勝利への執念 終盤の逆転劇で立大に競り勝つ/東京六大学秋季フレッシュトーナメント

2017.11.02
 終盤の逆転劇で勝利をつかんだ。秋季フレッシュトーナメントの準決勝となった立大戦。6回まで2―4と2点を追う苦しい展開が続く。そして迎えた7回。相手の失策と和田慎吾外野手(商2=常総学院)の2点適時二塁打で逆転に成功する。8回にも代打の今村健太郎外野手(政経2=鹿児島中央)が左越えソロ本塁打を放ち6-4と点差を広げた明大。粘りの野球を体現し決勝へと駒を進めた。

 終盤での好機を逃さなかった。2点を追う7回。2死から二つの四死球と安打で満塁の好機を作ると相手の暴投で1点差に迫る。さらに一打逆転の場面で打席に立ったのは、先日の慶大戦で本塁打を放った和田。祈るような声援が明大ベンチからは送られる。「何としてでも一本出せるように」と高めの直球を鋭く振り抜いた打球は左翼フェンス直撃の逆転適時二塁打に。好調を維持する男が当試合も結果を残した。さらに8回には奇跡の一打が飛び出す。この日バックネット裏から見守るのは鹿児島から応援に来た今村健の両親。8回に代打宣告を受けると「良いところを見せたい」と高めの直球を捉え左越えソロ本塁打に。たった一度の打席を物にし、最高の結果で両親の期待に応えた。「明治らしく粘りの野球ができている」(北本一樹内野手・文2=二松学舎大付)と終盤でも切らさない高い集中力と勝利への執念が劇的な逆転勝利を呼び込んだ。 
 
 気迫の無失点投球は成長の証だ。先発の伊勢大夢投手(営2=九州学院)が4回2本塁打4失点で降板。2-4と立大に流れが傾くまま5回から登板したのは入江大生投手(政経1=作新学院)。「自分がここで抑えたら流れがくる」と先頭打者から全力投球で攻める。6回には無死二塁のピンチの場面を迎えるも三者連続三振で切り抜けた。常に直球のキレとのびを意識して投球練習を行なっている入江。7回以降は140㎞台後半の直球と新たに習得したフォークで凡打を量産。立大打線に安打を許さなかった。「来年には第2先発を任せられるようになりたい」。未来のエース候補が結果で成長を示し手応えをつかんだ。
 
 優勝は譲らない。決勝の相手は準決勝でサヨナラ勝ちをしている法大だ。今年はリーグ戦でも優勝から遠ざかっている明大にとって明日の試合は大一番となる。「新人戦だけでも優勝したい」(北本)。今年最後の公式戦を3季ぶりの優勝で締めくくり来年への糧として見せる。

[坂田和徳]

   

打順 守備 名 前
(中) 内山(静岡) 死球    死球    三振    遊ゴ 一ゴ
(二) 清水頌(春日部共栄) 投ギ    二飛    三振    四球
(遊) 北本(春日部共栄) 二直       遊直 三安    死球
(三) 公家(横浜)    三振    中三 死球   左安
(左) 和田(常総学院)    遊ゴ    左二 三振    左二
(一) 喜多(広陵)    三振    右二    二失 二ゴ   
(捕) 赤木(育英)       三振 四球    遊併     
  今村健(鹿児島中央)                      左本
   西野(浦和学院)                      
(右) 長原(日南学園)       中安 三振    三振     
  髙野(春日部共栄)                   二ゴ
  松永(大分上野丘)                    
(投) 伊勢(九州学院)       右飛           
   藤江(千葉黎明)          二ゴ       
   入江(作新学院)                  遊ゴ 二飛
30                       

名 前 球数
伊勢(九州学院) 50
○入江(作新学院) 67
北本(文2=二松学舎大付) 喜多(法2=広陵) 今村健(政経2=鹿児島中央)
石毛(文1=高崎健康福祉大高崎) 森(政経2=明大中野) 松永(営2=大分上野丘)
17 前山(商2=県立大島) 清水頌(政経2=春日部共栄) 内山(商2=静岡)
18 伊勢(営2=九州学院) 14 森井(農2=佐久長聖) 37 和田(商2=常総学院)
19 大田(農2=明大明治) 15 公家(政経1=横浜) 38 長原(文1=日南学院)
28 入江(政経1=作新学院) 16 前田(法2=明大明治) 39 渡邉涼(商1=広陵)
31 大竹(営1=明大中野) 26 藤江(国際1=千葉黎明) 48 住吉(法2=明大明治)
西野(政経2=浦和学院) 27 髙野(商2=春日部共栄)
22 赤木(文2=育英) 32 今井(国際2=豊川)

