法大に延長11回サヨナラ勝ち/東京六大学春季リーグ戦

2016.05.02
法大に延長11回サヨナラ勝ち/東京六大学春季リーグ戦
 今季無敗の六大学王者に土を付けた。優勝争いへあとがなくなった明大の先発はエース・小田敏大投手(営4=明大中野八王子)。先制こそ許したものの、強打の法大打線相手に9回3失点にまとめ、試合をつくった。打線も小刻みに1点を返し、8回には平島嘉之外野手(営2=明大中野八王子)の左中間二塁打で同点とする。二番手・薄田寛也投手(農4=日本文理)が2回を無失点に抑えると延長11回裏、無死満塁から萩谷直斗内野手(営4=水城)が右翼手の頭上を越えるサヨナラ打。4―3で勝利し、第3戦につないだ。 

 チームが一つになったことが最高の結果となり表れた。延長11回、先頭の薄田が追い込まれながらも器用に左翼手前に落とすと、多々野将太外野手(農3=花巻東)の犠打に相手投手が悪送球。その間に薄田が三塁に進み無死一、三塁となると鈴木太朗内野手(法3=大船渡)は敬遠された。無死満塁となり打席には萩谷。ボールが先行すると「真っすぐしかない」と3球目の直球を引っ張った打球は右翼手の頭上を越すサヨナラ打となった。最高の勝ち方を演出した男が、次戦でもチームを勢い付けていく。
 1点差で迎えた7回。久保田駿内野手(法3=広陵)が二塁手の送球エラーで出塁すると犠打で送り1死二塁とした。代打の平島は「抑えに来るのは低めのスライダーだと思った」と5球目のスライダーをたたき左翼手の横を抜ける同点適時二塁打を放った。「酒井さんとか先輩と全日本に行きたい」と平島。ワンチャンスをものにし、チームの危機を救った。
 
 重圧のかかる試合でのエースの好投が何よりも頼もしい。全日本大学選手権を目指す上で勝ち点を落とせない中、1回戦で敗戦を喫した。「今日は負けられない」と先発の小田は、普段の球威に頼る投球からコントロール重視に変え法大打線相手に粘投。序盤は先頭打者を毎回出し、4回までに2点を取られる苦しい投球だったが「負けていても、勝ってやろうというベンチの雰囲気が伝わってきたおかげで9回まで粘ることができた」。9回を投げ抜き9奪三振3失点。小田の粘りがチームの流れをつくった。

 確実に成長を見せている。1回戦、2回戦ともに法大に互角の勝負を展開した。今試合は昨秋最優秀防御率の先発・室木(法大)を降板させることに成功。「今日の勝ちは大きい」と選手、監督ともに口をそろえて話す。次戦に勝利すれば勝ち点を獲得し、優勝戦線に残る。サヨナラ勝ちというこれ以上ない良い流れで臨む第3戦目について酒井翔弥主将(法4=東北)は「気持ちの問題だと思うので投手だけではなく野手も総動員」と気を引き締める。今の勢いそのままに決戦へ。2014年秋季リーグ以来となる法大からの勝ち点奪取は目前だ。

[木村亮]

試合後のコメント
千田監督

「何とか1勝1敗にできたのはみんなが頑張ってくれたので良かった。今日の勝ちは大きいと思う。今日負けたらどうしようもないわけだし、法政さんに勝って、慶応さんには落としてるので、勝ち点4で最終的には勝敗、勝率でどうなるか。それにうちは向かってやるしかない。今日負けたら勝ち点3になってしまうので。また首の皮一枚つながって、あさって選手のみんなの雰囲気を期待する。法政がレベル高いからと言って(選手に)全部一律でぶつかっていくよりは、各々がどう考えているのか昨日の試合あたりから分かっているので。ピッチャー陣も初めての対戦じゃない選手が多いから、それに対してどのようなタイミングで振るのかという全般的なことを話した。今日うちが裏だったんで、同点に追い付いて延長になって負けたことはないんで。サヨナラ勝ちするぞという気持ちにみんなもなっていたと思う。今日全員、代打だとかで出た選手がヒット打ったりとか何とか追い付いてくれたんで、気持ち自体は良くなっていると思う。このままの気持ちであさって向かっていくと思う。うちとしては勝つしかない。勝ちに行く」

