
連敗で宿敵早大に敗戦 依然1位も上位4校が勝ち点3で並ぶ/東京六大学秋季リーグ戦

勝つことの難しさを痛感させられた。降雨の影響で、今季初の敗戦から2日置いた今試合。1回戦で早大打線を3安打に封じた柳が先発のマウンドに上がった。初回から2つの三振を奪い順調な滑り出しを見せるも、敵も策を講じている。球速の数字は普段と変わらないものの、要所での制球が甘くなった。決め球のカーブもこの日は本来のキレを失っていた。上ずった球を捉えられ、2回以降は毎回2安打以上と打ち込まれた。4回2死一、三塁。八木(早大)に三塁打を浴び2点を追加されると、続く打者にも安打を許しさらに1点を献上。3回と3分の2でマウンドを後にした。「今日抑えるのがエース」(柳)。調子が良くないときも自身の状態に合わせ、悪いなりに抑えるのが柳の持ち味。それを発揮できなかったことが失点につながった。「今日のようなピッチングは最初で最後」と自身の力不足を噛みしめ、前を向いた。
チームを鼓舞する力投を見せた。4回途中から2番手で登板した星。2死一塁でマウンドを任されると、打席には早大の主将・石井(早大)。「絶対に流れを切らなくてはいけなかった」と気迫の投球を披露。4回と3分の1を3安打5奪三振、自責点1と要所を締めた投球で簡単に流れは渡さなかった。カーブとスライダーでアウトカウントを稼ぐと、決め球は自慢の直球。この日も150㌔前後の球を安定して投げ込んだ。味方の援護を待ち続けるも、決め手を欠き打線は奮わず。試合が動いたのは7回。先頭打者を四球で出すと、犠打と安打で追加点とされた。終始安定した投球をみせた星だったが、その1点に泣く結果となった。
依然として明大の優位は変わらない。完全優勝こそ消えたものの、いまだ勝率で1位。第7週の立大戦で勝ち点を挙げれば、早慶戦の結果を待たずして優勝が決まる。思い起こすのは昨季の紫合戦だ。春は2位・立大との頂上決戦を制し、優勝を手にした。早大戦では悔しくも勝ち点を落としたが、立大戦では必ずや連勝で勝ち点を奪取する。そして、優勝という最高の形でシーズンを締めくくってみせる。
★逢澤が復調! チームの救世主となるか★
初の連敗に沈むチームに朗報だ。それは、今季打撃不振に陥っていた逢澤の復調。昨季は打率3割2分1厘とリードオフマンとして申し分ない活躍をした逢澤だったが、今季は成績が奮わなかった。一時期は打率が1割台にまで低迷。しかし、結果が出なくても冷静に自身の打撃を分析していた。「肩の開きが速くなっていた。今はボールの内側を叩くような打撃を意識している」。引っ張る意識を逆方向へ打つ意識に修正したことが結果に結びつき始めた。法大2回戦で2安打、この日は4打数3安打と打撃不振を完全払拭(ふっしょく)。今季放った安打はわずか7本だが、そのうちの6本が第3カード以降のもの。「自分の形で良いスイングができている」とスランプは脱したようだ。これで役者は揃った。最終カードの立大戦、打撃で大暴れする逢澤の姿に期待だ。
[谷山美海]
打順 | 守備 | 名 前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (遊) | 吉田大(佼成学園) | 4 | 3 | 2 | .483 | 四球 | 右三 | 中安 | 三振 | 右安 | ||||
2 | (二) | 竹村(浦和学院) | 3 | 0 | 0 | .143 | 投ギ | 三振 | 中飛 | 三ゴ | |||||
打 | 宮崎(履正社) | 1 | 0 | 0 | .278 | 中飛 | |||||||||
3 | (一) | 佐野恵(広陵) | 4 | 1 | 0 | .313 | 一ゴ | 一ゴ | 二ゴ | 右安 | |||||
4 | (捕) | 牛島(門司学園) | 3 | 0 | 0 | .235 | 中飛 | 死球 | 三ゴ | 三ゴ | |||||
5 | (左) | 川口(国学院久我山) | 4 | 0 | 0 | .325 | 二飛 | 三失 | 三併 | 遊ゴ | |||||
6 | (右) | 東原(天理) | 1 | 0 | 0 | .375 | 三ゴ | ||||||||
打右 | 萩原(九州学院) | 2 | 0 | 0 | .200 | 三邪飛 | 投ゴ | ||||||||
打 | 越智(丹原) | 1 | 0 | 0 | .250 | 遊ゴ | |||||||||
右 | 加勢(札幌一) | 0 | 0 | 0 | .500 | ||||||||||
7 | (中) | 逢澤(関西) | 4 | 3 | 0 | .233 | 左安 | 中安 | 中二 | 遊ゴ | |||||
