思いを胸に、目指すは王座優勝ただ一つ。魂の一球を今日もコートに叩き込む。

 

[渡辺悠志郎]

 

飯田 翔(いいだ・しょう)商1、足利大付高。趣味はボウリングとトランプマジック。170センチ・63キロ。


関連記事 RELATED ENTRIES