4年生右腕・水野が完全復活! 大量11得点で春王者を2タテ/東京六大学秋季リーグ

2017.10.02
 首位攻防戦を見事に制した。先発の水野匡貴投手(農4=静岡)が自己最多となる13奪三振で昨春以来の完投勝利。11―3で春季リーグ戦王者を圧倒した。初回から竹村春樹内野手(政経4=浦和学院)が先頭打者本塁打を放つと、続く走者を河野裕斗内野手(文4=鳴門)が3点本塁打で返し一挙5点。7回にも2本の適時打とスクイズで4点を追加し、持ち前の攻撃力を見せつけた。この結果、単独首位に浮上。2季ぶりのリーグ制覇へ大きく駒を進めた。

 三振の山を築いた。先発の水野は味方の大量援護に助けられ、初回から2奪三振の好投。指揮官からの「攻める気持ちを忘れるな」という言葉を胸に、序盤から変化球を中心とした攻めの投球を展開した。カットボールでカウントを稼ぐと、低めに集めたフォークで相手打者を翻弄(ほんろう)。女房役の橋本大征捕手(総合2=佼成学園)も「落ちる幅が広く、しっかり腕を振れて投げ切れていた」と水野のフォークを絶賛した。立大戦に挑むに当たり構想していた高低を使った配球で、立大打線に的を絞らせず。9回3失点、自己最多となる13三振を奪う快投を見せた。
 完全復活を遂げた。完投での勝ち星は3年次春の慶大2回戦以来、約1年半ぶり。昨秋は制球を乱し本来の投球ができず、優勝の瞬間もスタンドから見届けた。再起を誓い挑んだ昨春の登板はわずか2試合。今季の開幕カードでもベンチ入りメンバーに水野の名はなく、先発登板を果たした法大2回戦では6回途中での降板となった。満を持して挑んだ今試合。「全てをぶつけて投げられた」(水野)と7回には三者連続三振に切って取るなど、終始圧巻の投球を披露。「ものすごい意気込みで頑張ってきた成果が形になった」(中野速人主将・法4=桐光学園)。同じく最上級生の齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)頼みになっていた先発投手陣の一角に、待ちに待った右腕が加わった。

 チームに勢いをもたらす一撃となった。1回表。マウンドに上がったのはここまでリーグ首位の防御率を誇る右腕エースの手塚(立大)。1番・竹村は初球から積極的にバットを出し、カウントは2―1。決め球のチェンジアップを捉えた打球は、ポール際に吸い込まれ先頭打者本塁打に。公式戦での初本塁打にも「うれしい反面、ここから引き締めていかないと」(竹村)と冷静だった。その気持ちに応えるように、この一打を皮切りに打線は爆発。河野の3点本塁打を含む3安打の猛攻で得点を重ね、先発の手塚をノックアウト。昨季は8回をわずか2得点に封じられた好投手を、見事マウンドから引きずり下ろした。「この秋は4年生が頑張らないと」(竹村)。ここまで打率3割8分1厘、出塁率は5割と1番打者として十二分の働きの竹村。大学日本代表の主将を務めさらなる成長を遂げた男が、リーグ制覇に向けチームをけん引する。

 勢いそのままに優勝へ突っ走る。「4年生が要所でチームに勢いをもたらすプレーができている」(中野)。打線ではクリーンアップをはじめ、下位でも3年生の活躍が目立つ中、今カードではチームを鼓舞する最上級生のプレーが光った。打線はここまでリーグ首位の3割1分4厘。得点も7試合でリーグ断トツの44点を挙げる絶好調だ。次戦は現在3位を走る慶大。次カードで勝ち点を奪えばリーグ制覇はもう目と鼻の先だ。目の前に迫る優勝にも浮足立つことはない。投打に抜け目のない戦い方を貫き、天皇杯を奪いにいく。
 
[丸山拓郎]