8 | (投) | 柳(横浜) | 1 | 1 | 0 | .286 | 四球 | 遊安 | |||||||
投 | 星(宇都宮工) | 1 | 0 | 1 | .182 | 遊ゴ | |||||||||
打 | 河野(鳴門) | 1 | 0 | 0 | .308 | 右飛 | |||||||||
9 | (三) | 渡辺(横浜) | 4 | 1 | 1 | .313 | 左安 | 一併 | 二ゴ | 遊ゴ | |||||
計 | 34 | 9 | 4 | .294 |
名 前 | 試 | 勝 | 敗 | 回 | 球数 | 安 | 振 | 球 | 責 | 率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
柳(横浜) | 6 | 4 | 0 | 32/3 | 63 | 8 | 5 | 1 | 4 | 1.79 |
●星(宇都宮工) | 5 | 2 | 2 | 41/3 | 79 | 3 | 5 | 1 | 1 | 2.35 |
10 | 柳(政経4=横浜) | 3 | 佐野恵(商4=広陵) | 6 | 吉田大(国際4=佼成学園) |
---|---|---|---|---|---|
11 | 星(政経4=宇都宮工) | 4 | 竹村(政経3=浦和学院) | 7 | 加勢(理工4=札幌一) |
1 | 齊藤(政経3=桐蔭学園) | 5 | 中野(法3=桐光学園) | 8 | 逢澤(文2=関西) |
19 | 森下暢(政経1=大分商) | 14 | 宮崎(文3=履正社) | 9 | 内海(政経4=明大中野) |
23 | 髙橋(総合2=向上) | 15 | 渡辺(政経2=横浜) | 20 | 萩原(営4=九州学院) |
29 | 伊勢(営1=九州学院) | 16 | 吉田有(商2=履正社) | 28 | 東原(商3=天理) |
2 | 牛島(営4=門司学園) | 24 | 河野(文3=鳴門) | 37 | 越智(営2=丹原) |
22 | 西野(政経1=浦和学院) | 25 | 川口(法4=国学院久我山) | ||
32 | 赤木(文1=育英) | 35 | 中澤(国際3=高崎) |
明 | 慶 | 早 | 立 | 法 | 東 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝ち点 | 勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
明大 | — | ○○ | ○●● | ○○ | ○○ | 9 | 7 | 2 | 0 | 3 | .778 | |
慶大 | ●● | — | ○○ | ●○○ | ○○ | 9 | 6 | 3 | 0 | 3 | .667 | |
早大 | ●○○ | — | ●○● | ●○○ | ○○ | 11 | 7 | 4 | 0 | 3 | .636 | |
立大 | ●● | ○●○ | — | ○○ | ●○○ | 10 | 6 | 4 | 0 | 3 | .600 | |
法大 | ●● | ○●● | ○●● | ●● | — | 10 | 2 | 8 | 0 | 0 | .200 | |
東大 | ●● | ●● | ●● | ○●● | — | 9 | 1 | 8 | 0 | 0 | .111 |
試合後のコメント
今季初の連敗も、優勝を見据え前を向いた柳
「今日抑えるのがエースだと思いますし、コンディションどうこうって言い訳はないですね。1戦目投げているわけで、普通に考えてそれと同じ感覚で投げられるわけではない。そこで抑えていくのが自分の持ち味だったので、そういう意味でまだ実力が足りなかったなと思います。(早稲田打線が狙い球をしぼっていた)そうですね。1戦目ああいうピッチングをして、相手打線がそうくることは分かっていた。それを上回れなかった自分の力不足です。今日は負けましたけど、まだ優勝の可能性はあるので今日からしっかり準備して、立教戦をチームで戦っていきたいと思います。7連勝して、ここにきて2連敗。リーグ戦はそう簡単なものではないので、また気持ち切り替えていきます。(勝つためにやることは)勝ち点を取ることの最低条件として、自分がしっかり投げることがあると思うので、今日の様なピッチングではチームを勝たせられない。今日のピッチングは最初で最後にしたいと思います。(ドラフト)あと2日なので。今まで自分がやってきたことが評価される。楽しみと不安が半分半分です」
両投手をリードした牛島将太捕手(営4=門司学園)
