乱打戦の末早大に敗戦 投手陣崩壊で連勝ならず/東京六大学秋季リーグ戦

2017.09.10
 序盤の大量失点が響いた。1回戦を3-0で快勝し、勝ち点獲得に王手をかけて迎えた早大2回戦。先発・森下暢仁投手(政経2=大分商)が不安定な投球で2回までに5点を失う。後続の投手も早大打線を止められず8本の長打を浴び計13失点を喫した。好調な打線は3回に2点を返すと7回には越智達矢外野手(営3=丹原)の左越え3点本塁打が飛び出すなど計8得点。一時は3点差にまで迫った。しかし投手陣が相手打線の勢いを止められず8-13で試合終了。6年ぶり開幕明早戦の行方は翌日の3回戦にゆだねられることになった。
 
 ミスからの失点が最後まで重くのしかかった。初回、一死から安打と四球で得点圏に走者を背負うと、次打者の4番・加藤(早大)の放った打球は遊撃手・竹村春樹内野手(政経4=浦和学院)へ。「大事に行きすぎた」と後逸し併殺を逃し、好守備で何度もチームを救ってきた名手のまさかの失策で先制点を許す。これには中野速人主将(法4=桐光学園)も「無責任すぎる」と苦言を呈した。その後も右翼手・越智がクッションボールの処理を誤ったり、氷見泰介捕手(政経3=豊川)が不用意な進塁を許すなど守備陣のミスが頻発。1回戦で堅い守備で投手を盛り立てた明大ナインの姿は影を潜めた。
 投手陣も被安打14、四死球6、13失点の大乱調。今期は先発の柱として期待されていた森下暢が2回5失点と予想外の結果に。初回から制球が定まらずストライクを取りにいったボールを痛打された。2番手の長江理貴投手(文2=帯広緑陽)、3番手・髙橋裕也投手(総合3=向上)も短いイニングでそれぞれ4三振、5三振を奪いながらピンチで長打を浴びる。最後に登板した入江大生投手(政経1=作新学院)も直球を狙われ2失点。「要所で抑え切れなかった」(氷見)。齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)が安定した投球で完封勝利を挙げた1回戦から一転、登板した投手がことごとく失点を重ねていき、悪い流れを断ち切ることができなかった。

 打力は春より確実に増している。8点差で迎えた7回裏。渡辺佳明内野手(政経3=横浜)の適時打で1点を返すとなおも2死一、二塁で5番・越智が打席に入る。前の打席で三振に取られた内角の直球に狙いを定め、投じられた2球目。「少しボール気味」(越智)の球を思い切り振り抜いた。打球は左翼席へ一直線。4点差に迫る3点本塁打を放った。これが公式戦初本塁打となった越智。長打1本に終わった春を鑑みて、この夏はウエートトレーニングに週3回取り組むなど自らを追い込んできた。「夏やってきたすべてが結果につながっている」(越智)。第2打席には中直かと思われた打球がフェンス際まで伸び2点適時二塁打に。観客を驚かせた。「高い物を求めていく姿勢ができている」(善波達也監督)と首脳陣も期待を寄せる大砲が才能を開花させた。

 チーム力で勝負だ。2試合で両チームともに5人ずつの投手を費やしているここまでの戦い。次戦は総力戦になることは間違いない。前日完封勝利を挙げた齊藤はもちろん、今試合で登板した4投手の起用も十分考えられる。「齊藤頼みにならないで一人一人がやっていかないと」(中野)。齊藤に疲労が残っていることは否めない。他の投手の奮起が必要不可欠だ。打線は12安打で2試合連続二桁安打を記録。劣勢にも負けじと全員が食らい付く姿勢を見せた。次戦は序盤から“継なぐ”明大打線で猛攻を仕掛けたい。また2011年秋以来の開幕明早戦となる今カード。前回も同じように2回戦を落とした。しかし3回戦は9-4で快勝し勝ち点を奪取。勢いに乗った当時のチームはそのまま秋の賜杯も手にした。偉大な先輩たちに続けるか。運命の3回戦が幕を開ける。

