(5)開幕前インタビュー 齊藤大将、竹村春樹

2016.04.12
 頂点に返り咲く。昨季は優勝に王手を懸けた所で連敗し、2年ぶりに春秋ともに優勝できなかった。その悔しさを胸に今季は柳裕也主将(政経4=横浜)を中心にチームを構築。3年ぶりにアメリカキャンプも行った。髙山俊選手(平28文卒・現阪神タイガース)ら多くのスター選手が抜けた今年は、団結力を武器に戦い抜く。3季ぶりのリーグ制覇、そして春の日本一へ。戦う準備はできている。

 左腕エースの座を築く。齊藤大将投手(政経3=桐蔭学園)は昨季、主に抑えとして8試合に登板。度重なるピンチにも動じない投球で、幾度となくチームを勝利へと導いた。山﨑福也選手(平27政経卒・現オリックスバファローズ)、上原健太投手(平28商卒・現日本ハムファイターズ)と2世代に続いた左のエースが抜けた今、この男の左腕にチームの命運が託される。リーグ戦を目前に控えた齊藤にお話を伺った。(この取材は3月23日に行ったものです)

――ご自身の調子はいかかでしょうか
今は試している部分が多いので調子とかはイマイチなんですけど、リーグ戦までにしっかり間に合えばいいかなという風に思っています。投げるときの足の使い方を意識したり、見た目はそんなに変わらなくても、球自体にいろいろ変化が出るんじゃないかなと思っています。

――昨秋からこの春にかけてかなり投げ込まれましたか
小さい変化の中でいろいろ変わるものがあったので、それを変えた中で今まで通りのボールを投げられるように。そういう意味では結構球数多く投げましたね。少しのことで変わるものがあるので、そこは気になるところがなくなるまでかなり多く投げました。

――上原選手が抜け、左投手の働きが重要になるのではないでしょうか
秋が終わって左ピッチャ-もまた一人減ってという感じで、とても重要なポジションにあると思います。去年の秋以上にいろんな場面で幅広く投げられるようにならないといけないっていう風には思っていました。去年は先発をさせてもらって、うまくいかなかったっていうのもあったので、どういったポジションでもしっかりこなせるようにと思って投げていました。

――昨季法大3回戦では先発されましたが、先発へのこだわりはありますか
こだわりまだ持たないで、しっかり任されたところを投げるっていうことが一番大事だと思います。とりあえずチームの勝ちが優先だと思うので、その中でしっかり。もちろんですけど、今の感じで言えば先発よりリリーフのほうがまた多くなるんじゃないかなと感じています。短いイニングはゼロでっていうつもりでいきたいです。理想はゼロです。最少失点でっていうのは、常に頭の中にあります。

――アメリカキャンプでつかんだものはありますか
日本人に比べて体が大きかったり力が強かったので、少しのことで簡単に打たれたりしました。海外に行ったら全員が知らない選手なので、マークできないとか気を付けられないとかそういう中での投球だったんですけど、相手のことが分からない状況でも一人一人一球一球大事にしたいと思いました。

――アメリカでの投球に手応えはありましたか
海外の人たちだと体も大きくて変化球よりも速球派っていうイメージが強いので、ストレートストレートでいくと捉えてくるので、ストレートだけでいったら通用しないなと感じました。スライダーしか投げていなかったので、いまいちわからないですけど、スライダー自体はしっかり相手にも振ってもらえて、通用するんだなという風に感じたので、あとはもう少し精度を上げればいいかなと思います。まだまだ全然足りていない部分はあるので、満足はしていないですけど、やることはやれて、いいキャンプだったなとは思います。

――課題はありますか
体重は増やさないといけないと思っています。ウエイトの面では見た目や挙げる数字に表れるので、そこはすごく分かりやすいです。数字は上がっているので、いい方に向いているんじゃないかと思います。スクワットとかベンチプレスとか、その他細かい部分もあるんですけど大幅な部分と、使う部分の筋肉はしっかり鍛えていかないと、バランス偏ってしまうので。走り込みのほうは十分にできていると思います。あとは足りていない部分は筋トレで、それは選手個人個人別でありますけど。自分は周りに比べて細いので、そこはこれからの課題になるかなと思います。

――決め球のスライダーの調子はいかがでしょうか
スライダーとシンカー系の外に逃げる球が自分の中では重要になってくると思うので、そこの二つは今まで以上に精度を上げていかないとなと思います。現段階ではいまいち、自分の感覚の中でつかめていないので、何とも言えないんですけど、球の質的には良くなるんじゃないかなと思っているので、今はそれを信じてやるだけです。