「(柳選手の調子は)あまり良くなかったんですけど、こっちがそこを押してもっといければよかったです。自分がもっと考えてやればよかったと思います。(星選手の調子は)良かったと思います」
立大戦でのリベンジを誓った佐野恵
「試合に対する気持ちや準備はいつも通りだったけど、力負けしたなっていう感じです。投手力でも打力でも早稲田の方が上でした。週末に向けて早く切り替えていかないといけないです。もう調子どうこう言っていられないところまできたので、やることをしっかりやっていくしかないという気持ちです。(ドラフトについて)もちろんプロ野球選手になりたいですし、目標でもあるんですけど、それよりもリーグ戦で優勝したいという気持ちの方が自分の中にはあります。勝ち点を取れば優勝で落としたら終わりなんで、何としても取れるように、春も厳しい状況から勝ち上がったし、厳しい時こそ明治は強いと思うので頑張ります」
チームの勝ちだけを考え好投を続ける星
「準備は早めにしておこうかなって思っていたので、準備はできていました。点を与えてはいけない場面で与えてしまったので、次は立教までに練習して抑えるところを抑えていけたらなと思います。柳は疲労がたまっていたと思うので、予想はしていなかったですけど準備はできていました。驚きとかはそんなになかったです。(変化球は)カーブとスライダーを投げていました。要所で投げていたのでそこまで多く投げた意識はないです。(決め球は直球)追い込んでから決め球はやっぱり一番自信のあるボールなので、そこはしっかりと投げ切ることを意識しました。(最初の打者が石井)あそこは絶対に流れを切らなくてはいけなかったので、早稲田の中心のキャプテンなので石井を切れば流れがこっちにくるかなという思いで投げました。ドラフトのことはなるべく考えないようにしているので、チームが勝つためにっていうことだけを考えて投げました」
3安打の活躍でまたも打率1位に躍り出た吉田大
「柳が調子悪くて。でもその中でも春は柳におんぶに抱っこだったんで、自分たちが何とかして逆転してあげようと言ってたんですけど結果的に相手の方が一枚上手だったって感じですかね。粘り負けてしまいました。(好調の打撃)チームに勢いがつくというか、今日は先頭バッターですごく意識してやっていたんですけど、勝てなかったんですごく残念です。(打順が一番になって)とにかく出ることを意識してやりました。勝ち点取られたら自分たちの大学野球が終わっちゃうので、絶対に勝ち点を取ることだけ目標に、あと3日間コンディション整えていきたいと思います」
打撃不振から復調し、チームの起爆剤となる逢澤
「大分ボールが見えるようになってきて、自分の形で良いスイングができてきているかなと思います。リーグ戦前は引っ張る打撃っていうのを意識していたんですが、それで肩の開きが速くなっていて。今はセンター逆方向、ボールの内側を叩くような打撃を意識していて、それが当たってきているかなと思います。(打撃不振の間は)低め低めっていう意識で、打てないながらもゴロを転がして自分の足を生かせるようにと思っていました。(今季初の敗戦後の試合でしたが)4年生を中心にミーティングをして『連敗するチームは弱い』ってずっと言ってたんで、連敗しないようにみんなで意識確認をして試合に臨みました。(今季初めて勝ち点を落としました)この負けを気にしても意味がない。『4日後に控える立教戦で勝ち点を取って優勝する』っていうふうにみんな切り替えているので、この負けを引きずることはないと思います。(立大戦に向けて)ファンの方々を始めとして皆さん『春秋連覇』っていうのを期待してくださってると思うので、完全優勝はなくなりましたがなんとか優勝という形でこのシーズンを終えたいと思います」
両軍合わせての先取点を決めた渡辺佳明内野手(政経2=横浜)
「一昨日負けてチームの決め事を話したんですけど、それができてる場面とできない場面があって。チャンスの時にできない部分が出てしまって、それが得点につながらなかったかなと思います。左ピッチャーの左バッターの外、右バッターのインコースが中心だったので、流し中心と高めを振らないということを徹底してたんですけど、狙い打ちができなかったかなです。(先制打を決められましたが)柳さんが疲れて一生懸命投げてる中で、欲しかった場面で感触は本当に外を狙っていたので自分の中では一番いいバッティングだったと思います。調子を維持できてるわけではないんですけど、チームのためにやるだけです。立教の対策を今からして、決め事をしっかりやれば勝てると思うので。立教に勝ち点取れば優勝できるので、何とかやっていきたいと思います」
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