4試合連続2桁安打! 齊藤、水野のリレーで法大に先勝/東京六大学秋季リーグ戦

2017.09.17
 明治の勢いが止まらない。前カードの早大から勝ち点を奪い、迎えた“血の明法戦”。先発の齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)は8回途中4失点と粘投。その後を託された水野匡貴投手(農4=静岡)が後続を抑え、リードを守り切った。打線は2回に4本の安打で3点を奪うと、7回に高瀬雄大内野手(営3=長崎西)がリーグ戦初となる本塁打を放ち計8得点。昨季2試合で1得点に抑えられた法大に雪辱を果たした。

 法大3本柱の一角を打ち崩した。「1、2番で試合の流れをつくれた」(中野速人主将・法4=桐光学園)と、初回から竹村春樹内野手(政経4=浦和学院)、添田真海内野手(法2=作新学院)が連続安打で無死二、三塁の好機をつくる。続く打席には3番の渡辺佳明内野手(政経3=横浜)。初球をセンターにはじき返し、犠飛で鮮やかに1点を入れた。2回には連打でチャンスをつくると、またも竹村、添田が連続で適時打を放ち3点を追加。7回には高瀬がライトスタンド中段に飛び込む2点本塁打を放ち、勝利を決定づけた。春には4安打無得点と完璧に抑え込まれた菅野(法大)を攻略しての勝利だった。

 強さの要因は全員がチームの戦力となっていることだ。昨季法大1回戦にて代打安打を放つなど、相性の良さからスタメンに抜擢された添田が3安打2打点と結果を残した。昨季は打撃を課題に挙げられ先発起用は少なかったが、夏は徹底的にバットを振り込むなど打撃強化に尽力。夏のオープン戦で結果を残し、課題を克服したことで監督の信頼を勝ち取った。また一塁のポジションには吉田有輝内野手(商3=履正社)に代わって高瀬が起用。早大3回戦で決勝適時打を放った勝負強さは本物で、この日も本塁打を含む2安打2打点とスタメン起用に応えた。「一言でいうと天才。それくらいセンスがある」(中野)と主将もその能力の高さを絶賛。普段は控えの2人であるが「他のチームでも主力を張れるくらいの実力を持っている」(中野)と選手層の厚さを感じさせた。また相手チームを研究するデータ班の情報を頼りに狙い球を絞ったり、相手捕手の配球を予測できたことも8得点に大いに貢献している。スタメンから控え、さらにはスタンドにいる部員まで。昨季の屈辱を経験しているチームだからこそ、勝利に対する執念は強い。

 最上級生でバトンをつないだ。齊藤は「一番強い」と語る法大打線に11安打を浴びるなど終始苦しい投球。毎回のように安打を許したが「野手が守ってくれる」(齊藤)と要所でゴロを打たせ再三のピンチを乗り切った。8回途中からマウンドに上がった水野は140キロ後半の直球と変化球をうまく使い、打者6人を無安打に抑える快投。「早く結果を出したかった」(水野)。早大戦では登板の機会がなかったが、今後は投手陣の柱として期待が懸かる。

 このまま優勝へ突き進む。昨季苦手としていた法大投手陣を攻略したことで、打線の好調ぶりは本物であると証明された。渡辺佳や逢澤崚介外野手(文3=関西)が本調子ではないものの、この2人に当たりが出始めれば上位から下位まで抜け目のない打線になる。法大には昨季防御率リーグトップだった菅野の他に、右下手投げの長谷川、最速152キロを誇る抑えの熊谷などの好投手がいる。勝ち点を取るまでは決して侮れない。「春は2連敗しているので、その借りを返す」(竹村)。今季は2連勝で明法戦に幕を下ろしたい。

[桐山雄希]