[楠大輝]

打順 守備 名 前
(遊) 竹村(浦和学院) .375 三ゴ    四球    右二    二ゴ 四球   
(二) 河野(鳴門) .444 左飛    左安    一直    三振 右安   
(三) 渡辺佳(横浜) .400 左安    二直    ニゴ    中安 右飛   
(中) 逢澤(関西) .333 投飛    三振    三振    四球    右安
(右) 越智(丹原) .333    中安 中二       三振 左本 遊ゴ
(左) 村上(松山東) .375    左安 右邪飛       左失三 三振      
  入江(作新学院)                           
  添田(作新学院) .000                      ニゴ
(一) 吉田(履正社) .000    一ゴ                     
  打一 平塚(春日部共栄) .000          遊ゴ    三振         
  宮﨑(履正社)                      四球   
  走一 高瀬(長崎西) 1.000                         右二
(捕) 橋本(佼成学園) .250    右飛    捕邪飛               
  氷見(豊川) .000                三振    三振   
  中野(桐光学園) .000                         二飛
(投) 森下暢(大分商)                           
  坪井(明大中野八王子) .000    捕邪飛                     
  長江(帯広緑陽)                           
  荒井海(前橋育英) .000          右飛               
  髙橋(向上)                           
  山本(愛工大名電) 1.000                   中安      
  内山(静岡) .000                      三振   
   40 12 .310                           

名 前 球数
●森下暢(大分商) 58 13.50
長江(帯広緑陽) 42 13.50
髙橋(向上) 64 3.00
入江(作新学院) 39 13.50
10 中野(法4=桐光学園) 竹村(政経4=浦和学院) 越智(営3=丹原)
11 齊藤(政経4=桐蔭学園) 河野(文4=鳴門) 逢澤(文3=関西)
18 髙橋(総合3=向上) 渡辺佳(政経3=横浜) 26 吉田(商3=履正社)
23 森下暢(政経2=大分商) 14 宮﨑(文4=履正社) 27 添田(法2=作新学院)
28 入江(政経1=作新学院) 15 荒井海(商4=前橋育英) 39 渡邉涼(商1=広陵)
29 長江(文2=帯広緑陽) 16 高瀬(営3=長崎西) 48 村上(法3=松山東)
氷見(政経3=豊川) 25 平塚(政経3=春日部共栄) 49 内山(商2=静岡)
12 清水風(商1=常総学院) 32 坪井(営3=明大中野八王子)
22 橋本(総合2=佼成学園) 38 山本(文3=愛工大名電)
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
立大    ○○       0 0 1.000
明大   ○●         .500
早大   ●○          .500
東大 ●●            .000
慶大                   0
法大               

試合後のコメント
代打で出場も二飛に終わった中野
「(今日の試合)まずは立ち上がりの森下、あとは竹村。この2人はチームの中心で世界大会にも出ているのに無責任すぎるかなって。立ち上がり悪いなら悪いなりに修正するポイントもあっただろうし、気持ちを前面に出してほしかったし、竹村も難しい打球ではあったけど、あそこは何がなんでも理屈とかそういうのを抜きにして何がなんでも抑えなきゃいけない場面だし、そこで流れが向こうに行っちゃって終盤では追い上げられたけど、ワンアウト三塁とか得点圏に置きながらも得点できない場面もあって、また最後に離されてしまったしいい面もあったけどそれ以上に悪い面もたくさん出すぎちゃったかなという感じですね。(試合をベンチで見ていた心境)ピッチャーが全然駄目だったからボール先行でストライクを取りにいった甘い球を打たれて、これじゃこの先も通用しないし技術を高めるしかないかなと。球速が出ないなら技術とかで補う部分がないと。全然工夫も何もなくただ投げているだけなので、そういう面では齊藤頼みにならないで一人一人がやっていかないと駄目だなと思います。(前日とは対照的な試合)乱打戦になるのは分かっていたので、それで打ち負けてしまったかなという感じです。点も取れるし取られるし、明日の試合はどうなるか分からないので先制点を取ることと小さいミスをしないことが大事になってくると思います。(自身も代打で出場)今日はもう凡打したというよりも、高めのボールをチームとしては打たないと自分が一番に口うるさく怒鳴って言ってるのに手を出してしまって、そこの技術のなさというか、結果は結果なんだけどそれ以前の問題で、チームの徹底事項を中心の自分ができないで最後終わっちゃったということは一番いけないかなと、自分でうんざりするような感じです。(明日に向けて)勝ちます。何がなんでも勝ちます」