試合後のコメント
気迫の込もったプレーを見せた北本
「明治らしく粘りの野球ができました。4点を取られた時はどうなることかと思いましたけど、みんなが粘ってくれた印象ですね。4点を取られたのも序盤だったので、まだいけるということで、とりあえず0を続けてこっちに流れを持ってこようと思いました。すぐ2点を返せたのが大きかったと思います。(打線つながった)今日は2死からでもチャンスをつくれて、点数にもつながっていたので明治らしい野球ができた印象ですね。(入江さん踏ん張った)0を続けてないとああいう攻撃ができないので、本当に粘り粘りで。ピンチになっても粘ってくれたので頼もしかったですね。(今村健の本塁打)あいつが頑張っているのは見てて分かっていたので、ホームランを打って喜んでいる姿を見て、自分もうれしくなっちゃいました(笑)。やっぱり頑張っている人というのはこういう場面になってもいい結果が出るんだなと思いました。(スタンドの盛り上がり)『おぉ〜』という声も聞こえて、先輩も盛りがっているって思いました。でも今は俺らの番だと切り替えてました。(自身もヘッドスライディングで安打)もう気持ちしかないんで(笑)、どうしてもヒットにしたくてヒットになってよかったです。(チームワーク)春のリーグ戦に比べるとここ負けたら決勝ないという感じなので、一試合一試合みんな勝つぞという気持ちがあって、それが勝利につながっていると思います。(決勝への意気込み)本当に最後に1点勝っていればいいので、どういう試合展開であれ、最後の最後で1点勝つことを目標に粘り粘りでいきたいです」

2試合連続スタメンマスクの赤木
「(試合を終えて)勝てたことは非常にうれしいです。(伊勢投手の立ち上がり)悪くはなかったので、どんどん勝負していこうと思いリードしました。今日はツーシームが良かったので、それを中心に配球を組み立てました。(本塁打2本)打たれたのは両方ともツーシームだったのですが、調子の良かったボールでもカウントによっては相手に捉えられてしまった印象です。逆に、自分が抑えられると思わなかったボールで抑えられた場面もあったので配球の幅は自分にとっても伊勢にとっても収穫になりました。(入江投手)元々ストレート中心のピッチャーですけど、今日も受けた感じだと真っ直ぐが走っていたので、ストレート軸にした配球を組み立てました。いつもよりも真っすぐがきていましたね。(初球は変化球で入ることが多かった)そうですね。変化球を見せてからストレートで押しました。カウントを早く整えたかったのでそのために初球は変化球を多めに、そのあとは真っすぐでファールを取れたので楽に投げられたと思います。武器のストレートで空振りとファールを多く取れたのは大きかったです。(入江投手の今後の課題は)抜ける球がまだまだ目立つので、抜け球をどんどん少なくしていければチームとしてはもっと簡単にアウトが獲れるのではと思います。(ご自身の活躍について)まだまだですね。最初の打席からずっと修正できずに同じ形でバットを振ってしまっていました。もっと逆方向に打ったりとか工夫をしてチームのためになるようなバッティングをしていきたいです。(明日の決勝)ここまで来たからには絶対に優勝したいので、強い意識を持って勝ちにいきたいと思います」

ダメ押しの代打本塁打を放った今村健
「(代打出場で本塁打)少し上がり過ぎたかなとも思うんですけど、上手く捉えられました。真っ直ぐの高めです。(スタンドにはご家族の姿も)母と父と、母方の叔母が来てくれていました。(ご出身の鹿児島から)そうです。叔母は青森から来てくれました。(昨日は)ベンチ入りしていなかったので、今日は打席に立ててホッとしました。(ネクストバッターズサークルの目の前にいらっしゃいましたが)気を遣って声は掛けないでいてくれましたが、応援してくれているのは感じていました。(打った瞬間は)良いところを見せたいと思っていたので、本当によかったです。(本塁打は)練習試合で打ったことはありますけど、公式戦では初めてです。(チームの雰囲気は)今季はあと一歩のところでリーグ優勝を逃してしまったので、ベンチ外の人も関係なく下級生一丸となっているので、優勝目指してやっていきます」

