
ルーキー特集(5) チームの頼れる要に 野球を愛する努力家捕手 清水風馬

大きな挫折を経験した。小中と常にスタメン。中学からはキャッチャー一筋で、ポジションに対するこだわりは人一倍強かった。高校では1年次からサードでレギュラーを獲得。「がむしゃらにやっていた」。キャッチャーでこそなかったが、与えられたチャンスを物にするべく必死に白球を追いかけた。それでも、キャッチャーへの強い憧れは抱き続けた。しかし、自身の打撃不調があり一時メンバーを外された。「すごくショックだった」。いつもチームの中心選手としてグラウンドに立ってプレーしていた清水にとって、初めて見るスタンドからの景色だった。「野球が面倒くさい」。そんな気持ちも抱き始めていた。それでも、「自分を変えたい」という気持ちが清水を目覚めさせた。野球を見つめ直し、ひたすら練習に打ち込んだ。毎朝の自主練も欠かさずに行った。そんな中で迎えた高3次春の県大会。そこにはキャッチャーとして試合に出場する清水の姿があった。「緊張しかなかった」と久しぶりのポジションに戸惑いを隠せなかった。配球ミスやパスボールなど、失敗も少なくはなかった。それでもこだわり続けたポジション。簡単には引き下がれなかった。懸命に配球を学び、リードの研究に精を出した。その姿勢が清水を真の正捕手へと導いた。
たどり着いた聖地は、自身を成長させた。3年次夏の甲子園、初戦の近江戦。機動力野球を掲げる相手に初回からランナーを許す苦しい展開。2度も盗塁を仕掛けてきたが、素早いスローイングでランナーを刺した。この2つの刺殺が「キャッチャーとして自信になった」。野球を始めた頃から特別な思いを抱いてきたキャッチャーとしての達成感を味わった瞬間だった。捕手として経験する初めての甲子園で「野球の楽しさを純粋に実感していた」。大舞台の景色を存分に堪能した。
好スタートを切った。春季リーグ戦早大2回戦、6回表の神宮球場内に清水の名が響き渡った。「正直びっくりしたけど嬉しかった」。初出場の試合でいきなり明大のエース・齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)をリード。緊張しながらも、コースを丁寧に突く巧みなリードで早大打線を4回無失点に抑えた。試合を通じて感じたのは、「明大投手陣のレベルの高さ」。それでも「鈴木昭汰(法大)と倉田希(立正大)の球を受けてきたので今も対応できている」と、好投手に囲まれていた高校時代の経験が生きている。今まで培った技術を大学でも発揮できるよう、日々の練習に取り組んでいる。
「負けないリード」。清水が捕手として追い求めるプレースタイルだ。どんな投手でも引っ張ることができる要になる。明大の正捕手から六大学を代表する捕手へ。上を目指し、努力を怠らずに自らの道を歩み続ける。
[丸山拓郎]
◆清水風馬(しみず・ふうま) 商1 常総学院高 181cm・88kg 右/右 捕手
趣味は音楽鑑賞。中でもアイドルが大好きで、お気に入りのグループはももいろクローバーZ。「箱推しですけど、その中ではしおりん推しです(笑)」と笑顔で語った
次回のルーキー特集は8月27日(日)石毛力斗(文1=高崎健康福祉大高崎)です。お楽しみに。
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