2安打1打点と相性の良さを発揮した河野
「(今日の敗因)投打のかみ合いが上手くいかなかったところですね。ピッチャーは味方が点を取るまで0点に抑えたり、野手は先制点を取るといったことができなくて流れをつかむことができなかったです。(攻撃)相手ピッチャーも上手くかわしてきていたのですが、後半の粘り強さは良かったです。もっと後半のように初回から相手をつかまえることができたら、より楽にできたのかなとは思います。(投手陣)先発の森下も良くはなかったのですが、ピッチャーも打たれたくて打たれている訳ではないので何とか守ってやろうという気持ちでした。(開幕から好調ですが)ランナーがいれば後ろにつなごうという意識を強く持っています。クリーンアップが後ろに続いているので、何とかそこにいい形で回そうという気持ちで打席に入っています。(明日に向けて)まずは勝って勝ち点を取りたいです。課題克服というよりは、いいところを伸ばしていけるようにすれば自ずと課題もいい感じに克服できると思うので、消極的にならずにどんどん攻めの野球をしていきたいです」

初回に痛恨の失策も二塁打を放った竹村
「初回に自分がミスをしてしまって悪い流れになってしまいました。そこが全てです。ピッチャーが頑張って投げているので、強い打球とか弱い打球とか関係なく捕るべき球だったんですけど大事にいきすぎました。(守備に就く際に中野主将と)自分が合ってなかったので、足が浮いていないかとかの確認をしていました。(投手陣)昨日はピッチャーが投げて野手が守ってで勝てた試合だったんですけど、それとは逆で守りもあたふたしてしまって、そこでチーム全体が悪い流れを断ち切れなかったと思います。(打線は)後半の点の取る展開を初回からしていかないと勝てないので、明日に向けて準備していくしかないです。(大竹投手は)癖のあるピッチャーなのでみんなで情報を共有しながらやっていきました。自分は内野ゴロが多かったので、前を大きく振るということと、ポイントを少し前にして、今日はいい感じにヒットが1本打てました。(用具の修理は)靴ひもが切れました。(右足のタイミングの取り方も)少し変えましたね。打撃はもうひと踏ん張り修正して、あとは守備に重点を置いていきます。(エンドランのサインはベンチから)出ていないです。常に自分は一球一球盗塁する気持ちでいるので、全部スタートは切るようにしています。(明日は総力戦)2試合しているので相手のデータをみんなで話しながらやるのと、あとは相手どうこうよりも自分たちの力次第だと思うので、話し合った上で技術的にも修正していきたいと思います。もう勝ち点取ることが一番大事なので、勝ちにこだわって全力でやっていきます」

1安打を放った4番の逢澤崚介(文3=関西)
「(今日の試合について)昨日の試合もそうだったんんですけど先制点と言うのが勝敗を決めていてチームが優位に試合を進めるためには先制点と言うのが重要だと思いました。(後半の追い上げというのはチーム全体でどういった意識があったのですか)やはり継なぐというのはみんなでしていこうというのをキャプテン中心にやっていたのでみんな後ろに継なぐ意識を持ってやった結果が後半は点が取れたので明日の試合もしっかりやっていきたいです。(2試合を終えて今の明大打線とは)欲しい時に点数を取るというのが夏の課題だったのでそれが体現できてると思います。(今日の越智さんの活躍について)昨日試合後に修正をしっかりやっていたんで越智が打つとチームの勢いもつくのでムードも良くなるなと感じました。(2三振、4打数1安打という結果について)4番というのはマークも厳しくなると思うんですけどその中でも結果を残していくのが良いバッターだと思うので最後に1本が出たのは明日へつながると思います。(明日への意気込み)明日勝たないとこの秋は終わってしまうぐらいの気持ちで明日は何が何でも勝ちにいきたいと思います」

