早大に粘り勝ち 今季初勝ち点獲得/東京六大学春季リーグ戦

2016.04.20
早大に粘り勝ち 今季初勝ち点獲得/東京六大学春季リーグ戦
 春季リーグ戦第2節早大3回戦は延長戦の末8―5で勝利し、勝ち点を獲得した。初回先発の薄田寛也投手(農4=日本文理)が先制点を許すが、六回まで中村亮太捕手(政経3=明大中野八王子)の左越え本塁打など小刻みに4点を奪い逆転した。だが、七回小田敏大投手(営4=明大中野八王子)が逆転打を浴び4―5に。九回に松原大樹(営3=明大中野)の捕失間に同点にすると十一回に3点を重ね勝ち越しに成功。最後は篠原匠投手(政経3=明大中野八王子)が締め、シーソーゲームをものにした。

 苦しい試合展開をものにした。延長十一回1死から八木光亘内野手(農2=花巻東)が右翼フェンス直撃の二塁打で出塁すると萩谷直斗内野手(営4=水城)が中堅手の前に運び一、三塁の勝ち越しのチャンスをつくる。次の酒井翔弥主将(法4=東北)の打球を一塁手笹井(早大)が体勢を崩しながら本塁に送球するが、酒井の右肘に当たり打球がそれる間に勝ち越し点を奪った。続く4番松原は外角の真っすぐを捉えた右中間適時二塁打、中村潤那内野手(営2=福井商業)も中前適時打で続き3得点。「本当に粘って粘ってなんとか勝てた」(酒井)と今季を左右する一戦でチームの粘りが勝利に結び付いた。

今季第1号を放った中村亮
今季第1号を放った中村亮

 待望の今季チーム第1号だ。六回1死から中村亮が高めを振り抜く「感触は良かった」と打球は高い弾道を描き左翼のネットを越える本塁打を放った。ここまで公式戦7試合を行い本塁打は出ていなかった。「投手陣が一生懸命投げているのを一番受けて分かるのでさすがにずっと打てないというのは情けないなというふうに考えた」。早大戦ではスクイズなどで3試合4打点。得点圏での駆け引きを優先するチームの打撃方針を忠実に再現している。「しっかり仕事をして金子と二人でやっていくというのがチームにとって一番いいと思う」。金子昂平捕手(営3=済美)とともに攻守でチームを救う。

 長いトンネルを抜けた。8回から3番手で登板した篠原がリーグ戦で昨年の春季リーグ開幕戦以来380日ぶりの白星を手にした。早大2回戦の先発登板で119球を投げた中での連投となったが「気持ちだけでは負けたくなかった」(篠原)。疲労で調子が悪い中の投球で最後の打者を二飛で抑えると小さくガッツポーズをつくった。「試合中ずっと気を張っていたので落ち着けた」と安堵(あんど)の表情を見せた篠原。「今年の目標であるどんなピッチングでも勝てる投手に向けて一歩踏み出せた試合になった」。待望の白星を手にした篠原がチームを救う投球を続けていく。

 次戦は王者撃破だ。法大は昨年春秋連覇を達成した強豪。投手陣では末次(法大)は開幕戦で7回参考ながらノーヒットノーランを達成するなど調子がいい。打撃陣も「どこからでも点数を取ってくる」(酒井)強力打線で戦力は六大学一だ。それだけにカギになるのは早大戦の3試合で見せた『粘り』。投手陣が法大の強力打線に得点を最少失点で抑え、打撃陣が少ないチャンスをものにできるかに注目だ。全日本大学選手権出場へ向けてもう一戦も落とせない。しぶとい野球で王者打ちを狙う。

[常光純弘]