打順 守備 名 前
(二) 竹村(浦和学院) .462 右安 右中二                     
   打二 宮﨑(履正社) .000          四球    遊飛         
   打二 河野(鳴門) .308                      遊ゴ   
(遊) 添田(作新学院) .600 右二 中安    死球    左二    右飛   
  吉田(履正社) .000                           
(三) 渡辺佳(横浜) .263 中犠飛    左飛 二ゴ    三振    四球   
(中) 逢澤(関西) .214 三振 二ゴ    右飛    四球 遊直   
(右) 越智(丹原) .353 二ゴ    中安    一邪飛    右中安      
(左) 村上(松山東) .375    左飛 右飛    四球    捕ギ      
  渡邉涼(広陵) .—                          
(一) 高瀬(長崎西) .667    左安    遊ゴ 三直    右本      
(捕) 橋本(佼成学園) .429    左安    中安    中安 遊ゴ      
(投) 齊藤(桐蔭学園) .125    右飛    一ギ    投ギ 三振      
  水野(静岡) .—                           
   31 12 .319                           
名 前 球数
○齊藤(桐蔭学園) 70/3 134 11 1.35
水野(静岡) 17 0.00
10 中野(法4=桐光学園) 20 水野(農4=静岡) 竹村(政経4=浦和学院)
石毛(文1=高崎健康福祉大高崎) 河野(文4=鳴門) 越智(営3=丹原)
11 齊藤(政経4=桐蔭学園) 渡辺佳(政経3=横浜) 逢澤(文3=関西)
18 髙橋(総合3=向上) 14 宮﨑(文4=履正社) 27 添田(法2=作新学院)
28 入江(政経1=作新学院) 15 荒井海(商4=前橋育英) 38 山本(文3=愛工大名電)
29 長江(文2=帯広緑陽) 16 高瀬(営3=長崎西) 39 渡邉涼(商1=広陵)
12 清水風(商1=常総学園) 26 吉田(商3=履正社) 48 村上(法3=松山東)
22 橋本(総合2=佼成学園) 32 坪井(営3=明大中野八王子)
42 西野(政経2=浦和学院) 35 森下智(文3=米子東)
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
立大    ○○       1.000
明大   ○●○      ○   .750
早大   ●○●          .333
東大 ●●      ○      .333
慶大            ●      .000
法大    ●            .000

試合後のコメント
打線に手応えを感じる中野主将
「齊藤の調子はあまりよくなかったですけど、打線が齊藤を援護してあげて少しは楽にしてあげられたと思います。(特に活躍した選手は)春樹ですね。打線の中心人物が打ってくれたことでたくさん点も取れましたし、あとは2番に座った添田ですね。春の法政戦で打っていたことを買われて、今日スタメンで起用した監督の采配が的中しましたね。その期待に応えた添田もさすがですし、この1、2番で今日は試合の流れをつかめたのかなと思います。(4回に2安打の竹村に代打)宮﨑は他のチームに行ったら普通にレギュラーで活躍できるレベルの選手ですし、春樹の調子も悪くないので、宮﨑もしっかりと試合に出させて今季の経験を積ませないといけないですし優勝にはいろんな選手の力が必要になるからです。高瀬も添田も普段は2番手ですけど、1番手も2番手も関係ないくらいの実力はあるので、誰が出てもそんなに大きな問題ではないのでそういう意味での交代だったと思います。(普段の添田は)コツコツとやる感じですね。元気を出してガッツでプレーするという感じではないですけど、普段から黙々と練習する感じですね。一応法学部の後輩なんですけどそういう人が多いんですかね。自分はちょっと例外なんですけど(笑)。(高瀬は)周りからも言われているんですけど、一言でいうと天才ですね。それくらいセンスはあるので。新人戦の時も左中間にホームランを打ったりするほどの実力を持っているし、他のチームでも主力を張るくらいの実力を持っているので、個人的にはお前は絶対打てるよ、なんて冗談交じりに言ってましたけど、みんなは高瀬打ったなくらいの当り前のことのように捉えています。ホームラン打った後よくやった!ってなりましたけど、相手は法政で気は抜けないのでもう一回締め直そうというふうに声を掛けました。(法政対策は)ピッチャーがいいのでそのデータを取ってきてくれる下級生だったり、チームの仲間たちがいてくれるので、打席に立った人の情報もそうですけど、データ班の情報も頼りにしながら狙い球を絞っていったり、キャッチャーの配球を読んだり、そういうことは徹底しました。チーム全員で勝ち取った勝利だと思います。(打撃好調の要因は)夏の高森キャンプですね。去年もそこでとにかく打ち込みをして、今年もとにかくバットを振って打ち込みをして、打てる体を作り直したというのが打撃好調の要因だと思います。(齊藤、水野の投手リレー)これが理想ではないかと思います。4年生の2人が抑えればチームも勢いづくのではないかと思います。(現在のチーム状態は)間違いなく良い雰囲気でできています。調子の良い悪いは抜きにして、チーム全体で勝ちを狙いにいけているので、スタンドで応援している人も戦力になっていますし、全員で勝ちに行く執念が状態にも現れているのかなと思います。(春との大きな違いは)チームの一体感と気持ちの部分ですね。何が何でも勝ちにいくんだって控えの選手も含め全員が思っていますし、そういう気持ちが表に出るようになってきたのが好調の一番の要因なのではないかと思います。(優勝の意識は)もちろんありますし、優勝することしか考えていないです。明日の過ごし方というのがすごく大事になってくると思いますし、今日の流れをそのまま次の試合にぶつけたいです。齊藤の休養の時間もできますし、そういう意味では万全の状態で戦いたいと思います」