本塁打含む3安打5打点と大爆発の越智
「昨日守備良かったんですけど今日は初回、2回と守備からリズムを作ることができずに先制されてしまいました。今日は守備がまずかったですね。(二塁打)大竹投手が少し変則的にくるので逆方向を意識して振った結果、良い感じで打球が上がってくれました。しっかり振り切ってたからあそこまで伸びてくれたんだと思います。(公式戦初本塁打)気が付いたら入ってました(笑)。真っ直ぐのインコース低めです。前の打席にインコースで三振取られていたので『きそうだな』と思ってインコース狙ってました。少しボール気味だったかもしれないですけどしっかり振り切れたので良かったです。引っ張った打球がなかなか出てなかったので、ああやって切れない打球が打てたのは自分でも自信になりました。(昨日からの改善点は)帰ってからもう1回フォームを見直してどこが悪いのかもう考えて調整しました。監督からも少しバッティングフォームについてアドバイスをもらいました。直した結果よく打てたので良かったです。(4番への思いは)打って結果を出し続けて4番に戻れるようにやっていきたいです。(夏の成果が出た)そうですね。ウエイトトレーニングも週3回くらいしっかりやってきて、そういうのも含めて夏やってきた全てが結果につながってきてると思います。(終盤の粘りは)8点差ついててもこれだけ点差を詰められたので点を取る力はあると思います。もう1回集中して1点ずつ返していこうと話し合いました。(明日に向けて)まず勝つことを第一に考えて、自分が少しでもチームに貢献できるようにやっていきたいです」

5回から途中出場の氷見
「今日は勝てる試合だったのでとても悔しいです。途中追い上げたんですけど、中盤、終盤の取られてはいけないところで点を取られてしまったのが自分たちの流れにできなかった要因だと思います。出してはいけないところ、要所を抑えきれなかったことが今日の13失点に現れていると思います。(先発の森下は)初回から制球が定まっていなかったので初回から後ろも準備しておこうっていう話はしていたんですけど、後から投げた人も抑えきれなかったのが良くなかったです。(1年生の入江は)やはり出してはいけないところでランナーを出してしまって、ヒットを打たれてこういう結果になってしまったので、そういう抑えるべきところを抑えるっていうのを入江だけでなく投手陣全体でしていかなければいけないと思います。(8回に3点差まで追い上げて)その後の先頭は絶対に出してはいけなかったです。そこが全てです。明日は野手としては今日の終盤みたいな粘りをして、バッテリーとしては流れを渡さないようにしたいです。何が何でも勝たないといけないので全力でいきます」

7回に適時打を放った渡辺佳
「勝ち切れなかったのは打者のせいでもあり、守備でもたくさんミスがあったので、全体的に締まりがなかったかなと思います。(もったいない失点も多かった)守備のミスが多くてそれが直接失点に絡んでましたし、投手陣も四球で走者を出してヒットで還されてっていう場面が多かったので、細かな詰めの甘さが最終的なスコアにつながったのかなと思います。(打撃は好調)バッティングはこの調子でいけたらいいなと思うんですけど、8回に得点が必要な場面で打てなかったのは自分たちの弱さだと感じました。いくら4割打っても大事な場面で打てないと意味ないと思うので、まずは1本打ちたいなと思います。(中軸の逢澤、越智も好調)後ろに2人がいることで安心感はあります。そのおかげで自分は思い切りいけますし、メークするところはメークして後ろに回せています。(明日に向けての意気込み)終盤に点数を取れたので、打撃面は悪い流れを引きずらずに次の試合に入れると思います。序盤から今日の終盤みたいな攻撃ができれば勝てると思うので、頑張ります」