今季新人戦初安打を放った喜多
「最初に点を取られて苦しい展開でしたけど、みんなでつないで最後に逆転できたのは良かったです。(打線の好調)みんなが打ちたいという気持ちが前面に出ていて、今までやってきたことが試合で出せているのではないかと思います。(2打席目の二塁打)昨日もヒット打てていなくてチームに迷惑をかけていたので、一本打てば流れが変わると思って強い気持ちで打席に入りました。(明日は決勝)新人戦が始まる前から優勝を目標にやってきたので、とにかく明日はどんな形でもいいので勝ちたいと思います。(いずれはこのメンバーが中心となるが)自分たちがチームを引っ張っていくという気持ちはあります。来年、再来年と自分たちが積極的に明治を引っ張っていかなきゃいけないと思っているので、しっかり自覚をもって日々取り組んでいきたいと思います」

5番に座り2安打3打点の和田
「(逆転の二塁打)前の打席、チャンスで三振してたので何としてでも一本出るように強い気持ちでいきました。(粘り)何としても食らいつこうという気持ちでした。(好調の秘訣)特に意識はしてないですけどとにかく自分らしく強く振ることを心がけてやってます。(フィジカル)ウエートも重点的にやったり、体幹も意識して鍛えるようにしてます。(上半身が鍛えられてる)トレーニングの成果が出てると思います(笑)。(決勝の意気込み)とにかく優勝を目標に自分らはやってきたので、何としても勝てるようにやっていきたいです」

5回を無失点に抑えた入江
「(マウンドへ上がった時の心境)4点ビハインドで自分がここで抑えたら流れがくると思ってしっかり一人一人の打者を全力で0に抑えることだけを考えて投げました。(手応えがあった部分)立ち上がりと6回にヒットを打たれたんですけどそれ以外は真っ直ぐでファールを取れたことは自分の中で手応えがあります。(夏の取材では直球を強化したいと)投げ込みでストレートのキレ、伸びを意識してずっと投げていました。(秋季リーグよりスピードも出てた)秋季リーグはあまり調子良くなくて登板機会も少なかったんですけど、調子が悪かったぶん新人戦で爆発させようと思って自分本来の球威が戻って良かったと思っています。(初めての打席)勢いもついててちょっと調子づいてホームラン狙ったんですけど力入りすぎましたね(笑)。(今後、打席に立った時)今度もホームラン狙いたいです。(空振りが取れていた球)フォークですね。カーブが投げられなくなったので覚えました。(いつ頃に習得)2週間前ぐらいに覚えました。(どうやって)色んな動画を見たり、もう1種類は変化球が欲しいと思ってそこで自分のフォームを見つめなおしたところ、1番合っているのがフォークだったので覚えました。(今後への意気込み)年明けて、冬を越えて常時145キロ目指して、第2先発任せられるほどのピッチャーになれればいいなと思います」

今試合4番に座った公家
「(三塁打は)前の打席はカーブで全部体重が突っ込んでしまっていてまったく合わなかったので、しっかり引き付けて打とうと思って打席に入りました。(7回の安打は)あの打席もツーアウト一、二塁で『逆転するならこの回しかない』とみんなで話していました。そこで1本大きいファールを打った後に右方向に打とうという意識に切り替えられたので外の変化球にもついていけたのかなと思います。(特大ファールは)切れるかなと思っていたら本当に切れていったので(笑)。入ってくれれば良かったですけど結果的にはヒットになったので良かったです。(4番に抜てき)意識の変化とかはないですけど、4番にしていただいて周りのお客さんも『あ、4番だ』という風に見てくれるのでその分『打って注目されたいな』というのはあります。そういう気持ちで打席にも入っています。緊張とかはないです。ウキウキしながら打席に入っています。(前日無安打も内容は良かった)そうですね。当たりは良かったのであとは捉えるだけだなと。自信を持って試合に入れました。(投手陣では入江が好投)どんどん投げてくれたので守備もリズム良く守れました。(決勝に向けて)チャンスでの一本が大事になってくると思うので、そこで自分も一本打てるようにしていきたいです。あとはしっかりチームを盛り上げる声を入江と共にやっていきたいと思っています」