――最後に春季リーグ戦の目標をお願いします
規定回数に達するイニングをしっかり投げることと、それで防御率を0点第に収まればいいんじゃないかなと思っています。自分の代わりは特にいないと思っているんで、自分に任された場所には自分にしかできないと思っています。穴の開いた場所に同じ形のものは入らないと思っているので。自分にしかできないことは自分にしかできませんし、他の人にしかできないこともあると思います。任されたところは、自分が決めると思っています。

――ありがとうございました。

◆齊藤大将 さいとうひろまさ 政経3 桐蔭学園高出 179cm・74㎏ 左投左打 投手

試合 勝利 敗戦 打者 投球回 安打 四死球 三振 自責点 防御率
齊藤 昨季・通算成績
昨季 48 102/3 11 10 3.38
通算 22 166 392/3 34 15 48 2.04

 過去の自分を超えていく。昨季全試合スタメン出場を果たし、打率3割をマークした竹村春樹内野手(政経3=浦和学院)。「無駄な打席を一打席も作りたくない」とオープン戦でも確実に安打を量産していった。守備では無失策、走塁の面では昨季リーグ5位の盗塁数にも意欲的だ。俊足好打で観客を魅了し、昨季以上の数字を残してみせる。(この取材は3月23日に行われたものです)

――ご自身の状態はいかかですか
今まであまり良くはなかったですが、アメリカでの自分が出た最終戦の中では手応えはつかめたのかなと思います。(2安打と犠牲フライ)牽制アウトになってしまったんですけど、そこはしっかり反省して練習しています。

――米国キャンプは全体的に振り返っていかがでしたか
暖かい気候の中で、グラウンドもいいですし、リーグ戦を想定した試合ができたのではないかと思います。(行く前と行った後での変化は)走塁も含めて、ゲームが動いていく中での対応力がまだ足りないなということに気づかされました。具体的にはランナーが出た時の守備であったり、自分がランナーで出た時に相手にプレッシャーをかけるといったような部分です。

――収穫はありましたか
収穫というよりは課題がたくさんできました。打撃だったらボールに対して強く打てていないということをよく言われて、フォームを見直すだったりです。今までは打撃の中で止まって打っていたんですけど、やっぱり「静から動」だと動きが遅くなってしまうので、動きながらということを監督に教わりました。そのあたりでしっかりフォームを固めて実戦で対応できるようにしていきたいです。
守備だったら確実性を上げていくこと、走塁では牽制で刺されてしまったことでピッチャー、キャッチャーの動きをもっとしっかり見ようと思いました。

――米国と日本の野球の違いは何でしょうか
スケールの大きさだと思います。どんなカウントからでも積極的に振ってくるし、ランナーは初球から走るし、思い切りのよさというか、プレーが大きいというのを感じました。(マイナー選手との試合は)守っていても怖いというか、どんなカウントからでも打ってくる、走ってくる怖さがやっぱりありました。

――米国の雰囲気はどうでしたか
良かったですね。ゆとりがあるというか、のんびりしてました。英語が喋れないので、全然分かんなかったです。外人とはハイタッチ程度で…(笑)。英語は難しいなって思いました。試合中とかも向こうは何を言ってるのか分からなかったので、それがある意味では耳に入らなくてやりやすいというのはありました。英語はこれから勉強していきます(笑)。

――リーグ戦開幕まで、チーム全体で調整していくことは何でしょうか
これまでの実戦ではバントとかエンドランとか、ランナーが一塁に出た時につなげないという場面が多かったです。ランナーだったらキャッチャーのワンジャックルで次の塁を狙うだとか、得点圏にランナーを進めていかないと点は取れないと思うので、つなぐ意識を徹底してやらないといけないと思います。

――個人の面ではいかがですか
打撃の完成形はまだですが、これからだと思います。アメリカで打ち込める機会が少なかったので、しっかりと打ち込んでいく中で今の状態を実戦につなげられるようにしたいです。調子がいいときは積極的にいけているし、振っていかないとタイミングとかも合わないと思うので「積極性」を大事にしていきたいです。逆に調子が悪いとボール球に手を出したり、こすってフライが多くなったりします。レフトフライとセカンドゴロを打っている時は調子が悪いので、それはもうなくしていきたいです。