打順 守備 名 前
(遊) 竹村(浦和学院) .381 右本 左飛    二ゴ    三ゴ   一ゴ      
  吉田(履正社) .000                           
(左) 添田(作新学院) .583 四球 右中三       右安 三振    三振   
  稲見(日大三) 1.000                          
(三) 渡辺佳(横浜) .333 左安 四球       投ギ    右安 左飛   
(中) 逢澤(関西) .308 三邪飛 中直       右中三    右中二 左飛   
(右) 越智(丹原) .370 右中二    三ゴ    死球    投ギ    左安
  走右 渡邉涼(広陵) .—                           
(二) 河野(鳴門) .300 左本    二ゴ    死球    死球    一邪飛
(一) 高瀬(長崎西) .438 投ゴ    三振    三邪飛            
  宮﨑(履正社) .333                   左安      
   走一 荒井海(前橋育英) .000                         左犠飛
(捕) 橋本(佼成学園) .280 二ゴ       三ゴ 二飛    右安      
   中野(桐光学園) .000                         二飛
   氷見(豊川) .000                           
(投) 水野(静岡) .000    中飛    遊ゴ    二ゴ 捕ギ      
35 12 11 .314                           
名 前 球数
○水野(静岡) 142 13 3.31
10 中野(法4=桐光学園) 20 水野(農4=静岡) 竹村(政経4=浦和学院)
石毛(文1=高崎健康福祉大高崎) 河野(文4=鳴門) 越智(営3=丹原)
11 齊藤(政経4=桐蔭学園) 渡辺佳(政経3=横浜) 逢澤(文3=関西)
18 髙橋(総合3=向上) 14 宮﨑(文4=履正社) 稲見(法3=日大三)
21 中村(商3=仙台三) 15 荒井海(商4=前橋育英) 27 添田(法2=作新学院)
28 入江(政経1=作新学院) 16 高瀬(営3=長崎西) 39 渡邉涼(商1=広陵)
氷見(政経3=豊川) 26 吉田(商3=履正社) 48 村上(法3=松山東)
12 清水風(商1=常総学院) 32 坪井(営3=明大中野八王子)
22 橋本(総合2=佼成学園) 35 森下智(文3=米子東)
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
明大 ○○    ○●○ ○○    .857
立大 ●●    ○○    ○○   .667
慶大      ●△○● ●○○   .500
早大 ●○● ●●       ○○ .429
法大 ●●    ○△●○        .400
東大    ●●   ○●●   ●●   .143

試合後のコメント
試合を総括する中野
「今日の試合に関しては先ずは水野ですね。春にあれだけ苦しんで、この秋に向けてものすごい意気込みで頑張ってきたのですが、その成果が形になって表れて、失点はしたものの三振は13も取って完投までして、あいつの頑張りが大きかったです。あとは竹村や河野、途中から出た宮﨑だとかの4年生が力を出して要所でチームに勢いをぐっと持ってくる打撃や守備ができているので、チーム状態はすごく良かったのかなと思います。(試合を有利に進められた要因)ゲームの流れを持ってこられたという意味では初回が大きかったです。竹村の先制の先頭打者ホームランに河野のダメ押し3ラン。その2人が打ってゲームを作ってくれたのが勝因ですね。(7回の攻撃)チームとしても序盤に点を取るとそのまま0で進んでしまう傾向があるんだけど、最後まで集中力を保てて、点差がいくら開いても勝ちに執着するというのができていたからこその攻撃だったと思います。(今日のヒーロー)河野ですね。あいつもこれまですごく苦しんできて、昨日もホームラン打って、今日も打ってと躍動していますね。あと一番大きいのは守備で何個もいいプレーをして、水野をバックで支えてくれたので個人的にはあいつの活躍が同じ4年生としても一番うれしかったです。(昨日)試合後帰ってからすぐに打ち込みをしました。昨日はあまり打撃の面で当たっていなかったので、指導者の方から色々と教えていただきました。手塚対策ということで打球の方向や狙い球、打席内での考え方や意識をガラッと変えました。そういったことをチームで徹底できて、成果が表れた結果、つながりが生まれたんじゃないかなと思います。(控えの選手の活躍)戦力が厚いというのもそうなのですが、ここ一番で出てきて活躍することって難しいと思うんですよ。そういう意味では最後までベンチにいても声を出して、試合に入っても集中力を高めていられているというのがいいのかなと思いますね。(自身の打席)あの打席は後悔しかないですね。自分の中では人生における打席カウントダウンがもう始まっていて、あともう2回あるかないかぐらいだと思うんですけど、その中の1打席で気持ちはものすごく入ってしまっていたのですが悔しいですね。準備もしてたし、集中もしてたし、調子も悪くないし、打てる自信もあるし、気合十分だし、だからこそ空回っちゃったかなと思います。だから余計に悔しいです。もっと冷静になって打つべき球を打てばよかったです。その辺りは反省ですね。(来週以降に向けて)自分自身としては、心は熱くても頭は冷静にというところですよね。チームとしては今いい流れできていて調子も悪くないです。だからこそその分、自分たちから調子を崩すことがないように学校生活も含め、私生活でスキを見せないような1週間にしていきたいです」