酒井主将
「サヨナラ勝ちは正直気持ちよかった。昨日サヨナラ負けして悔しかったので、端からサヨナラを狙っていたわけではないが、無死満塁の場面をみんながつくってくれて結果を出してくれたのは気持ちよかったし、逆にいい流れで第3戦目に臨めると思う。最後は投手を作らせていたけど、薄田のバッティングはみんな期待してるし結果も残しているので代打を送るつもりは最初からなかった。太朗の敬遠はありがたかった。塁を埋めてもらった方がやりやすかったと思うし、萩谷だから犠牲フライを前提にできたので満塁にしてもらったことはありがたかった。太朗は敬遠ではなかったら最初から打たせるつもりだった。2番スクイズはありがちなので読まれると思うので打たせるつもりだった。室木相手に右は外のスライダー、左は外のツーシームとチェンジアップに回されていたことが今まで抑えられた原因なので低めには手を出さず、追い込まれるまでは待っているボールを待って厳しいボールには手を出さないことを徹底させていた。法政の10連勝での完全優勝は止められたけど、勝ち点落として勝ち点5で優勝させたら連勝したようなものなので、勝率を下げただけではなく法政の勝ち点を一つ減らしたい。第3戦目はもう気持ちの問題だと思うので投手だけではなく野手も総動員して今日は勝ったので次も全員で勝ち点を取りに行きたい。取るか取らないかは全然違う。勝ち点があれば全日本のチャンスが広がると思うし、立教戦にもいい流れで臨めると思う。これ以上落としたらまずいと思うが、そういうことを考えずに思い切ってプレーしたい」

薄田
「粘れたので次につなげられてよかった。きつかった。負けたらもうほとんど終わりなので、みんな気持ちがあった。いいところに落ちてくれたなという感じなので運が良かった。勢いがついたのではないか。(リリーフでの登板では無安打に抑える)気づかなかった。ヒット打たれなくてもランナー出ているので、守備がよく守ってくれているなという感じ。悪くはなかったしまとまっていたので、そんなに心配はしていなかった。勝ててよかった。みんな打つんで、ヒットならいいなと。長打打たれないようにしていた。みんな打てるようになってきたので、そこが一番大きいかなと思う。みんな打ってくれれば次も勝てると思う。最初から出ることはあんまりないので、必要なときにしっかり準備をして出れるようにしたい。法政戦取れれば勢いも付くと思うので、あとは勝つだけ」

小田
「今日は負けられないという思いで挑んだ。4回まで毎回先頭打者を塁に出すなどして重量打線の法大に3点を与えてしまったが、(2安打を放ったことについて)バッティングがピッチングへのモチベーションを高めていった。さらに負けていても、勝ってやろうというベンチの雰囲気が伝わってきたおかげで、5回からピッチングを立ち直すことができ、9回まで粘ることができた。(9奪三振だったが、意識したことは)今までは球威にこだわっていたところがあったが、今回はキャッチャーと話し合って生命線はコントロールだという話になり、外と内、高めと低めをきっちり投げ分けることを意識した。(次回の登板への意気込みは)あさっての試合でもどこでいくか分からないが投げる気でいくし、総力戦になると思うので自分のできることをしっかりして勝ち点を取りたいと思う」