――打撃の内容が求められてきます
(打撃における3か条は)「相手ピッチャーをよく見る、打席に入る前の準備をしっかりする、ボール球に手を出さない」です。やっぱり初球から積極的に振る思いきりを大事にしていきたいですし、ゴロを打てば何かがあると思うので、凡打を打つにしても強い打球を打って、その中で内野安打を狙っていきたいです。
(長打へのこだわりは)長打を狙うというよりも強いヒットを心がければ長打になってくると思うので、長打に対してのこだわりはないですね。

――何番を打ちたいというのはありますか
やっぱりずっと打ってきている1番か、3番です。でも試合で出させていただけるならどこでも変わりはないと思います。打順が変わったから自分のスタイルを変えるわけでもないと思うので、他の打順になってもその打順に当ててくれたという意味を考えたいです。

――野球をする上で他に譲れないものはできましたか
絶対に試合に出たいというのはありますね。負けず嫌いなので、足とかも守備の安定感でも、何でも負けたくないです。ノックを受けていても、自分がミスしている時に仲間が普通にやっている時でナイスプレーとは思っているんですけど、自分のなかでは悔しかったりというのはあります。

――機動力の面で、昨季は盗塁数がリーグ5位でしたが
盗塁はどんどんしたいですね。ただ走るだけではなくて、出てくるピッチャーのクセをしっかり盗むとか、相手のことをしっかり観察していかないといけないと思います。一塁にいて何が嫌かと言ったらやっぱり走られることだと思うので、自分でプレッシャーを相手に与えていけたらと思います。春からは積極的に盗塁をしていきたいです。

――残り日数で一番にやっていくことは何でしょうか
打撃面では打ち損じを減らすことです。無駄な打席を一打席も作りたくないです。今までのオープン戦で、いい球を見逃したりといった後悔が多かったので、今から好球必打をしていきたいと思います。
守備面では昨季に失策を一つしてしまったので、失策ゼロというのは当たり前でいきたいです。他の野手との連携をしっかり計って守りからいいリズムをつくれるようにしていきたいなと思います。

――柳主将のチームづくりはいかがですか
自分で投げて、その中でも周りを見ていくというのをしっかりされていると思います。ピッチャーは投げていたら周りが見れないというのはあると思うので、背中で引っ張るという難しさがあるのではと思います。(守備交代で声掛けができない時もある)ピッチャーに近い立場にはいるので、しっかり声を掛ける中で、柳さんができないところをサポートしていけたらと思います。(柳主将らしさを感じる時)厳しいだけじゃなくて、自分がしっかりやっているので、ついていこうと思います。柳さんの一声に士気が高まるし、柳さんが頑張っているから、投げている試合は特に勝ちたいという気持ちにチーム全体がなると思います。

――チーム全体での勝ち方のイメージは浮かんでいますか
守りからの雰囲気がよくて、打撃でもベンチからみんながひとつになるというのができれば勝ちにつながっていけると思います。自分は雰囲気を良くすることもそうですし、全ての面で思い切ったプレーをして活気づけていきたいです。

――具体的な数字の目標を教えてください
とにかく全試合出場して、優勝に貢献するということはもちろんなんですけど、前回の3割をしっかり超えて、守備では無失策でやっていきたいなと思います。個人的にはベストナインを獲りたいです。

――弟の律生選手(営1=佐野日大)が準硬式野球部に入部されます
(入学が決まった際の声掛けは)単位をちゃんと取れというぐらいですかね(笑)。プレーをする環境は違うんですけど、入学と同時にレギュラーを獲って両方ともしっかり活躍して両親にいい報告ができるように頑張ってほしいと思います。弟は甲子園ベスト4になって、兄貴を目指しているというのはずっと言われていましたし、そういうことを思うと成長したなとか負けていられないと強く思っていました。(期待することは)とにかく結果を出すことだと思います。練習をしっかりして、結果を出してほしいなと思います。
(弟へのメッセージ)「負けない」というだけですね。2人でずっと練習とかもしてきていて、いい刺激にはなっていますし、もう本当に負けないだけです。まだ努力が足りないと言っておいてください(笑)。

――応援してくださるファンの方々にメッセージをお願いします
応援してくださる方に対しての感謝の気持ちを忘れずに、プレーでしか魅せれないとは思うので、自分の全力プレーを見てほしいです。

――最後に今季の意気込みをお願いします
まずはチームが勝つことを最優先して、リーグで優勝することです。個人的にはその優勝に貢献していきたいと思います。

――ありがとうございました。

◆竹村春樹 たけむらはるき 政経3 浦和学院高出 176cm・73kg 内野手 右投左打

試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 犠打 四死球 打率
竹村 昨季・通算成績
今季 13 40 12 12 .300
通算 37 70 16 15 .229

[星川裕也・土屋あいり]