攻守で活躍を見せた河野
「(本塁打)昨日よりは少しつまったかなという感じだったんですけど、いい角度で上がってくれて良かったです。インコース気味でした。(犠打)サインです。(好守)一球集中という感じでした。(立大は)春負けた相手なのでなんとか勝ちたいという思いでした。貴重な勝ち点だと思います。勝負はここからです。慶大はチーム全体的にいいチームなので、全員で警戒してやっていきます」

攻撃の口火を切る先頭打者本塁打を放った竹村
「立教に勝ちたいという思いでずっとやっていたので、本当に勝てて良かったです。水野があれだけ踏ん張ってくれて、打線も序盤から捉えることができました。この秋は4年生が頑張らないとだめという気持ちでいるので、今のところは順調にいっていると思います。(相手投手陣を打ち崩した)試合中みんなで情報を共有することがしっかりできているのでそのおかげですね。全員で戦っていけています。(初回に先頭打者本塁打)初回でどうにか塁に出ようという思いが強くて、結果的にホームランになってくれました。神宮で打つのは初めてです。高校時代も公式戦では打ったことがなかったので初めてです。(大学の練習試合を含めても)初ホームランですね(笑)。打ったのはチェンジアップです。ツーストライクと追い込まれていたので、振り幅を広げて上手いこと合ってくれたなと思います。打った瞬間というよりは、入ってくれという感じでした。(ダイヤモンド1周)初回だったので、うれしい反面『ここから引き締めていかないとな』と思って走っていました。(吠えていた)なんて言ったのかはもう忘れました(笑)。勝手にああなりました。(昨日の河野さんの本塁打に感化)同じ二遊間で刺激し合っている仲で、河野は今日も打ちましたし、2人で打てたのはうれしいです。(手首の使い方)変化球にも対応できるように柔らかいバッティングをしていて、今日もチェンジアップが打てたので成果が出ていると思います。(その後の打席が課題)ホームラン打ってから4打席凡退しているので、そういうところをもっと小刻みに打てる打者にならないといけないと思います。(打率.381)維持するか、それ以上の結果を残すしかないです。いいものはそのままにして、まだ課題はたくさんあるので修正していきたいです。(試合後は)勝ったことはもう過去だと思っているので、次の試合に向けて切り替えていきます。この後帰ってダウンとか練習をしながらチームで話し合っていきたいと思います。(慶大戦に向けて)一戦一戦、勝ちにこだわって全員で勝ちにいきます」

13奪三振で完投勝利を挙げた水野
「序盤に野手の方が打ってくれたので自分はすごく楽に投げることができました。最初の5点が大きかったです。トータル的に野手が打ってくれたので、自分はその勢いに乗ってどんどん投げるだけでした。(序盤から飛ばしていた)監督からも『攻める気持ちを忘れるな』と言われていたので、とにかく投げ込もうと思って相手に向かっていくという気持ちだけを持ってやっていきました。(良かった球)フォークですかね。追い込んでから低めにうまくまとまっていたので、そこがよかったなと思います。(スクイズ成功)あれはオマケです(笑)。バントはできないとあれなので。ヒットはちょっと(笑)。いつかついてくると思います。(春優勝の立教からストレート勝ち)春は1勝してそこから連敗して落としている相手なので、連勝で勝てたのは非常に大きいと思います。(秋は自分が投げて2戦目で勝てるようになった)すべてぶつけて投げられたからです。(慶大への意気込み)とにかく1戦必勝でまずは慶応戦の第1戦目に向けて、全員で準備してやっていきたいと思います」

2本の長打を放った逢澤
「4年生を中心にチームの雰囲気は良い方に向いています。自分たちにとって、春のリベンジというのが一つの目標なので、慶応に勝ってそのまま天皇杯を獲るまでは気を抜けません。(第3打席は三塁打)一打席一打席、気持ちの切り替えはしっかりしているので、4番としてチームに貢献できる一本をと思いながら打席に入りました。(三塁への走塁も素晴らしかったです)自分は足が持ち味なので、攻撃や守備だけじゃなくて走ってもチームを活気づけようと思っているので、いい走塁は常に心掛けています。(好投手のそろう立大と戦うにあたって)対策ってほどのことはないですけど、いつも通り高めの球は振らずに思い切りよく打つということをチームで徹底してやっていました。(水野が好投)春まではなかなか結果が出ずに苦しんでいらっしゃいましたけど、その分人一倍頑張っていらっしゃる姿も見ていました。良い結果でチームを鼓舞してくださって、本当に心強いです。(次は慶大戦)まずは一戦一戦勝つことを目標に戦っていきます。個人としてはチャンスで一本打てるように頑張っていきたいです」

