吉田大が人生初満塁弾! 2ケタ得点で法大を制し開幕5連勝/東京六大学秋季リーグ戦

2016.10.02
 投打がかみ合い、今季初の2ケタ得点で大勝だ! 先発の柳裕也主将(政経4=横浜)が3回に先制を許すも、直後の攻撃で追い付く。4回には2死一・二塁から柳の中前適時打で勝ち越しを決め2―1で迎えた5回。吉田大成内野手(国際4=佼成学園)の人生初となる満塁弾含め6得点を挙げると、その後も得点を重ね10得点と大爆発。柳は5四死球と万全ではなかったが要所を締め7回1失点でマウンドを下りると、後続の投手も法大打線を封じ込め無傷の5連勝を飾った。

 この打力こそが夏成長した証だ。1点リードをした5回。先発・菅野(法大)の球が浮き出し、二者連続の四球で1死一・二塁。4番牛島将太捕手(営4=門司学園)、5番川口貴都外野手(法4=國學院久我山)の二者連続の適時打で2点加えると、なお1死満塁で7番吉田大。「初球狙っていた」と2番手・宮本幸の132kmの球を捉えると打球は右ポール際へ。「切れないでくれ」(吉田大)と観客全員が一点を見つめた打球は、右翼スタンド中段に吸い込まれた。白球の行方を見届けると、一塁上で右手を上げて大きくガッツポーズ。柳の好投に頼り切りだった春。「『今回は打者がやるぞ』ということを目標にやっていた」(吉田大)と、夏に例年の倍以上の数を振り込んだ成果が現れた。新たなフォームに苦戦した時期もあったが、一本足打法で人生初の満塁打、そしてリーグ戦初の本塁打を呼び込んだ。
 

 12与四死球の好機をチーム10安打の打力でしっかりとものにした。今季初の2ケタ得点は登板した法大4投手全員から奪った。終わってみれば法大投手に合計202球も投げ込ませ、明日への布石ともなった。今試合はスタメン入りした全員が出塁し、得点力不足だった春から脱却。「野手で頑張ろうというミーティングをして、それがあの回(5回)につながった」(佐野恵太内野手・商4=広陵)。秋は「打のメイジ」でも躍動する。

 エースの粘投が打線のつながりを生んだ。7回被安打4失点1で今季3つ目の白星をつかみ取った柳。3回は先頭打者・投手の菅野から二塁打をきっかけに先制されると、その後も2者連続の四死球で1死満塁のピンチとなる。迎える打者は5番柴田。「悪いなりに投げられた部分だけは評価したい」(柳)。4球目を上手く詰まらせて、三併殺で最大のピンチを切り抜けた。4回以降も走者は背負うが「柳がいつも通り試合をつくってくれた」(牛島)と6回には通算300奪三振に到達。打席に立てば4回の逆転適時打を含め、4打数3安打2打点の固め打ちと「打者・柳」の顔も見せた。エースは「投」だけでなく、「打」でも勝利を呼び込んだ。

 秋の悪夢とは決別する。現在チーム打率.327、防御率1.00は共に六大学トップ。投打がガッチリとかみ合い開幕5連勝と快進撃を遂げているが、優勝に王手をかけてから連敗で2位となった昨年秋の法大戦は未だに脳裏をよぎる。「先を見て戦えるほど甘くはない」(柳)。ようやくシーズン中盤に差し掛かったばかり。目の前の一戦、一球に全力を尽くしてオレンジ軍団を圧倒する。

★柳が史上15人目となる通算300奪三振達成! ★
 6回1死一塁、7番中山に投じた5球目。131kmのカットボールは打者の足元でワンバウンドをし、通算300奪三振目となる空振り三振を取った。「達成できてうれしい」と1年の春秋を終えてから目標とした数字をついに達成して喜びを表した。7回にも空振り三振を奪い通算301奪三振をマーク。投手主将を務めた川上憲伸氏(平10商卒)の311奪三振超えも射程圏内だ。歴代のエースと肩を並べるため、新たなスタート切った試合ともなった。

[浜崎結衣]