粘投で通算10勝目を挙げたエース・齊藤
「今日は打たれ過ぎたので、球数も無駄に増えました。球がいかないならいかないなりに少しは考えないと今日みたいな結果になってしまうので、次からは考えて投げていきたいです。打たれていた割には点数につながらなかったので、そこは良かったです。(粘れた要因は)ピンチの時は特に意識しました。バッターが打ってくれて野手が守ってくれるので、すごく助けられた部分はあります。(足の皮のケガは)大丈夫です。(エースらしい投球が続いているが)とりあえずチームは勝っているので、それはいいかなと思います。どの場面で投げるか分からないですし、月曜また投げるかもしれないです。どのタイミングでも、任された部分でしっかり投げられるように準備しておくことがピッチャーとして大事だと思います。(今日で10勝目)正直、気にしていなかったです。今さら、勝ちにこだわるというか、もともと中継ぎずっとやっていたので。別に今何勝だからどうとかは考えていないです。ただチームが勝てばいいと思っているので。自分に勝ちがつくより優勝することの方が大事です。(エースらしい投球)周りからはそういう目で見られているので、自分はそこまで11番を着けていることを気にしていないですけど、自分がやれるだけの精いっぱいのことをやろうと思います。(法政打線は)もともと春から一番強いと思っていました。抑えなければいけないんですけど、すごく打つなという印象がありました。配球はインコース多めにしたことが大きかったと思います。左バッターに結構当ててしまったんですけど、当てても攻めることが大事なので、そういった意味では今日は最後まで攻め続けられたと思います」

逆転の適時打を放った竹村
「(交代は)監督が代えたので自分には分からないです。それも全て含めて次につなげていくしかないと思っています。(初戦振り返って)守っていても乱打戦になることは分かっていたので、齊藤が頑張っている中で何とか守備は0点に抑えようという気持ちでした。初回にああいった連携ミスで点を取られてしまって、少し悪い流れではあったんですけど、齊藤もそれから立ち直りましたし、水野の継投も上手くいって、あとは打線がかみ合ってくれたなという感じです。(下位打線が好調)やっぱり上位にチャンスで回すというかたちがしっかりできてきているので、下位の選手がよく塁に出てくれているなと思います。(先頭初回で安打)甘い球を打つことができました。菅野は真っ直ぐでも変化球でもコントロールがよくてストライクが取れるピッチャーですし、初回に点を取られたのでどんな形でも塁に出よう、食らい付いていこうという気持ちで打席に立っていました。自分はランナーに出てかき回すだとか、後ろの打者にチャンスで回すことが仕事なので、そういった面では役割が果たせてよかったです。(2回には適時打)1打席目に菅野の球筋が見えていたので、ある程度は張ることができました。(3球目の直球をファール)自分の中では甘い球が来ていて、そこは捉えられなかったので悔しかったですね。(打ったのは変化球)とにかく真っ直ぐが早いピッチャーなので、真っ直ぐを張りながら変化球に対応する気持ちで打てたと思います。ポイントも前で捉えることができたので感触はよかったです。(守備はセカンド)ショートをやってもセカンドをやってもやることは変わらないですね。初回のバント処理のミスは自分がカバーできた部分なのでそこは反省しています。(添田選手には)ショートはあまりリーグ戦でも守ることはなかったと思うので、色々と声を掛けていこうとかポジショニングの指示とかはしました。(春のリベンジを)春は2連敗しているので、その借りは絶対に返すという強い気持ちで明日明後日に臨みたいと思います」

2回を無安打に抑え復活の兆しを見せた水野
「(初登板)とにかくチームの一員として、早くマウンドで結果残したかったので結果出てよかったです。(調子は)球のキレ自体は良いと思います。でもまだ70点ぐらいです。ちょっと高かったので。(5点リードの場面)点差はそれなりに離れてたので、一人一人ずつアウトを取っていこうという気持ちでやりました。(意識して投げたところは)とにかく抑えるという気持ちで、その気持ちが良い方に出たのでよかったと思います。(秋季リード戦の意気込み)ラストシーズンなので最後いい思いをして終われるように、一試合一試合やっていきたいです」