リーグトップとなる10打点目を挙げた越智
「(初回の攻撃)竹村さんが先頭打者ホームランを打って、その後も続いて5点取れたので最高の形だったと思います。(1打席目は)3球ともスライダーでした。一球目、二球目と全くタイミングが合ってなかったですけど、さすがに3球同じボールが来たら打たないといけないですよね(笑)。(右方向への打球)変化球に対して少しタイミングが早かったので、しっかりとボールを引き付けて逆方向に打とうと意識していました。しっかりと修正できたと思います。(右への意識)バッティング練習の時から大きい当たりよりも、鋭い打球を飛ばすことを意識しているのでその成果だと思います。(今日で打率が3割7分)そうだったんですか(笑)。全然知らなかったです。(3カードを終えて、改めて今季の目標)打撃の調子がいいので、首位打者を狙っていきたいです。(打点王の方は)たしか今、1位でしたよね。(4週を終えて10打点でトップ)このまま1位を獲りたいですね。(4年生の活躍)一緒にプレーしていて頼もしいですし、自分たちもやりやすいので、みんなで4年生についていっているという感じです。(王者・立大に連勝)今日は最高の形で試合を運べたので、来週もこういう展開で試合できればいいと思います。次の慶応戦、最後の東大戦もこの勢いのまま戦っていきたいです。(慶大で警戒している選手は)やっぱり岩見選手ですね。もうホームラン4本打っているので、あの破壊力は一番警戒しています。(慶大にも打ち勝てるか)慶応もいい打者そろっていますけど、秋はチームの打撃も好調なので打ち勝ちたいですね。勝つことが一番なので。どんな形でもいいので、勝ちにこだわっていきたいです。(優勝への意気込み)ここから全勝で天皇杯を獲りたいと思います」

2試合ぶりの安打を放った渡辺佳明内野手(政経3=横浜)
「(前日無安打)自分的に昨日は打球は良かったと思っていたので、そんなに変えることなく少し前にバットを置いてそこから最短距離で出すようなイメージを変えずに意識していました。(4年生に活躍の場を取られていた)今シーズンは4年生の先輩方に引っ張ってもらっていて、ピッチャーのおふたりもいいテンポで投げてくれていて野手も河野さんと春樹さん(竹村)がバッティングの方でも引っ張ってくれていて、3年生以下はそれに乗れているのかなという感じでした。自分と逢澤が1年生のときからずっと出ていて去年あいつがフル出場していたので2人で頑張っていこうという話はしてますし、内野はずっと同期で出ているのが自分だけだったので学年関係なく引っ張っていこうと思いました。(打順が3番)打順はあまり気にしていないですけどいいところで回ってくることが多いので、あんまり気にせず崩さず、自分の間で行けば打てるので、そこは変えずにいっています。(通算安打では逢澤と近い)刺激しあっていますし打率もいつもどっちが勝つかみたいな話しているので、競いながらやっています。(現在は逢澤がリード)抜かしたいという気持ちはありますけど、焦ったら自分のバッティングができなくなるので。厳しいですけど、100安打を目標にやっています。入学してからずっとです。(次期主将)言われたらやりますけど、やってもやらなくてもまとめるポジションになると思うので、そういう気持ちでいきたいと思います。(慶大戦に向けて)昨季は4連勝してから4連敗で、悔しかったです。立教戦も春は2敗していて今日大事だと思っていたのでそういう挑戦者の気持ちでいきたいと思います」

好リードの橋本
「投手と野手がかみ合って得点は取れて、守備も3点に抑えられたっていうのが良かったと思います。(水野さんは)調子は良かったと思います。ストレートも走っていましたし変化球も切れていたのですごく良かったです。ブルペンでもマウンドと同じような感じでした。(13奪三振)フォークの切れが良かったのと高めのストレートを有効に使えたのが良かったと思います。(高低を使った配球は予定通りか)そうですね。今週立教とやる前から水野さんにはそういう風に伝えていたのでそれがしっかりできたと思います。(変化球が多かった)フォークとカットボールですね。決め球に使ったのがフォークでカウント球に使ったのがカットボールです。(水野さんのフォークの良いところは)他の人に比べて落ちる幅が広いのもそうですし、しっかり腕を振って投げ切れているのが良いと思います。(タイムリーも放った)正直、最近ヒットが出ていなくて、得意のタイプの投手がきたので自信を持って振りにいけました。(3カード連取)良い流れできているので気を抜かず頑張りたいと思います。(慶大打線は)ホームランを打たせると勢いづいてしまうのでもう一度岩見選手などを研究していきたいと思います。(来週への意気込み)来週は0点とはいかないですけど点数を抑えて良い試合をして勝ちたいと思います」