萩谷
「(サヨナラ打は)あそこは誰が来ても打っていたと思うので、流れもあったし、相手がミスで崩れた。一つ前に2アウト二塁の場面があって、そこで決めきれなかったというのが悔しい。3番にいる以上、いいところで回ってくるのは当たり前だし、打って当たり前なので。最後はいいところで回ってきて、チームに打たせてもらった感じだけど、二つくらいチャンスがあったので打てるようにしないと厳しい試合になるし、どちらかといえば反省が多い試合。(サヨナラ打の球種とコース)ちょっと外寄り。あまり厳しくないコースの真っすぐなのだけれども。ノーアウト満塁でノーツーだったので、もう真っすぐしかないと思って。でノーツーってことで絶対ストライクゾーンに来ると思ったので、思い切りいった。あさって勝ち点とれば、1位もありえるので。今日の勝ちは大きいけどあさって勝たないことには意味がないので、取りあえずあさって頑張る。状態としてはみんな悪くないと思うので、あとはしっかり守って。今日もチャンスでなかなか一本がでなかったので、チャンスで一本必ず出して。簡単な試合にはならないと思うので、接戦でものにしたい。やり返したので、これで五分、ちょっと有利くらいなので、接戦になると思うのでしっかりミスのないようにやっていきたい。自分自身も打率としては残っているのだけれども、チャンスで打てないと厳しくなるので、チャンスでの一本を大事にしていきたい」

金子昂平捕手(営3=済美)
「(10回表、3対3の場面からの出場だったが、どんなことをバッテリー間で意識したのか)長打、一発だけを意識して、攻めるところは攻められたので、今日も良かったと思う。(11回表盗塁を刺した場面について)あまり盗塁を刺せるというイメージはなかったが、盗塁を仕掛けてくると思ったので、捕ってからを早くしようと思った。ラインに投げれば久保田が捕ってくれると信頼していたので、いいコースに投げられた。(あさっての試合への意気込み)この2戦、バッテリー間はいい調子で来ているので、この2戦とプラスアルファのことができればいい。あとはできれば最小失点で、バッターが振りにきてくれれば勝てると思う。接戦になると思うが、自分にできることをやっていきたい」

多々野
「最近打てなかったので狙い球を絞らずに来た球を振るというスタイルでバッターボックスに入っている。配球を読んで今まで打席に入っていたけど逆にバットが出てこなかったので、タイミングの取り方を試行錯誤しながら2週間練習してきた。昨日今日と打球はいいと思うが、センターからライト方向に飛ばしているので逆方向に強い打球を飛ばせるようになったらもっと調子が上がってくると思う。室木は対戦するイメージは悪くて正直少し不安もあったが、甘い球を逃さずライト線に持って行けて少し気が楽になるものはあった。次の末次さんは前回たまたまみたいな部分もあるが、いいイメージができたのでそれを忘れずに打席に入ってチームを助けたい」

平島
「法政に勝たないと全日本の可能性が少なくなるので、酒井さんとか先輩と全日本に行きたいという思いはあったので。先発出場ではなかったけど、出たらいつでも活躍できるようにという気持ちは整えながら、試合にいかに貢献できるかってことを考えた。最初から試合出た方がいいのは分かっているけど、チーム状況とか自分の実力不足っていうのもある。それでもチャンスを与えてもらえているから、その時はいかに打つか、少ないチャンスの中でもいかに残せるかってことは考えて打席に立っている。(2塁打の球種とコース)インコースから低めに落ちてくるようなスライダー。球種は真っすぐしか張ってなかったのだけど追い込まれて、抑えにくるのは低めのスライダーかなと思っていた。(次戦への意気込み)自分の成績も大切だけど、チームが勝たなきゃ意味がないから、いつも打てなくてもいいからここぞというときに一本打てるような。そのために練習していくし、ここぞという場面で強い選手というのが、今チームに欠かせない存在にかなと思っているから、その部分で頑張っていこうかなと思う」

竹村律生内野手(営1=佐野日大)
「(リーグ戦初出場ということで試合を振り返って)緊迫した試合の中出してもらったので期待に応えようという気持ちがあった。(同じルーキーである池尾、千田について)先に出場されて同じライバルとして自分も負けてられないという気持ちがあったので今日出られてすごく良かった。(これからチームでどんな存在になりたいか)いざ出された時に期待に応えられる理想の選手になりたい」