苦しんだ宮澤が開花 初戦・東大相手に白星/木村杯秋季新人戦

2017.10.26
苦しんだ宮澤が開花 初戦・東大相手に白星/木村杯秋季新人戦
 第一回王者になる。今年から春だけでなく秋にも開催されることとなった、1、2年生のみが出場できる木村杯秋季新人戦。初戦は今春にも対戦し勝利した東大。初回、相手のバッテリーミスや失策が絡み先制すると、2回には兼村京佑外野手(法1=札幌一)のライトへの柵越え本塁打で2点目。序盤から試合の主導権を握った。守りでは先発・宮澤賢輔投手(情コミ2=明大中野八王子)が5回を1失点の好投。中盤には中押しの3点を加え、危なげなく5―2で勝利を飾った。

 追試の舞台で一発“快投”を見せた。初戦のマウンドを託されたのは宮澤。初回、3つの四死球で1死満塁のピンチを招く。それでも、堂々と投げ込み2者連続三振。「打者にビビらずに投げられた」。そこからノッた。5回に1点こそ失うが4回まで無安打に抑えた。今日出した四死球は全部で六つ。右打者のアウトコースにボールが引っ掛かるなど、制球は本調子とは遠い。今春の同大会では4回を投げ5四球2失点。目立てなかった。でも、まだ与えられたアピールチャンス。「本人もずっと投げたいと思っていて、くすぶっていた部分もあったというのはすごく感じていた」と、今大会監督の役割を務める平島嘉之外野手(営3=明大中野八王子)。平島と宮澤は同校出身。期待を寄せた先輩に、孝行息子が応えた。
 「くるものがありましたね」(宮澤)。今年の東京六大学秋季リーグ、東大1回戦。アンダースローの大野祐基投手(政経1=松山東)が初登板を果たした。自身もアンダースロー気味に放るサイド右腕。立場は同じだ。「先に越されたというのは悔しいけれど、ここから自分のペースで一歩一歩」。1年春からイップスに悩まされた。打者が立つと、投げられない。そんな中、同期、そして先輩に相談して立ち直ってきた。「ビビらずに投げた方が良いから、デッドボールを当てたりしても腕を振ることだけを考えろ」(平島)。今日、腕をがむしゃらに振りながら、先輩からの言葉は頭にあった。下手で投げながら度胸満点。この投球が続けば、目標のベンチ入りも近い。

 リベンジを果たす。東大には勝ったものの、早大に敗戦し準決勝で姿を消した今春。平島は「もちろん優勝を狙いに行くつもり。選手主体でしっかり楽しくやる中で、勝ちを見出していきたい」と意気込む。来年から主将を務める平島にとって、今大会で采配をふるうのは来年への糧となる。「客観的に試合を見て自分が戦局を動かすのは、今後自分が試合に出ていく上でも大事」。次戦は28日の立大戦。一つでも勝利を伸ばし、来春のリーグ戦にも生かしたい。

[木村亮]

試合後のコメント
平島

「勝てたという結果が一番大事だと思う。内容は、ずっとリーグ戦やってきて練習もメインではできていなかったから、ミスも出るとは思っていた。こんな感じでよく頑張ったんじゃないかと。(宮澤先発)本人はずっと投げたいと思っていて、くすぶってた部分もあったというのをすごく感じていた。昨日の練習で、ブルペンにいた選手の中でも球が来てたし、気持ちも乗ってきていたから、じゃあ先発で使ってみようかなという気持ち。一番は試合に勝てるというオーダーを組んだつもりで、その中で今日の調子の良し悪し。一応は昨日の必修練から調子見て、こういうオーダーにしようっていうのは決めていたのだけど、その中で途中交代とかは今日のバッティングの調子とか見て変えていった。(千田をキャプテンに据えた理由)やっぱり実力。大学野球のキャプテンってすごい難しいなと俺は思っていて、高校野球とかだったら、普段からずっと一緒に練習したりするから試合に出ない選手がキャプテンだったりする。大学野球って実力面でも伴わないとなれないと感じていて、その中でずっとレギュラーメンバーとして試合に出ている。私生活を見た中でもチームを引っ張っているという印象が俺の中ではあるから、下級生のキャプテンだったら京平かなと。(采配できたのは収穫では)今まででは動かされる側だったんだけど、客観的に試合見て、自分が戦局どんどん見抜いていって、動かしていくというのは、自分が試合に出ていく上でも大事。今日はすごい良い経験になったなと思う。勝ったら選手のおかげ、負けたら采配のせいだと思うので、この場面で本当に変えて良いのかなとか、続投させていいのかという状況の見抜き方がすごい難しいと思っている。自分が試合に出ている中での、与えられた場面でプレーするだけだったんだけど、それをチーム全体として選手を動かしていくというのが今やっている中では難しい。(次戦)春の新人戦は、一回東大に勝って早稲田に負けてるから、今回もちろん優勝狙いに行くつもりでやっているし、チームの雰囲気が一番大事にしたいと思っているので、選手主体でしっかり楽しくやる中で勝ちを見出していきたい」

宮澤
「春の新人戦以来の登板でした。夏休み中にあまり自分の思い通りに投げられなくて、それをキャッチャーと話し合ってやってきました。今日もフォアボールを三つ出したので、自分としては40点くらいです。とりあえず打者にビビらずに投げられたというのは収穫です。(左打者寄りに引っかかるボールが目立った)自分の持ち味は浮き上がるボールなのですが、今日は少し高めに浮いてしまっていました。その球を逆に生かして、追い込んだ後にその球を振ってくれるように投げることを次回の目標にしたいです。あとは、今日左打者が一人しかいなかったんですけど、そのバッターにデッドボール当てたりとか、引っかかる球があったので。右と左はだいぶ違うと思うのですが、右バッターと同じイメージで左バッターに投げられたら、引っかかる球がなくなるのかなと。左バッターにとってはサイドだと逃げていく軌道なので、合わせやすいというのがあります。自分のイメージとしては内角つくくらいの。シュートしない球の方が打てづらいのかなと。まっすぐな回転は意識しています。(サイドは)高校1年の冬くらいです。監督に、自分が投げている球が横回転だったので、それを逆に生かした方がいいのかなと。サイドスローにした方がいいんじゃないかと言っていただいて、それがはまって高校2年生のときにベンチ入りして、試合にも投げさせてもらいました。(秋リーグでは同じ右下手投げの大野に先を越された)くるものがありますね。去年の春の新人戦から結果残せなくて、そこから調子が悪くなって、バッターが立つと投げられなくなって。イップスのような感じになって、それが今年の春の合宿の時に悪化して。キャッチボールも投げられないくらい。そう考えると先に越されたというのは悔しいですけど、ここから自分のペースで焦らず、一歩一歩。試合で使ってもらったら、こうやって結果を残せられれば、おのずとベンチ入りはできるかなと。まだイップスは完璧には直っていないんですけど、キャッチャーの林(優大・政経2=明大中野八王子)が高校から一緒にやってきていて、相談したり、平島キャプテンに、高校の時からチームメイトだったので、見てきてもらっていました。「ビビらずに投げていた方がいいから、デッドボールを当てたりしても腕を振ることだけを意識しろ」というのを、練習の時からずっと。あとはブルペンの時から打者立たせたピッチングをどんどんしていった結果が今日、だいぶまとまったのかなと思います。今日はまだまだですけど、変化球とか入っていなかったですし。自分のベースとしては、ストレートで空振り取れるのが調子のバロメーターなので。今日もファールは取れたんですけど、空振りは取れなかったので、次機会いただいたら、空振り取れるくらいの球を投げたいなと思います」