打順 守備 名 前
◆明大打撃成績◆
(二) 宮崎(履正社) .333 二ゴ    投ギ    遊ゴ 四球            
  竹村(浦和学院) .000                      三飛 四球   
(中) 逢澤(関西) .067 中飛    中犠飛    四球 四球    三振 二ゴ   
(一) 佐野恵(広陵) .400 四球    三邪飛    四球 三邪飛    中安      
(捕) 牛島(門司学園) .300 三ゴ       中飛 中安    三振 遊飛      
  吉田有(履正社)                              
(左) 川口(国学院久我山) .381    中飛    左飛 左二    一邪飛         
  奥村(明大中野八王子) .000                         捕飛   
  加勢(札幌一) .333                              
(右) 萩原(九州学院) .182    左二    四球 四球    遊失    二ゴ   
(遊) 吉田大(佼成学園) .467    三振    四球 右本    四球    四球   
  中原(佐賀商)                              
(投) 柳(横浜) .375    三振    中安 遊安    左安         
  齊藤(桐蔭学園) .000                              
  水野(静岡)                         四球   
(三) 渡辺(横浜) .412       右二 遊直 遊ゴ    二ゴ    中安   
  中澤(高崎) 1.000                              
  中野(桐光学園)                              
     33 10 10 .327                           
名 前 球数
◆明大投手成績◆
○柳(横浜) 112 1.17
齊藤(桐蔭学園) 01/3 16 0.00
水野(静岡) 12/3 18 0.00
◆ベンチ入りメンバー◆
10 柳(政経4=横浜) 佐野恵(商4=広陵) 吉田大(国際4=佼成学園)
11 星(政経4=宇都宮工) 竹村(政経3=浦和学院) 加勢(理工4=札幌一)
齊藤(政経3=桐蔭学園) 中野(法3=桐光学園) 逢澤(文2=関西)
17 水野(農3=静岡) 14 宮崎(文3=履正社) 20 萩原(営4=九州学院)
23 髙橋(総合2=向上) 15 渡辺(政経2=横浜) 28 東原(商3=天理)
29 伊勢(営1=九州学院) 16 吉田有(商2=履正社) 35 中澤(国際3=高崎)
牛島(営4=門司学園) 24 河野(文3=鳴門) 37 和田慎(商1=常総学院)
22 西野(政経1=浦和学院) 25 川口(法4=国学院久我山)
32 中原(商3=佐賀商) 38 奥村(政経2=明大中野八王子)

試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第4週 10/1現在
明大    ○○ ○○ 1.000
立大    ○●○    ○○    .800
早大    ●○●    ●○○ .571
慶大 ●●          ○○   .500
法大 ●● ○●●       .167
東大 ●●    ●●    .000

試合後のコメント
通算300奪三振を記録し今季3勝目を挙げた柳
「今日良くなかったですけど、悪いなりには投げれた部分だけ評価できると思います。(5回以降無安打に抑えたが)最後までずっと良くなかったです。(21勝目)福也さんを超えられたのは嬉しい。ただ勝ちはみんなに付けてもらうものなので、一戦一戦やっていければいいなと思います。(通算300K)目標にしてきので、達成できて嬉しいなと思います。木曜日に善波監督に球を受けてもらいました。歴代の投手の方が受けてもらっているですが、自分は初めてです。キャッチャー目線でフォームなどアドバイスをいただきました。実際慶應戦で試してみて、良くなった部分もありました。(開幕5連勝)先を見て戦えるほど甘くないと思うので、一戦一戦全力でやっていきます」

5回打者一巡の攻撃に口火を切った牛島
「もっと打ちたかったんですけど、相手もあることなので。1本タイムリーが打てたのは良かったです。(300奪三振について)記録のことは全然頭になかったです。柳がいつも通り試合をつくってくれたので、楽に試合を進めていくことができました。見ての通り柳はあまり調子が良くなかったんですけど、それでも1失点でうまくまとめてくれて、自分のバットでチームも楽にしてくれたので、さすがだなっていう風には思いますね。星が投げると思うんですけど、今日みたいに早めに点を取ってピッチャー陣を楽にしてあげられればと思うので、チーム一丸となって攻めていけたらと思います」

