
主力4投手登板するも法大に逆転負け/東京六大学春季リーグ戦

切り札のエースが捉えられた。5-4で迎えた8回一、二塁。絶体絶命のピンチに万全を喫して柳を投入。何としてでも勝つための策だった。打席には、この日3安打2打点と大当たりの向山。粘られて8球目。134㎞のカットボールを鮮やかに中前にはじき返された。中堅手の逢澤が捕球すると本塁への送球を諦め、一塁走者をアウトにするべく、三塁へと送球。これが悪送球となり、そのスキに勝ち越しの走者が生還。あっという間に2点を失い、逆転された。終盤の重い失点を取り返せず5-6で敗れた。
主力4投手をつぎ込むも、失点は免れなかった。先発の水野匡貴投手(農3=静岡)は3回途中までに6安打を浴びて降板。2番手・星知弥投手(政経4=宇都宮工)は最速152㎞の直球を武器に7回まで粘投するも、水野が出した走者を返してしまうなど抜群とはいえなかった。1点を守り切るために星に代わって齊藤大将投手(政経3=桐蔭学園)がマウンドに上がったが、4人と対戦し2被安打。苦しまぎれに登板した柳も痛恨の適時打を浴びた。今季出場を重ねてきた柱4人で被安打14と、法大打線の勢いを止められなかった。
一時は勝利の兆しさえ、見えていた。3回に3点を先制されたその裏、吉田大成内野手(国際4=佼成学園)が左前で出塁すると、逢澤が左翼線への適時打を放ち1点を返した。さらに四球と安打を絡めて2死一、二塁の好機をつくり、4番・佐野恵。菅野(法大)が投じた1球目を、完璧に捉えた。空高く舞い上がった打球は、軽々とバックスクリーン近くの右翼スタンドに着弾。自身過去最多となるシーズン3本目で、2点リードを奪う逆転に成功。主砲の一振りに神宮が沸いた瞬間だった。
もうひと押しがなかった。3回の4安打5得点で流れをつかみたかったが、4回以降はわずかの1安打。菅野の鬼気迫る快投を前に、5~7回は3者凡退に抑えられた。結局、8回に逆転された後も反撃はできず。計14安打の法大に対して明大は5安打。試合後のスコアボードに両者の打撃の差が、はっきりと刻まれた。
意地と意地とのぶつかり合いだ。昨年春は法大戦で勝ち点を落とし、優勝から限りなく遠ざかった。秋は5位の法大に2敗し、自力優勝を逃すどころか優勝が消えた。「血の明法戦」と揶揄される由来はここにある。次戦は悪夢の再来となるか、昨年の鎖を断ち切る日となるか。この日登板した投手陣は次戦の登板も予想される。「できる限りの準備をしていく」(星)。5安打に封じられた打線の奮起と、防御率リーグ首位の投手陣の粘りに期待したい。総力を挙げてオレンジ軍団を打ち破る。
[星川裕也]
打順 | 守備 | 名 前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (中) | 逢澤(関西) | 4 | 1 | 1 | .265 | 三振 | 左安 | 三ゴ | 三振 | ||||||
2 | (左) | 荒木(愛工大名電) | 3 | 0 | 0 | .167 | 二ゴ | 四球 | 一ゴ | 三振 | ||||||
3 | (二) | 竹村(浦和学院) | 4 | 1 | 1 | .176 | 三振 | 中安 | 二ゴ | 中飛 | ||||||
4 | (一) | 佐野恵(広陵) | 3 | 1 | 3 | .375 | 中飛 | 中本 | 右飛 | 死球 | ||||||
5 | (捕) | 牛島(門司学園) | 3 | 0 | 0 | .207 | 三振 | 三ゴ | 二ゴ | 三ギ | ||||||
6 | (右) | 萩原(九州学院) | 3 | 0 | 0 | .000 | 三振 | 三邪飛 | 三振 | |||||||
右 | 加勢(札幌一) | 0 | 0 | 0 | .300 | |||||||||||
打 | 宮崎(履正社) | 0 | 0 | 0 | .500 | 右飛 | ||||||||||
7 | (遊) | 吉田大(佼成学園) | 4 | 2 | 0 | .290 | 左安 | 右安 | 三振 | 中飛 | ||||||
8 | (投) | 水野(静岡) | 0 | 0 | 0 | .000 | 左安 | |||||||||
投 | 星(宇都宮工) | 0 | 0 | 0 | .333 | 投ギ | 一ギ | |||||||||
打 | 東原(天理) | 1 | 0 | 0 | .250 | 遊ゴ | ||||||||||
投 | 齊藤(桐蔭学園) | 1 | 0 | 0 | .500 | |||||||||||
投 | 柳(横浜) | 0 | 0 | 0 | .286 | |||||||||||
