
ルーキー特集(3)直球を武器にエースの座へ 長野の努力家右腕 髙橋聖人

毎年恒例の硬式野球部ルーキー特集。今年も全国からトップレベルの選手が入部してきた。その中でも活躍が期待される注目の選手を全6回にわたって特集する。
自慢の直球が神宮でうなりを上げる。髙橋聖人投手(商1=小諸商)は長野県の公立校・小諸商高出身。3年次春に同校を1956年秋以来となる、61年ぶりの県大会優勝へと導いた。春季フレッシュリーグではチーム最多の3試合に先発するなど、その実力を遺憾なく発揮。今後の成長に期待がかかる本格派右腕だ。
ケガの経験が真の強さを引き出した。「疾風に勁草(けいそう)を知る」。高校の恩師・竹峰慎二監督の指導方針だ。「困難に遭って初めてその人の強さが分かる」という意味で、そこから「強豪校ではない小諸商高が勝ち上がるには本当の力を身に付けなければならない」。試合があるたびに選手たちへと説いた。髙橋聖自身この言葉を痛感することとなったのが、高校2年次秋の県大会。背筋に全治3週間のケガを負ってしまう。「(投手は)自分しかいないチーム状況だったため、本当に迷惑を掛けてしまった」。大事な場面で力を発揮できなかったことを猛省し「もう二度とケガはしない」と決意。理学療法士の指導を仰ぎながら、強い体づくりを心掛けた。迎えた高校3年次春。心体共に成長した右腕は、春季県大会初優勝へと大きく貢献した。
苦しい練習が持ち味を確立させた。自身を「まっすぐで押すタイプ」と評する髙橋聖。最速は145キロだが、それ以上のキレや迫力を持っている。この持ち味を支えるのが、高校時代の投げ込みだ。高校1年次、竹峰監督から受けた「とにかく思いきり投げろ」との指示。当時「制球を意識しなければならない」と考えていたことから、この指示には懐疑的であった。だが「投げるための筋力は投げて付けるしかない」と高校1年次冬、制球を無視した投げ込みに着手。雪が降っても投げ込みを続け、自慢のストレートを身に付けた。
長所に一段と磨きをかける。目標は藤川球児(現阪神タイガース)の〝火の玉ストレート〟。「投げると分かっていても打てない直球というのは本当にすごい」。憧れの球へ近づくため、さらなる努力を積み重ねていく。
気迫ある投球で打者へと向かっていく
人間力野球の申し子となる。島岡吉郎元監督の生誕の地・長野県で育った髙橋聖。「社会で通用する人間になれれば、野球の成果もついてくる」と、4年間で島岡イズムを吸収するつもりだ。春季フレッシュリーグでは3試合に先発したものの、苦しい場面を経験し「力不足を感じた」。一方で「これからの課題も見つかった」と前向きだ。投手力、人間力を兼ね備えた明大の勁草となるために。努力家右腕が神宮のマウンドへと昇り詰める。
[小野原琢真]
◆髙橋 聖人(たかはし・まさと) 商1、小諸商、171センチ・84キロ、右投右打、投手
果物の名産地・長野県で育った髙橋聖。「ひたすら食べた」という好物の梨が、84キロの体格を作り上げた(?)
次回のルーキー特集は8月27日(月)陶山勇軌外野手(商1=常総学院)です。お楽しみに!
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