チームトップの秋通算7四死球を選んでいる佐野恵
「先に先制される展開になってしまったけど、すぐに取り返せて、ビッグイニングもつくることができました。慌てずにみんなで攻めることができた結果だなと思います。柳が点を取られることもありますし、自分たちがカバーしよう、野手で頑張ろうっていうミーティングをして、それがあの回につながりました。自分はやっぱり警戒されると思うので、打ち焦らず、ボール球を待てるように意識しています。チャンスになれば相手も勝負してくると思うので、そこでしっかり1本出せるようにしたい。(5連勝は)小さいことも怠らずに、詰めて練習をできているからだと思います。今日は点差が開きましたけど、それが厳しい試合でも勝てている要因なのかなと思います。法政はもう優勝がなくなって、開き直って来ると思うので、そこで勢いを乗せないように戦って明日で決められるようにしたいです」

リーグ戦初打点を決めた川口
「(5回、適時二塁打を打った感想)追い込まれていたので、何とかバットに当てようっていう意識だけで打って。それがあのようにいい打球になったので良かったと思います。(毎試合安打)毎試合出させてもらって、慣れてきてもいるので、毎試合ヒットはおまけだと思っているんですけど、もっと打ってチームに貢献できたらいいなと思ってます。(初打点となるが打点がなかったことは気にしていたか)一応クリーンアップ打たせてもらっているので、そこで打点0はちょっと寂しいかなと思っていたんですけど、今日出てよかったと思います。(法大2回戦への意気込み)今日は今日で勝って、明日に良い流れでつないだと思うので、明日も打ってピッチャーを楽にしたいと思います」

今季の目標に掲げていた本塁打を放った吉田大
「初球狙っていました。距離は完璧だったのでもう切れないでくれという感じでした。(入ったときは)最高の気持ちでした。高校時代のホームラン数はは14本です。今シーズンは1本は打ちたいと思っていたので、最高の場面で打てて良かったです。満塁は人生初めてです。春は柳におんぶに抱っこだったので、今回は打者がやるぞということを目標にやっていたのでよかったです。夏は相当振り込みました。その成果がしっかり出ているかなと思います。明治は守備の練習が多かったんですけど、今回は振り込み、打ち込みが多かったです。(量は)2倍くらいですかね。バッターもそれぞれが秋は自分がやらないと勝てないぞという意識があったのでちゃんとやりました。僕は春タイミング変えて足を上げるようにして、クイックのピッチャーが苦手だったのでそういうのを打てるように始動を早くして、とにかく足に乗っけてブレないようにするために左足に乗せて体幹とかやりました。自分の中では足を上げて待っている感じなので、そこでグラグラせず立っていられるように体幹を鍛えました」

法大戦で状態を取り戻した水野匡貴投手(農3=静岡)
「前回はあんなピッチング(慶大2回戦で2者連続四球)をしてしまってチームに迷惑をかけたので、それを取り返すじゃないですけどそういう気持ちも込めて思い切って攻めようという気持ちで投げました。(ランナーを背負っていての登板だったが)特にそこは気にせず、思い切っていくということだけ考えてやりました。(前回までは)全体的に体に力が入りすぎていたところがあるので、そこを無くすというか、いい意味で脱力する投球フォームをつくるように心がけました。前回よりはよかったです。(春に打たれてた)嫌なイメージがあったんですけど、投げてみたら普通に投げれれば抑えられるということがわかったので、とにかく明日勝つことですけど明日以降につながるかなと思いましたね。(投手陣は)全然問題ないです。(明日は)とにかく2連勝して勝ち点とるだけです」

ダメ押しの10点目を入れた渡辺佳明内野手(政経2=横浜)
「打順はどこでもやることは変わらないので、そんなに意識はしてなかったです。(第1打席は)このリーグ戦の中でもいい当たりだったので良かったですね。(8回は)内容はあんまり良くなかったんですけど、落ちてくれるということはいい形で持っていけたと思います。(日頃の練習で)いつもと変わらずやっていて、少し体重が前にいきだしていたので後ろに残すというのを練習ではやり始めていました。状態は維持できてると思います。バッティングは全員良くなっていて、どこからでも点が取れるというのが良い状態だと思います。(明日)今日みたいな取り方はできるとは思っていなくて、明日は明日で1点勝負になると思うのでそこをしっかりやっていきたいです」