7回に追加点の適時打を放った越智
「先週から良い調子できていてヒットも出ているんですけど、長打も出ていませんし満足はしていません。まだまだやれるなという感じです。(今日も打点を挙げています)チャンスでは必ず走者を全員返そうというつもりで打席に臨んでいます。先週からいい流れに乗れていると思います。(チームの雰囲気は)いい感じで試合もできているので、ベンチの雰囲気もいいです。野手もシーズンに入って全試合で二桁安打できてますし、ピンチでも絶対に負けないっていう空気はあると思います。いい流れできているので、この調子でいきたいです。(投手陣の活躍を見て)齊藤さんに頼りっきりになるわけにはいかないので、野手陣がしっかり打っていきたいと思っています。(3年生野手が大活躍)4年生で出ている人も少ないので、3年生で引っ張っていきたいです。同じチームでもやっぱり負けたくないので、自分も頑張ろうって思います。(チームは4試合連続二桁安打)一人一人がしっかり自分の打席に向けて準備していることが、打撃の好調につながっていると思います。相手投手がどういう球を投げるとか、チームで話しますし情報共有もできています。(今日は2安打)3回は狙い球を打っていって、7回はたまたま良いところに飛んでくれたっていう感じです。(今後への意気込み)チャンスで長打を打って、必ず走者を返せるようになりたいです。(法大2回戦に向けて)このまま流れをつかんで、優勝目指していきたいです」

7回にリーグ戦初本塁打を放った高瀬
「ヒットは両チームとも同じくらい出たと思うんですけどチャンスを物にできたっていうところが点差に出たかなと思います。(本塁打は)感触は良くて打った瞬間いったかなと思いました。インコースの真っ直ぐです。初球と同じ球がきたのでイメージが残っていて体が反応しました。(好調の要因は)しっかり初球から振りにいけてるのが要因かなと思います。(対策は)特に法政だからとかはなかったです。マシンを右投手に合わせたことくらいですね。(先制されたが)1点で切り抜けられたので悪い雰囲気はなかったです。(明日は休み)気を抜かずに明日の準備であさっての結果は変わってくると思うのでできることをやりたいと思います。(今後に向けて)まだ1勝しただけなので次勝たなきゃ意味無いです。早稲田では2回戦で負けてしまったので次の一戦で決められるように頑張ります」

今季初スタメンで3安打の活躍をした添田
「今季初のスタメンだったのですが、期待に応えられるようにという気持ちを持って臨みました。勝つことも大事なのですが、その中でも期待に応えるという部分も忘れずに今日1日戦いました。(第一打席)バントのサインが出なかったので、ストレート一本を狙って初球からいこうと決めていました。春はなかなか打てず、打撃が課題と言われたのでこの夏は打撃に重きを置いてきました。しっかりとバットを振り込んできた中で、この秋は強く振るというのができていると思います。(三打席目の死球)特に感情的になったりはしませんでした。確かに自分が打ちたいという気持ちもあったのですが、後ろにつなげるというのが大事なので結果としては良かったです。アウトになるよりは良かったと思います(笑)。(対菅野投手について)春に打てなかったので、今日は速い球というのを意識して打席には立ちました。一打席目にそのストレートを捉えられたのは良かったです。(2打点)初球から積極的にいけたのが結果につながったのかなと思います。(明日以降に向けて)自分なりの活躍を果たして勝利に貢献できればと思います」

猛打賞を達成した橋本
「勝ててよかったです。(試合前の齊藤投手の調子は)早大戦の時よりも良くなかったと思います。(スライダー)最初は少し抜け気味だったのですが後半はしっかり修正できたと思います。(その中でのリードは)今まではスライダーを軸に組み立てていたんですけどそれ以外の球種を軸にしてリードしました。(法大打線の中で1番注意したのは)今日は中山さんには本塁打、長打を打たれないように意識したことと全体的に良いバッターが多いので1人1人への対策はしっかりとやりました。(法大は足を絡めてくる)今日は2盗塁されてしまって元から走ってくるのは分かっててそこを刺せれば良かったんですけど刺せなかったので次はしっかり刺したいです。(4打数3安打について)今日は甘い球を見逃さず打てたので良かったです。(長打へのこだわりは)今日みたいに得点に絡めれば良かったんですけどその形であれば単打でも良いです(笑)。(打席で意識していること)低めのボール球と高めのストレートは打たないようにしています。オープン戦からずっと意識しています。(善波監督はマウンドでどのようなアドバイスを)その場面、場面での指示を受けています。(水野さんについて)すごく良かったです。(良かった球種)特にストレートが力強く投げられていてそこで打者を押せたので良かったです。(控えだった高瀬さんと添田さんの活躍)すごいと思います。いつも夜まで人一倍練習をやっている2人なので活躍して良かったです。(明後日へ向けての意気込み)1日空くのでしっかりとコンディションを整えて2戦で勝ち点を取りにいきます」