試合後のコメント
酒井主将

「ハラハラする展開だった。本当に粘って粘ってなんとか勝てた。うちは大量得点を望めないからいかに粘ってというのが今のチームでは一番大事。なので粘ってシーソーゲームに勝てたということは良かったと思う。最初先制されたけど1点ずつ返して4―1になっていい流れだったが、俺が集中しろといってもやはり気の緩みというのが出てしまうのでそこを突かれたことが逆転されたことにつながってしまったと思う。2点差のところでどうしても1点欲しい場面で亮太の一本が出たときは本当に大きかったと思う。逆転の場面は試合に出ていたのでベンチの状況は分からなかったが、やばいとは思わなかったが、やはりベンチには少し焦りはあったと思う。九回は取るしかなかったので、向こうが逆転できて俺たちができないわけがないと思ったし、たった1点なのですぐ返せると思っていた。気持ちだけはみんなに切らしてほしくはなかったので。打線に関しては全体的にはもっと取れたし、毎年の課題だけどうちは残塁がものすごく多いので2死二塁にしてもチャンスで終わってしまう。ただ、チャンスをつくれるところまではいけたのでここは成長したと思う。あと一本は今後の一番の課題。小刻みに取れたけど九回では5点しか取れていないし、取っていかないと勝たないと難しくなってくる。法政は投手がいいし、六大学屈指の打線でどこからでも点数を取ってくるので、うちがどれだけ粘れるか。あと1点でもいいので刻んでいければ法政も焦ると思う。末次はテンポ良く投げてくるのでいかに自分の間で打席には入れるかがポイントになる。しっかり対応していけるようにこの1週間で調整していきたい」

薄田
「ランナーを背負っていたのであまり楽に投げているという感じではなかったが、まあしっかり投げられたのは良かったと思う。最後満塁で小田に渡してしまったので申し訳なかったと思う。疲れという感じではなかったが流れが向こうだったという感じだった。今季投げてあまり調子がいいとは言えないがその時一番いいピッチングができればいいと思う。回を重ねてだんだん球がまとまったのは良かった。次にまた投げる機会があればしっかり投げたいと思う」

380日ぶりの白星を手にした篠原
380日ぶりの白星を手にした篠原

篠原
「前日に119球投げていたので疲労がないといったら嘘になるが、その疲労を誰にも一言も言わず、気持ちだけは負けないように家を出るときから心掛けていたのでその気持ちが上回った結果がこの試合の勝利に結び付いたと思う。負けている場面での登板だったので点差を広げないということよりも今自分ができることをしっかりやろうという気持ちだった。ストレートの球威も落ちていたし、変化球も抜けているボールはあったが、だから駄目というわけではなく、自分の思うようなボールが投げられなくても相手打者を抑えることはできるので、今年の目標であるどんなピッチングでも勝てる投手に向けて一歩踏み出せた試合になったと思う」

中村亮
「真っすぐと緩い変化球があっていつも以上に緩い球についていけていたので今日は割と見られているのかなと思って最後まで待っていい感じで打てたので良かった。(第1打席の犠飛は)バットの先に当たったのであまり伸びはなかったが、あそこは犠飛で十分だと思って振ったので結果的に良かった。(今季チーム初本塁打)打撃陣が不調っていうのもあって投手陣が一生懸命投げているのを一番受けて分かるのでさすがにずっと打てないというのは情けないなというふうに考えた。チーム初というのは初めて知ったが取りあえず援護ができたという点で良かった。本塁打を打った球は一番本塁打が打てるゾーンに来たのは分かっているのだが打球が走っている時に見えなくてレフトとみんなの反応で分かったという感じだった。感触としてはすごく良かった。(5回裏の盗塁を刺したことについて)相手に結構走られていたのであそこは刺して流れ的にもあそこで刺したのは大きかったと思う。投手を代えるタイミングなどをもうちょっと首脳陣と話さなければいけないということを感じた。苦しい場面で小田さんと金子に渡してしまい重荷を背負わせてしまったので投手と相談してどこまでなのかを明確にしないとこんなにうまく試合が運ぶことはもうないと思うので反省したいなと思う。チームとしては早大第1戦の時のようにバントをつなげてチャンスをつくって頑張って一本出すというのがチームスタイル的に一番いいかなと思うので個人的には欲を出さずスクイズなり何なりしっかり仕事をして金子と二人でやっていくというのがチームにとって一番いいと思うのでそれについてやっていこうと思う」

松原
「ようやく結果が出てよかった。安心した。スイング自体はしっくりきていたので調子が悪いわけではなかった。九回は打った瞬間はやばいと思ったが、4年生の夏の可能性を終わらせたくなかったので全力で走ったのが良かったと思う。最後打席はもう一点ほしかったのでストレートだけに絞って振り抜いた。外攻めも分かっていたのでそこに狙いを絞っていた。久しぶりの4番だったが気負わず力まないように自然体で打席に立つことだけを考えていた。次の法政戦は必ず取りたい。打たないと勝てないし、法政もバッティングはいいので、こっちも打ち負けないように頑張りたい」