ルーキー特集(6)経験豊富な尾張の左腕 懐を突く直球で勝利へ導く 磯村峻平

2018.08.31

毎年恒例の硬式野球部ルーキー特集。今年も全国からトップレベルの選手が入部してきた。その中でも活躍が期待される注目の選手を全6回にわたって特集する。  

貴重な左腕としていきなりのリーグ戦デビュー。インコースを突くストレートは大学トップレベルだ。明大にとってすでに欠かせない存在になっている磯村峻平投手(文1=中京大中京)。高校時代から数々の大舞台を経験してきた彼は、寡黙に練習をこなす努力家であった。

 

 

 

 もともとはサッカーに熱中していた。そんなサッカーの練習中に野球と出会う。隣で練習していた野球が楽しそうに見えたのを機に、本格的に野球を始める。中学では「硬式の体験でデットボール当てられて痛かった」のを理由に軟式の道に進んだ。それでもチームのエースとして全国大会8強に進出するなど輝かしい戦績を残した。

 

 高校は甲子園最多優勝回数を誇る中京大中京に進学。「愛知県の中でやろうと思っていた」。高校1年時には上野翔太郎(駒大)の主将でありエースとしてもチームを引っ張る姿を見ながら練習に励む。同期にも香村篤史(中京大)、伊藤稜(中京大)といった140キロを超える速球を武器にする投手が在籍。「1人が投げると1人が助ける、バックアップする形だった」と互いに助け合いながら成長してきた。そして高校2年生の夏、野球人生の中で最も悔しさを感じる時が訪れる。4回戦の愛工大名電との一戦。先発するも2回途中を投げて3失点。先輩の夏を終わらせた悔しさで胸がいっぱいになった。

 

 迎えた最後の夏。「甲子園が勝つか負けるかで変わってくるので、勝った時はすごい嬉しかった」と甲子園出場が決まった時を野球人生で最もうれしかった瞬間にあげた。磯村は背番号が二桁であったにも関わらずチーム最多の投球回数を投げ、大車輪の活躍を見せつけた。念願叶って迎えた甲子園では中村奨成(広島東洋カープ)を擁した広陵と対戦。チームは敗れたものの、磯村自身は6回途中まで無失点の好投を披露し、大会後にはU-1818歳以下)日本代表にも選出された。
威力抜群の直球で打者を翻弄(ほんろう)
する

 

 

 

「明治は投手がいいと思った」と投手陣のレベルの高さが進学の決め手となった。春は1年生ながらピンチの場面でも登板し、チームを優勝争いにもつれさせた。しかし慶大1回戦でサヨナラ打を浴び、悔しさも残した。「秋は0点に抑えたい」と意気込む。リーグ戦後には1年生で唯一、六大学選抜に選ばれ台湾遠征を経験。「大学は4年生までいるので、いろいろなものを背負っていかないといけない」と大学野球ならではの重みも感じている。現在は体つくりと並行して、下半身を使いボールを投げることを強く意識している。春1点に泣いたことを忘れず、磯村は意識高く邁進(まいしん)し続ける。 

 

 

 

[小畑知輝]

 

 

 

◆磯村 峻平(いそむら・しゅんぺい)文1、中京大中京高、178センチ・81キロ、左投左打、投手

 

小学生時代には水泳も経験。高1では夏の甲子園で先輩が関東一高にサヨナラホームランを打たれるのをスタンドから観戦。高校3年時の日本代表では川端健斗(立大)と親しくなる。