9 | (三) | 荒井海(前橋育英) | 1 | 0 | 0 | .000 | 三ゴ | |||||||||
打 | 小林恵(遊学館) | 1 | 0 | 0 | .167 | 左飛 | ||||||||||
三 | 中澤(高崎) | 0 | 0 | 0 | .000 | 二ゴ | ||||||||||
計 | 29 | 5 | 5 | .260 |
名 前 | 試 | 勝 | 敗 | 回 | 球数 | 安 | 振 | 球 | 責 | 率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
水野(静岡) | 5 | 2 | 0 | 22/3 | 40 | 6 | 0 | 1 | 3 | 1.33 |
星(宇都宮工) | 4 | 0 | 0 | 42/3 | 76 | 5 | 4 | 4 | 1 | 1.64 |
●齊藤(桐蔭学園) | 4 | 0 | 2 | 02/3 | 10 | 2 | 1 | 0 | 1 | 2.16 |
柳(横浜) | 6 | 3 | 1 | 11/3 | 27 | 11 | 1 | 0 | 0 | 0.64 |
10 | 柳(政経4=横浜) | 3 | 佐野恵(商4=広陵) | 6 | 吉田大(国際4=佼成学園) |
---|---|---|---|---|---|
11 | 星(政経4=宇都宮工) | 4 | 竹村(政経3=浦和学院) | 7 | 加勢(理工4=札幌一) |
18 | 川口(法4=国学院久我山) | 5 | 富岡(商4=日大三) | 8 | 坂田(文4=倉敷商) |
1 | 齊藤(政経3=桐蔭学園) | 13 | 小林恵(農4=遊学館) | 9 | 佐藤(文4=白樺学園) |
17 | 水野(農3=静岡) | 15 | 萩原(営4=九州学院) | 35 | 中澤(国際3=高崎) |
23 | 森下暢(政経1=大分商) | 16 | 高瀬(営2=長崎西) | 37 | 逢澤(文2=関西) |
2 | 牛島(営4=門司学園) | 24 | 荒木(文4=愛工大名電) | 38 | 東原(商3=天理) |
20 | 中道(商4=智辯学園) | 26 | 荒井海(商3=前橋育英) | ||
22 | 氷見(政経2=豊川) | 34 | 宮崎(文3=履正社) |
慶 | 明 | 法 | 立 | 早 | 東 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝ち点 | 勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
慶大 | — | △●○● | ○○ | ○●○ | 8 | 5 | 2 | 1 | 2 | .714 | ||
明大 | △○●○ | — | ○● | ○○ | 9 | 5 | 3 | 1 | 2 | .625 | ||
法大 | ●● | ●○ | — | ●○○ | ●○○ | 10 | 5 | 5 | 0 | 2 | .500 | |
立大 | ○●● | — | ○○ | ●○ | 7 | 4 | 3 | 0 | 1 | .571 | ||
早大 | ○●● | ●● | — | ○○ | 7 | 3 | 4 | 0 | 1 | .429 | ||
東大 | ●● | ●○● | ○● | ●● | — | 9 | 2 | 7 | 0 | 0 | .222 |
試合後のコメント
終盤のピンチを任せられるも救援できなかった柳
「(打たれたのは)カットボールです。ボールの圧力というか、気持ちの強さです。明日またチームが勝てるように、疲れとかはあるんですけど、いろんな状況を見据えて練習をしてきているので」
2番手として粘投した星
「直球の走りは良かったんですけど、細かい制球の部分で課題が残りました。明日に向けての修正ポイントかなと思います。やっぱり、点数をやらない気持ちで投げたというか、野手がそのあと逆転してくれたので、これ以上はやれないという気持ちで投げました。(向山選手が)自分も3回と6回に打たれてしまっているんので、明日も向山選手がキーマンになると思うので、しっかり抑えてやっていきたいです。できる限りの準備をしていきます」
昨日に続き2安打と好調の吉田大
「最後はちょっと気持ちが足りなかったのかなという感じですね。明日全力でいきます。3戦目は僕らの形なので、絶対秋のリベンジしたいです」
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